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【連載100】最近の住宅施工事件から考える

 昨年2018年に発覚した賃貸住宅建築大手のレオパレスの施工不良事件は、今年になって新たな不良が発覚し、同社はその補修等による損失が莫大となることを発表しています。同業者の不祥事をあげつらうことは慎むべきだとは思いますが、この件について私の今の考えを少し記録しておきたいと思います。

 施工不良は、当初1994年から1995年にかけて施工した集合住宅に問題があったとされました。次いで、1996年から2009年にかけて施工した物件の一部に建築基準法違反があったと発表されました。これらの補修工事により入居者の一時退去や募集停止、風評によるレオパレス物件への入居敬遠などにより、当社物件のオーナーは深刻な被害を被っていると言われています。

 同社の経営の先行きに対する様々な憶測から、同社の株の買い占めや物件の買い叩きの話も出ているようです。昨年のかぼちゃの馬車事件も相まって、事業用物件への金融機関の貸出は極めて厳しくなっており、アパート・マンション建設の新規受注にも大きな影響がでています。

 しかしこれは、見方によれば、賃貸経営で苦戦する人を減らす効果があるとも言えます。レオパレスに限らず、いわゆるサブリース営業の問題点はこれまでも色々と指摘されていました。賃貸経営は事業であるにもかかわらず、事業経営の意識が低く、契約内容を精査せずに賃貸経営を行い失敗する人が実に多いという現状を是正するためには、この問題が今さらながらマスコミに喧伝されることは意味があります。

 1973年に創業したレオパレスは、オイルショック後の不況とその後のバブル時代、そして平成の長い景気低迷期にも、一貫して成長を続けてきたように見えます。そこには有名タレントを起用したCM戦略のほか、様々な「業界初」のアイデアがありました。「レオパレス21」のブランドは、1985年の業界初と言われた「敷金無料型賃貸マンション」がスタートです。同様に業界初の「一括借上システム」は1993年、「家具・家電付き」は1999年に同社が大々的に始めたものです。

 その間、同社では経営トップや営業現場で、多くのコンプライアンス上の問題が指摘され、一部は事件として報じられてきました。今回の施工不良についても、関係者の間では早くから問題視されていたようです。

 施主や入居者といったお客様の利便性を追求したサービスにより成長した会社が、お客様を無視した違法・不正を常態化させていたのはなぜなのか。すべての根源は、競争社会が持つ弊害にあると思わざるを得ません。

 同社の事件を他山の石として、私たちは競争社会ではなく、「共存社会」の実現を目指したいと強く感じます。

 

 

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