施工店インタビュー 008

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山村聡 氏


良い住宅を低価格で
提供するために決断

小野寺燃料株式会社 代表取締役
小野寺 昌顕 氏




1972年(昭和47年)に札幌市西区でLPガス販売店として創業。その後、1983年(昭和58年)に法人化するとともに、灯油販売や住宅設備機器の販売で業容を拡大し、現在、LPガス顧客約1万軒、灯油顧客約8,000軒の大型店に成長。2003年(平成15年)に不動産管理・販売を行うグループ会社カンリー・コーポレーション(株)を設立、10年前からは住宅リフォーム事業を本格化、2011年(平成23年)から新築住宅の建設にも参入している。


小野寺燃料株式会社
本社/札幌市西区八軒10条西3丁目4-30
電話 011-612-8080
代表取締役 小野寺 昌顕
http://www.6128080.com/

◀ 当面はモデルハウスとして公開される
  小野寺燃料の寒冷地仕様『シェリー・メイゾン』。
  建物の右側は灯油タンク  



洋館家との施工店契約を行い、このほど1棟目を完成させた札幌の大型燃料店の小野寺燃料の小野寺社長と建築・不動産部門の責任者・大木部長に同社の取り組みを伺いました。

  良い住宅を安く供給したい

ーー燃料会社がなぜ戸建賃貸を?

小野寺 灯油やLPガスの価格が高騰すればお客様の負担が増えます。でも我々も仕入れが上がっていますから、ただ値引きをするわけにはいきません。お客様の暖房費や給湯代を節約するには、設備改善や住まいそのものの取り換えが必要です。当社がリフォームに参入した主な理由はそれです。燃料店である当社はハウスメーカーさんや管理会社さんから仕事をいただくという立場ですが、ガスの保安管理などはお客様の住まいの管理の一つですので、オーナー様から要望があるアパートなどについては自社で管理業務をさせていただくようになりました。不動産管理業としての資格も必要ですので別会社として発足し、不動産会社として自立するために売買なども行うようになったというのが、グループ会社のカンリー・コーポレーションの成り立ちです。空室が増えるとオーナーさんは困りますが、我々燃料屋も困ります。入居促進のためにはどんな住宅が良いのかの研究もしました。

ーー洋館家との出会いは?

小野寺 オーナー様の空室対策や資産運用、相続対策などを一緒に考える中で、戸建賃貸を知り、洋館家の福田社長にオーナー会で講演をお願いしたりしました。でも、自社でやってみるというところまではなかなかいきませんでした。寒冷地仕様をあの値段で造るのは無理だと考えていましたから。

ーー施工店契約を決めた理由は?

小野寺 約10年前、当社の最大のお得意様でもあった地元ハウスメーカーが倒産しました。北海道の風土にあった良い住宅を造る会社で、私の家もそこで建ててもらいました。良い職人さんや優秀な社員もたくさんいましたから、その人達となんとか仕事ができないかと、リフォーム部門を立ち上げたわけです。そのうち、リフォームだけでなく新築も手がけるようになってきて、燃料と不動産と、もうひとつの柱に成長する可能性が出てきました。ただ、倒産した会社の住宅は、良い建物だけれども価格が高いという難点がありました。価格が高いと大手ハウスメーカーと競合しますし、賃貸住宅を考えているオーナー様には投資コストが大きくなってしまいます。なんとか価格が下げられないかと規格住宅を検討していたところ、洋館家の住宅が北海道でもできるということになって契約を決めたのです。

  積雪地帯の寒冷地仕様

ーー寒冷地仕様としてどんな工夫をしましたか?

部屋
▲ ストーブの排気筒は屋外の積雪を
考慮し、高めに設置されている

大木 函館に洋館家の建物が建ったというので早速見させていただきました。ただ函館と札幌では、やはり環境が違います。一番大きいのは積雪量です。いろいろ検討しましたが、屋根は屋上で雪を溶かす無落雪屋根にすることにしました。これは当社が得意とするところですが、普通のフラット屋根に比べれば高くなります。基礎も深くしましたし、函館の家よりも小窓を減らして開口部を少なくし、積雪を考慮し排気筒の位置を高くするなどの工夫をしました。


ーー問題の価格面はどうでしたか?

