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【連載196】戸建賃貸はオーナーと入居者の利益を実現した唯一の住宅

  • 2023/09/01

 日本の住宅供給は大きく3部門から構成されています。持家(一次取得から建替え)、建売(土地付き分譲マイホーム、分譲マンション)、事業用建築(賃貸住宅、不動産活用)ですが、その全ての分野で減少に転じています。これは景気の動向や世界経済の影響などといった単純なものではなく、構造的な要因(生産労働者の減少、少子高齢化社会の到来、人口減少、物価高騰による所得の減少など)によるものです。今や住宅戸数は世帯数を上回り、空き家、老朽化、廃墟等となった住宅の数は、2030年には2,130万戸(空き家率30%)と顕著に増え続けています。また、核家族の増加に伴い住宅構造の変化(一世代限り)による廃墟率の上昇、資産価値の減少など、今や住宅は資産ではなく「死産」と化しています。

 これからの「住宅が余る時代」に、我々はどう受注を増やすのか…その方法はないわけではありません。現在、持家と賃貸の比率は約61%:39%の割合になっており、近年30代~50代においては賃貸希望者が増加傾向にあります。その理由としては、①多額のローンを抱えたくないから《20.9%》②家族の状況の変化(子供の独立や転勤)などに合わせて自由に住み替えたいから《19.2%》③維持管理の煩わしさがないから《17.8%》④固定資産税、相続税などの支払いが重いから《7.7%》⑤資産価値として期待できないと思うから《5.6%》等があげられています。国土交通省の調査では「土地が預貯金や株式等に比べて有利な資産と考える」割合は、かつては60%以上でしたが、2018年以降は32.6%で、「有利な資産と思わない」と回答した人の割合39.4%を下回っています(内閣府データ)。

 現在、賃貸供給量(89%が共同住宅)は約2,000万戸(国土交通省調べ)といわれています。その中で空き家率は23%(日本賃貸住宅新聞調べ)あり、約1,520万戸が稼働しています。ここで持家希望者(61%)と賃貸希望者(39%)の比率で見てみると1,520万戸×39%=592万戸です。そして、「すぐにでも戸建てであれば借換えを希望する」という人の比率は30%(日本賃貸住宅調べ)なので、集合賃貸約177.6万戸の入居者が戸建賃貸入居希望者となります。

 戸建賃貸住宅の当事者は、大きく分けると建築するオーナーとそれを賃貸借する入居者に分けることができます。オーナー(経営者)は回収率を重視します。また、入居者は共同住宅と違い、壁一枚が他人という環境から解放されるという価値があります。互いの利益が一致することで長期に渡り入居するため、空室がほとんどありません。戸建賃貸住宅は双方の利益を実現した唯一の賃貸住宅なのです。

 次回は、売れるシステム(販売計画)や入居者募集(安定経営)についてお伝えします。

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