【連載94】ネット通販を無視できない時代に
- 2019/04/15
- カテゴリー:日本の賃貸住宅を変えていこう
近い将来、住宅は「資産から商品」になる、いや、そうしていかなければ、多くの人が人生を楽しめる社会にはならないと私は考えています。住宅販売も「商品」として改めて売り方を見直すべきだとも考えます。その一つが、住宅の〝通信販売〟です。当社では数年以上前から、その実現に向けた取り組みをしています。
通信販売の利用者は、インターネット、特にスマートフォンの普及により、世界中で急速に増えています。日本でもネットショッピングを利用する世帯の割合は、2002年にはわずか5.3%にすぎなかったものが、2018年8月には39.5%と大幅に増加しています(2人以上の世帯。総務省。書籍『洋館家グループの挑戦』にも記載)。このデータには、まったくインターネットを利用しない高齢者世帯も含まれているため、現役世代に限れば普及率はもっと高いと思われます。
ネット通販の最大の魅力は、以前なら限られた場所でしか手に入れることができなかった商品が、どこに住んでいても簡単に購入できる点にあります。その便利さから急激に普及しているわけですが、そのことにより従来の対面型の販売形式をとる実店舗は、完全にネット通販店舗の勢いに押され気味で、苦戦を強いられているケースも多くなっています。もちろん、ネット通販の売る側のメリットを享受している事業者もたくさんいます。店舗や対面サービスへのコストが削減され、それにより利益率を維持、あるいはアップさせながら販売価格を引き下げることができるからです。そしてそれは、買い手の直接のメリットにもなります。いまや、あらゆる業種がネット通販を無視できなくなっているのです。
ネット通販での高齢者の利用はまだそれほどではないと考えるむきもあるかもしれません。しかし、カタログや新聞折込の通販利用者は高齢者にもたくさんいますし、その代表格はテレビショッピングです。「対面型でない販売」を通販として大きく括るなら、「通販で物を買う」「買うならば通販を選ぶ」という層は相当数にのぼり、今後ますます増え続けていくでしょう。
通販で買いたいというニーズの高まりに対応し、家電品や食品、高級嗜好品から日用品まで、ありとあらゆるものが通販で売られるようになってきました。生鮮食品やセミオーダーの洋服など、かつては通販では無理だろうと言われたものも現在では大量に販売されています。
それならば住宅を通販で買いたいというニーズも確実にあるわけで、住宅を通販で売ることも不可能ではないと、私は考えるのです。
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