【連載110】2019年を振り返る
- 2019/12/16
今年も早いものであと半月ほどになりました。あっという間の1年間でしたが、振り返るとさまざまなことがありました。今年は平成から令和へと元号が変わる節目の年でした。
経済面での重大ニュースとしては、消費税の増税があげられるでしょう。増税前の駆け込み需要なども多少ありましたが、増税後の反動、軽減税率の導入による混乱、キャッシュレス化推進策などの影響は、もう少し様子を見なければなりません。しかし、いずれにせよ増税が景気に好材料を与えることは考えにくいと考えるべきでしょう。私たち住宅産業は、景気の影響を大きく受ける業種の一つです。巷間では、来年の東京オリンピック開幕前に景気の落ち込みがあると懸念する声も上がっています。景気低迷に耐えられる企業づくりに一層努めねばならないと切に思います。
社会面での重大ニュースとしては、台風15号、19号による豪雨浸水災害があげられるでしょう。昨年の西日本豪雨に続き、今年は東日本の各地で大きな被害がありました。被災された方々に改めてお見舞いを申し上げますとともに、1日も早い復旧復興を祈りたいと思います。
自然災害の激甚化が懸念される中、「災害に強い住宅づくり」も私たちに課せられた重要な責務の一つであることは言うまでもありません。しかしながら、今回の豪雨災害のような洪水や土砂崩れによる被害を、一企業レベルで防ぐことはなかなか困難です。住宅供給事業者としてまずできることとしては、防災面での立地の調査、近隣河川等の災害リスクと防災対策情報の収集といったことをしっかり行い、施主様に対して情報提供することなどがあげられるでしょう。そして販売にあたっては、災害時に対応する保険とその補償範囲について情報も提供し、最適な加入をお勧めしていくことも大切です。
今回の災害報道を見て私が強く感じたのは、住宅の「立地」は、単に経済的な側面からだけでは判断できないということです。当然と言えば当然ですが、とかく住宅を売る側は、交通の便や商業施設など経済的な利便性ばかりを強調してしまいがちです。高度経済成長期以降、全国で行われてきた住宅開発は、そこが歴史的にどのような自然災害に見舞われたかとか、開発によりどのような災害リスクが生じるかといったことをおざなりにしてきた感があります。「この土地は人が住むことに向いているか」ということを、多方面からしっかり検討する姿勢が常に求められることを、今一度、住宅開発に関わる事業者は肝に銘ずるべきだと思います。
このように日々報じられるニュースのほとんどが、私たちの事業と無縁ではありません。より良い家づくりは、より良い社会づくりにつながると信じて、来年も事業に取り組みたいと思います。皆様も、どうぞ良いお年をお迎えください。
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