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2019年04月01日の記事は以下のとおりです。

【連載93】住宅は「資産から商品」に

 日本の過去の経済成長のモデルである、地方へ、地方へという分散拡大とは逆に、都心部への回帰が始まっています。この流れが、コンパクトシティーづくりの必要性を高めるものともなっていることは以前、書いた通りです。

 加えて、人口構成の変化もビジネスに大きな影響を与えてきます。2022年には65歳以上が全人口の3分の1を占めるようになると言われています。そうなれば、消費体系も大きく変わることになります。

 日本の人口は、終戦時の1945年は7,199万人でした。それが2010年には12,806万人となります。わずか65年間で5,607万人も増加したわけです。しかし、そこをピークとして、日本は人口減少社会に突入しました。そのスピードも速く、60年後の2080年代には7,090万人と予測され、1945年の水準にまで戻ってしまうということです。

 人口の減少をどうすべきかという議論も大切ですが、ビジネスの世界にいる私たちは、日本が7,000万人の人口になったときに何が変わり、そしてビジネスの面では何ができるのかを検証、検討していくことが重要であろうと考えます。それが、本部が行っている全国の都市の状況を調査し「戸建賃貸住宅をぜひ建築すべき立地、逆に建築は思いとどまるべきエリア」などの把握作業なのです。

 数年前から本部では、ぜひ建築すべき立地のAゾーン、条件によっては建築を行うBゾーン、建築は思いとどまるべきCゾーンを独自に設定しています。本部での建築案件はもちろん、施工店や販売店募集も、こうした調査に基づき方針を決めて行っているわけです。

 65歳以上が全人口の3分の1を占めるようになれば、住宅のニーズも大きく変わります。まず住宅そのものの需要は減じますし、エリアや家族構成、性能など必要とされるものについて、変化に応じた住み替えが可能かどうかが重要視されてきます。売買か賃貸か、戸建かマンションか、都心部か地方の都市部か、といった選択を多くの人が行うようになります。建築不動産業界は、これまでのようにただ住宅を供給すればよいのではなく、こうした選択を行う層のニーズに応える対策を行わねばならないのです。

 変化に応じた住み替えがさかんに行われるようになれば、住宅は「資産から商品」になります。そのことへの意識変革を買う側も供給する側も行っていかねば対応は難しくなります。

 資産は取得時の価値が最大で、時間の経過とともに価値が減少します。しかし商品は、価値を落とさぬ工夫により価格が決められます。欧米の住宅は築年数に関係なく価格が上下します。住まいを「商品」として位置付けているからです。そのため、普段の管理や環境整備に力を入れ、消費価値を下げぬ工夫が行われています。日本の住宅も、そうであるべきだと考えてもよいのではないでしょうか。

 

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