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2019年11月の記事は以下のとおりです。

【連載108】「より健康になる家」づくり

  • 2019/11/15

 先日、あるセミナーを聴講してきました。主催は建築と医学を考える研究会で、講師には複数の現役の医師も登壇しました。講演の趣旨は、私が長年考えていたことに近い視点であり、その多くが大変参考になりました。

 建築と医学というと、まったく無関係のように聞こえますが、「住まいと健康を医学的見地から考える」と言えば分かりやすいかと思います。住まいと健康について、私も以前から、人が「より健康になる家」を“科学的に”つくれないかと考えていました。

 快適な住まいは誰しもが求めることです。近年、シックハウスによる健康障害については社会に広く知られるようなり、その予防や対策は、住宅メーカーに求められる社会的責任の一つともなってきました。当社においても、信頼できる大手優良メーカーの建材を採用し、換気等に配慮した設計を行い、シックハウス症候群が生じない住まいづくりを進めています。

 しかしながら、シックハウス対策は「健康障害を防ぐ」ということで、「健康を増進させる」というものではありません。「住んでいるだけで健康になっていく家」……そういう家を作っているという建築業者はあまり聞きません。健康を害さない家というのは、いわば当然のことで、やはり人々が求め、ハウスメーカーが追求すべきなのは、「より健康になる家」づくりだろうと思います。そういう家をつくる業者になれないかと私は考えるのです。

 もちろん、住まいの建築にあたり、健康を考えて風水などにこだわる施主さんもいます。注文住宅であれば、そういう施主さんの要望に応えられます。風水をどう評価するかは別として、風水に限らず、長年伝承されてきたことや慣習などには、人々の経験値が元になっていることが多いわけですから、尊重することも大切だと考えるべきでしょう。

 しかし、商品として住宅を供給する私たちが、その商品が健康増進につながるとPRして販売していくには、多くの人が納得する根拠を示さなければなりません。企画住宅を売るのであればなおさらです。科学的根拠が必要なのです。

 私が聴講した建築と医学を考えるセミナーは大変参考になりましたが、私自身はまだ、「より健康になる家」についての理論武装が完成していません。「より健康になることが科学的に証明できる住宅づくり」は、世間でもまだ明確な理論は確立されてはいないのではないかと思います。しかし、それができないとは言えません。

 健康であることは幸せなことです。健康は、多くの人が求めることですから、「住んでいるだけでより健康になることが科学的に証明できる住宅」は多くの人が求める住宅となるはずです。その実現のためには、ハード面、ソフト面でさまざまな研究が必要でしょうが、いつか実現すると信じたいと思います。

 

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