【連載123】アフターコロナ・ウィズコロナの住宅営業
- 2020/07/01
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言の解除後の世の中は、「アフターコロナ」とも「ウィズコロナ」とも呼ばれています。国民の多くが、3月以前の暮らしや行動とは、明らかに変わったともいわれています。政府が推奨する「新しい生活様式」が、感染の収束後も定着するのかは不明ですが、少なくとも1年程度は、3密や不要な濃厚接触を避けるという感覚は多くの人々が持ち続けるでしょう。
こうした変化は経済活動にも影響し、さまざまな業界で、営業や商品開発、業務のやり方などに以前とは異なったやり方、考え方が広まっています。テレワークの推進は本社機能の見直しにもつながり、都心の一等地に広大なオフィスを構えることはないとまで言い切る企業も出ています。このことは都心部のオフィスを扱う不動産会社にとっては脅威です。
大企業が入居する都心の大型ビルはスペックも良く、その需要は確実にありますので、撤退する企業があっても新たに入居するテナントはいます。心配なのは、より良いビルにテナントが動いてしまうビルの所有者です。大規模高級ビル、中規模ビル、小規模ビル、小規模低スペックビル、老朽ビル……玉突き式に空室が増えるのではないかということです。
また、テレワークなのだから、都心のマンションにこだわることはないだろうということで、周辺部のマンションや戸建ての人気が高まるという話もあります。都心回帰の流れが一段落するのではないかという読みで、売りにくくなっていた通勤が遠いエリアの新築マンションも売れるのではないかと期待があるようです。しかしこれについても、人口減少の中で、都心回帰と地方都市のコンパクトシティ化は必然だとする考え方からすると、それほど期待できません。
今述べたことだけ見ても、「供給過多で悪い物件は埋まらない」というこれまでの図式に変わりはありません。コロナ禍で人々の生活パターンや消費行動に変化が出ても、価値観の変化による不動産・住宅業界の大きな環境変化はそうすぐには生じないでしょう。
コロナ禍によりそれ以前とは暮らし方に対する価値観が変わったという人は少なくないでしょう。だからといって、生活のあり様をすぐに変更したという人は稀です。それでも、多くの人が少しずつ、これまでの生き方について考え直し、より自分の人生にとって楽な選択をするようになっていくはずです。その中の一つとしてよく言われているのが「住宅ローンを抱え満員電車で通勤する」ということの見直しです。これは、日本人の住宅に対する考え方を大きく変えるのではないかと思います。それにともない私たちは、インドアライフ(室内生活)を見直す必要がありますが、そのことについてもさらに深く追求していきたいと思います。
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