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2019年03月の記事は以下のとおりです。

【連載92】都心部への回帰が始まっている

 前回、本部では全国の都市の状況を調査し、戸建賃貸住宅をぜひ建築すべき立地、逆に建築は思いとどまるべきエリアなどを把握していると書きました。これについては、もう少し説明が必要かもしれません。

 現在と将来の市場動向を把握するためには、歴史を遡った上で、その正しい理解が必要です。日本は戦後、高度経済成長の時代を突き進むわけですが、1970年代以降の時代の経済成長については、その要因として次のようなことが挙げられます。

 まず政治的には、1972年に総理大臣に就任する田中角栄が唱えた「列島改造」。これにより、「過疎」「過密」「公害」の分散化が起こりました。功罪はともかく、分散化を促進するために鉄道、空港、港湾、高速道路の建設、整備が全国的に行われました。

 経済的には、輸出国ニーズの高まり、商品格差による輸出増大が挙げられます。ここでは特に、アメリカ司法省の判断による、パテントの独占から一般への開放が大きな影響を与えました。

 またこの時代は、3040代の労働力人口が潤沢に存在していました。

 さらに金融では、ドル建て換算が197112月まで1ドル360円の固定相場制でした。日本は高品質な技術力で、かつてのような欧米のコピー商品製造から独走商品の生産と輸出に移行していったわけです。

 政治的な判断、パテント開放の歴史的裏打ち、潤沢で良質な労働力、金融面での優遇、高い技術力といったものを内在し、政治も行政も民間も、それぞれが使命を全うした結果、日本は世界第2位の経済大国のポジションを獲得したわけです。

 しかしこの流れは、1980年代をピークとして、次の段階に入りました。現在、世界的に資本主義競争社会は成熟化し、その結果、格差社会・貧富の差が拡大しています。日本においては、政治の多様化がみられ、経済ではコストの安い発展途上国への生産のシフト、労働力の高齢化と衰退、金融では為替の変動制、技術力の衰退と海外逃避などがみられるようになっています。

 こうした状況をざっくり言えば、成長期とは反対に、「拡大型から縮小型」へとシフトしているということです。日本の過去の経済成長のモデルである、地方へ、地方へという分散拡大とは逆に、都心部への回帰が始まっているのです。

 この流れはいま始まったばかりとも言えますが、今後のビジネスに大きな影響を与えることになってくることを知っておく必要があります。

 

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