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【連載129】住宅の「定価販売」でコスト削減

  • 2020/10/01

 私たちが究極の目標とする「共存利益」の実現とは、「互いに最大効用に達する商取引」だと述べました。生産者、商品やサービスの提供者が、消費者の立場に立ってモノを売ると同時に、消費者も生産者らの立場に立ってモノを買うべきだとも述べました。しかし、それは言うは易し行うに難しことです。

 取引するうえで「値引き」という問題があります。定価に対していくらか安くしてもらえることは、買う側としては「得した気分」になります。そこで、「値引き」を前提に、定価を高く設定する売り手も少なくありません。また、適正な定価を設定していても、とにかく値引きを要求する買い手もいます。値引きの駆け引きを面白がる売り手と買い手の組み合わせであれば、それもまた良しとしますが、良心的な定価を設定したにもかかわらず値引き販売を余儀なくされる売り手や、定価そのままで買う人は損をしてしまうということになり、公平ではありません。

 住宅販売で悩ましいのは、そもそも「定価」がないということです。定価がないから価格は売り手が勝手に決められるかと思いきや、そうはなりません。他との比較で決まるというならまだしも、単に売り手と買い手の力関係で決まります。供給過多の市場であれば当然、買い手に力がありますが、買い手側の情報が少なければ、売り手はその力をあまり恐れることはありません。

 現代は情報があふれている時代です。「ここだけの話」も、すぐに広まります。買い手の情報力がどんどん強くなっている時代も言えます。

 値引きの駆け引き、あるいは割増となる提案といったことが営業行為だとすると、この行為には結構なエネルギーが必要です。このエネルギーが、またコストに跳ね返ります。

 高品質な住宅をなるべく低価格で供給しようとする私たち洋館家グループでは、この営業コストの削減にも注力しています。まず第一は、住宅の定価販売の実現です。「通販住宅」は、家を定価で売るという取り組みです。もちろん、通販カタログやテレビショップでも「何%OFF」といったことは行われていますが、それは「見た人全員に対して告知」されていますから、個別に値引きされているわけではありません。値段に対する個別交渉はないのです。

 住宅販売においても同様のことが行えれば、そこに費やされていたコストを〝原価〟から除いて定価設定をすることができます。

 本部の広告宣伝では、常に定価での告知をしています。施工にあたって、立地などで付加費用が必要な場合は見積もりしますが、そこでも不要な価格の駆け引きはしません。原則として値引きは受けませんし、価格交渉を求めてくるお客様などについては、電話やメールなどによる一定のやり取りの中で〝見切り〟もさせていただいています。定価販売を徹底することで営業コストを省く……この原則を貫くことで「通販住宅」を完成させたいと考えています。

 

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