【連載104】「戸建賃貸投資の波」を伝える②
- 2019/09/17
- カテゴリー:日本の賃貸住宅を変えていこう
賃貸住宅への投資について、多くの金融機関は誤った情報を流しています。金融機関はお金を貸すのが商売ですから、借り手を探しますし、昨今の経済状況の中で地方銀行などが多少無理な営業をするのも仕方がないかもしれません。ただ、金融機関が誤った情報を流し営業することは、社会にも深刻な影響をもたらします。少なくとも賃貸住宅への投資については、私たちが金融機関に正しい情報提供を行い、これまでの流れを変えていかねばなりません。
正しい情報とは、集合住宅投資は限界に来ていて、これからは戸建賃貸投資が主流になるということです。その理由は、税理士と共著の『RA投資マニュアル』『RA投資の波にのれ』で述べていますが、ここで改めて、簡単にポイントを列挙しましょう。
まず、「住宅取得信仰」は行き詰っている。それは全国で846万戸もの空家という現実からも明らかです。高度経済成長期以降続いた住宅建築ラッシュは、郊外にどんどん拡がっていきましたが、今、その郊外の住宅地の高齢化、空室増加が顕在化しています。高齢化と人口減少社会に突入したことにより、都市集中の加速度が増しています。もう、郊外、地方の集合住宅は需要がなくなるのです。
地方から首都圏など都市部に行った子供たちは、もう地方には帰らないでしょう。地方の親たちが亡くなればその家は空室になります。都会に出た子供たちも、都心では買えないからと郊外に家を求めましたが、その子たちも老いて、郊外の暮らしでは不便に感じるようになっています。郊外の家を処分して、より便利な都心部に住み替えをする人も出てきています。そのようなことで、郊外の住宅での空家も増えてきます。
けれども、都心部に住み替えたくてもそれができないという人が圧倒的です。住み替えるための資金がないからです。住宅というのは償却資産です。郊外に家を買い、長い通勤時間を我慢して30年以上ローンを払い続け、完済した時にはその家の資産としての価値はほとんどなくなります。木造モルタル建築は20年もすればほとんど価値がなくなります。価値があるのは土地だけ。マンションの区分所有であれば、その価値さえありません。コンクリートの建物の多くの寿命は50年ですが、マンションの住宅としての価値はそんなに長くありません。
この現実に、人々は気づき始めています。ではどうするか。「家は買わない」という選択が増えることは間違いありません。そうなると賃貸住宅の市場は広がります。しかしそれは、アパート・マンション需要が増え続け、投資メリットも増え続けるということではないということを、投資する側は知っておかねばなりません。
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