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【連載101】相続対策への関心の高まり

 大手ハウスメーカーの不祥事が報じられる中、投資物件に対する融資も厳しくなっています。このことは、賃貸住宅経営者を行おうとする人や、そのサポートをビジネスとしている私たち住宅産業にも逆風となっています。もちろん融資する側の銀行も、融資を厳しくすることは自身の商売を狭めることになるわけで決して良いことではありません。しかしながら、これまで銀行など金融機関は、営業実績を上げたいがために、融資先の返済能力やそれを担保する投資物件の価値などを過大評価し、無理な貸し込みをしてきた面もありますから自業自得です。銀行の自己本位の営業で消費者や産業界が振り回されることは、これまでも何度も繰り返されてきました。「自分だけ勝てばいい」と考える競争社会がもたらす典型的な現象の一つです。

 しかしそれでも巷には今も、アパートマンション経営を勧める宣伝があふれています。空室が増加する中でアパートマンションのニーズがまだまだあるというのは変な感じがしますが、アパートマンションのニーズではなく、アパートマンション“経営”のニーズがまだあるということなのでしょう。その背景には、相続税対策への関心の高まりがあります。

 すでに皆さんもご承知のように、平成27年度(2015年度)の相続税の申告から基礎控除が改定され、国税庁の統計データによれば、相続税の申告対象者は約2倍に増えました。相続税の対象となる人の割合が、4%から8%へと増加したのです。これは全国平均であり、東京23区などで土地などを相続する人の場合、4人に1人は相続税申告の対象者となるとも言われています。

 さらに昨年、民法の相続に関する部分が、約40年ぶりに改正されました。改正法は、先月71日から実施されています。改正の内容を改めておさらいすると、①配偶者居住権の新設、②遺産分割に関する見直し、③遺言制度に関する見直し、④遺留分制度に関する見直し、⑤相続の効力に関する見直し、⑥相続人以外の貢献を考慮するための方策……などですが、これらが週刊誌やネットサイトなどでさかんに取り上げられることで、多くの人が相続対策に関心を持つようになってきたわけです。

 銀行や大手ハウスメーカーもこうした状況に目を付け、数年前から相続対策セミナーなどをさかんに開催してきましたが、参加者は年々増えているようです。これまでも資産家と呼ばれる人は、何らかの相続対策を行ってきたわけですが、相続税申告の対象が増えたことにより、今まで何の準備もしていなかった人たちが、にわかに情報集めに走っているという状況なのです。

 

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