無落雪屋根の板金工事
▲ 無落雪屋根の板金工事

大木 最初のことですからやってみないとわからない、という感じでヒヤヒヤしました。価格が上がってしまっては、洋館家モデルを採用する意味がないわけですから。当社の現場スタッフは家づくりにプライドがありますから、安くやれと言っても当然手抜きはしませんし、変な材料も使いません。本部支給の材料と、こちらで調達したものを使って、どうやればコストが下がるかを考えました。なんとか予定内でおさまりましたが、これは今後も継続して考えていかねばならないと思います。




基礎型枠
基礎
▲ 基礎は深めに工事している

04topi

 エネルギー提案もしていきたいtopics

大木部長
▲ 小野寺燃料サンクローバーハウスの小冊子

小野寺  燃料屋が住宅を造るわけですから、暖房や給湯のことは第一に考えます。住む人のことを考えれば、寒くない、結露などの不具合のない家。そのためには、断熱と性能の良い機器を適切な場所に設置することです。燃料屋ですからお客様にたくさん燃料を使ってもらいたいところですが、燃料費のことを考えればなるべく効率が良い機器やシステムを付けなければなりません。当社の注文住宅や建売住宅ではLPガスバルクシステムとハイブリッド給湯暖房システムで、高効率で災害時にも強いエネルギーシステムを提案しています。

大木部長
▲ 大木部長

大木  ハイブリッド給湯暖房システムは今回のモデルハウスにも取り付けたかったのですが、住宅全体の価格が上がってしまうので断念しました。ハイブリッド給湯暖房システムは当社の他の物件でご覧頂き、良ければオプションで付けます。住宅本体の価格も大事ですが、住んだ後のトータルの光熱費までしっかり提案できるようになれればと思っています。


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  燃料店の強みと管理会社の視点を活かす

担当者
▲ 担当者

--燃料店が住宅建築や販売に参入するハードルは高いのでは?

小野寺 住まいのことを知らなければ燃料業はできません。しかし、建築は門外漢であることは確かで、ベテランと腕の良い職人がいたからこそここまでこれました。不動産管理も、住宅リフォームや建築も、最初は「余計なことをするな」と言う不動産屋さんや建築会社さんもいないわけではありませんでした。しかし当社がいくら頑張っても、札幌の不動産管理や建築の仕事を全部持っていってしまうなんてできません。燃料の仕事で長年お付き合いしていたお客様からの要望があって、当社ができることであればお引き受けする、ということです。実際、相見積もりで他社に決まり、他社が建てた建物の管理や燃料供給も喜んでやらせていただいています。ただ、こだわりの注文住宅では当社が選ばれることもありましたが、「価格が明確で安い」という打ち出しができなかったので、そこを洋館家のノウハウで補おうとしているのです。

  お客様のさまざまなニーズに応える

ーー 今後の取り組みは?

大木 モデルハウスには、まず当社の燃料のお客様の地主さんやアパート・マンションオーナー様にお声がけしました。反応は上々です。また、これなら賃貸でなく自分の子供の家でも良いという方もいらっしゃいました。戸建賃貸として宣伝しますが、低コストの注文住宅として選んでいただけるようになれば営業の幅も広がります。あとは、どうやってコストを下げるかということを追求したいと思います。
小野寺 札幌でも格差は広がっていますから、高価格の新築住宅だけを扱っていては当社のような後発の建築屋は生き残っていけません。低価格で建てられる家を望んでいる人はとても多いと思います。それが賃貸か建売なのかはわかりませんが、お客様のさまざまなニーズに応える住宅商品を持ちたいと思っています。燃料業も燃料単品で経営が成り立つ時代は終わります。燃料を売るだけでなく、燃料の節約を提案して対価を得ることも考えなければなりません。それをするには、高品質住宅の建築という分野も必要だと私は考えます。



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