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2020年07月15日の記事は以下のとおりです。

【連載124】ウィズコロナのハード・ソフト

  • 2020/07/15

 7月になっても新型コロナウイルスの感染問題の収束はなかなか見えてきません。経済界の多くの人々は、第2波による緊急事態宣言や休業要請によるダメージを懸念しています。実際、4月からの緊急事態宣言が経済に与えた影響は大きなものがありました。1か月の休業で存続が脅かされる中小企業や商店が実に多い現実は、日本の経済のある種の脆弱さを感じざるを得ません。

 自粛や休業により収入を失った人々への家賃減免の議論も早くから取り沙汰されました。店舗や事業所については、法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円を一括支給する家賃支援給付金の支給が決まりましたが、マスコミの論調などでは、収入が得られない店舗から家賃収集するオーナー側がまるで悪者のような扱いも見られました。しかし、私たちの業界の者であればだれでも知っているように、貸している側の多くは「待ったなし」のローンを抱えながら賃貸経営をしています。「収入がないから家賃を払えません」「そうですか」とはいかないわけです。

 4月、5月の緊急事態宣言中の政府対応についてはさまざまな意見があり、1人あたり10万円の給付の是非なども大いに議論となりました。国内総生産(GDP)の5~6割を占める個人消費を支え、活性化させるための施策は重要ですが、方法としてあれでよかったのかという疑問も呈されています。金額、給付回数、あるいは消費税の徴収停止など、考慮すべきことはあったのではないかという指摘です。みなさんはどうお考えでしょうか。

 いずれにせよコロナ禍は終わっていません。経済活動と感染拡大防止の両立が叫ばれる中で、経済に限らず、ここまでの経験を踏まえ、知恵を出し合ってこの困難な時代を乗り切っていきたいと思います。

 私たちの仕事である住宅の分野でも、コロナ対応での人々の暮らしや思いなどから、これからの住まいづくりを考えるヒントがいくつかありました。例えば、緊急事態宣言中は、在宅勤務や学校閉鎖で家族全員が毎日家にいるという状況がありました。しかし多くの日本の住宅では、家族全員が1日中家にいてそれぞれがそれぞれの時間を過ごせるようにはできていません。狭いということもありますが、テレワークなどを想定した間取りにもなっていません。

 「アフターコロナ・ウィズコロナの住宅はテレワークを想定しよう」という声は、住宅業界、不動産業界ですでに語られています。しかし私は、それは広さや間取り、あるいは設備といったハード面だけでは実現しないと思います。1日中家族が顔を突き合わせることで生じる人間関係のストレスを緩和させるソフト、それを支援するハードが必要だと思います。

 新型コロナウイルスへの特効薬が生まれたとしても、今後も新しい未知のウイルスは次から次へと出現してきます。私たちはそれを前提とした暮らし方、社会のあり方を考えていかねばなりません。住宅のあり方も、その前提で考えていかねばならないと思います。

 

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