施工店インタビュー 007

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山村聡 氏


大手との競合を避け
戸建賃貸での躍進をめざす

北の国建築工房株式会社 代表取締役
山村 聡 氏




 函館で40数年にわたり建築業に関わってきた山村社長が、地元の不動産会社と連携し、2014年に設立。今年、新幹線が開業する北斗市に事務所を構え、戸建賃貸住宅建築とメインとした営業活動を、函館市、北斗市、七飯町を中心に道南エリアで展開している。「本業は大工」という現場に精通したスタッフが、営業も担っている。随時更新されているホームページ内の「スタッフブログ」では、工事事例などのほか同社の建築に対する考え方も発信している。


北の国建築工房株式会社
本社/北海道北斗市東前3-153
電話 0138-84-8612
代表取締役 山村 聡
http://www.kitanokuni.co.jp/

◀ 函館市の五稜郭公園そばの住宅地に
  建築されたモデルハウス(左)



北海道での施工店第1号の北の国建築工房に、北海道道南エリアでの事業展開について伺いました。

  道南エリアにはない商品

ーー洋館家との出会いは?

山村 私は15歳で大工になり、40数年間、函館で建築業に関わってきました。もともと新しいことが好きで、20数年前には、まだこのあたりでは珍しかったツーバイフォーにも取り組み実績を上げました。3年ほど前、懇意にしている不動産会社の人から、洋館家のことを聞きました。価格を明確に打ち出した住宅販売ということを以前から考えていましたから、これだと思いました。早速、本部を訪ねて物件を見させてもらい、低価格でもしっかりしたものが造られていることを確認し、昨年、契約しました。洋館家の戸建賃貸を中心に新しくスタートを切ろうと、昨年、法人化したわけです。

ーー決め手は、低価格ということですか?

山村 価格面もそうですが、やはり戸建賃貸という点です。このエリアでは戸建賃貸のニーズは確実にあるのですが、ほとんど供給されていません。我々のような小規模な建築業者が事業を行っていく上で、大手とまともに戦って勝てるわけがありません。大手がやっていないこと、やらないことをやる。その一つが、戸建賃貸です。もちろん、戸建賃貸として建てた建物をモデルハウスとして公開すると、注文住宅としてオーダーしてくるお客様もいらっしゃいます。しかし当社では、当面は戸建賃貸を前面に出した営業を行っていきます。

  低価格であっても品質が良いことを知ってもらう

ーー北海道ということで本州の建物との違いもあるのでは?

山村 最初に本部で建物を見た時から、この建物を北海道で建てるにはどうすべきかを考えました。契約して設計図を見て、規格住宅のメリットを活かしつつ、この地域にあった寒冷地仕様にする方法をさらに考え取り組みました。断熱は本州のようなものではだめです。例えば、本部の設計図には暖房機の置き場所が取ってありませんし、給湯器も屋外です。本州の建て方ではどうしても対応できないことがあります。函館はそれほど雪が積もりませんから屋根の問題はそれほど心配ありませんが、寒冷地仕様では積雪や凍結への対処も必要です。この部分の改善は、当然コストがかかりますから、どうやってそれを抑えていくかが課題でした。

ーーコストの問題はどう解決しましたか?

山村 正直、やってみないとわからないということもありました。最初の1棟、2棟で、パッケージでは想定していないコストが、どこで、どうかかるかをみました。もちろん、寒冷地仕様として洋館家の「定価」の2割増の設定をして、きちんと利益をとれる原価をあらかじめ決め、それが取れるようにやり繰りしたわけです。3棟目からは工程もコストも、ほぼ予定通り行えています。ただ、お客様の中には「安かろう悪かろう」という先入観を持っている方も多いので、基礎の部分や施工中の写真などを見ていただき、品質がしっかりしていることをわかっていただくようにしています。


家づくり


ーーホームページのブログでも、そういう考え方を書か
  れていますね。

山村 ホームページを見て電話やメールをくださる方もいます。そういう方はある程度、勉強しています。いろいろ調べて当社のサイトに辿り着くわけです。いまはとにかく、当社と洋館家の戸建賃貸の良さを知ってもらうこと、それが第一です。


熱や暖房機の設置位置など、寒冷地仕様として ▶ 
配慮されているモデルハウス内部   

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 ガスマイホーム発電『コレモ』を採用topics

家づくり

山村  北海道の住まいの場合、やはり燃料費のことを考えねばなりません。当社では北海道ガス(都市ガス)のガスマイホーム発電『コレモ』の提案も行っています。エコジョーズと発電用のガスエンジンを組合せ、排熱を暖房に利用するしくみです。ガス料金も割引になります。
http://eco.hokkaido-gas.co.jp/coremo/page01.html




 相続対策をオーナーに提案topics

家づくり
▲ 山下史昭氏

同社のパートナーである不動産会社の役員で、同社のマーケティング・ディレクターも務める山下史昭氏は、同社の展開について次のように語っています。

山下  相続での分筆のしやすさというオーナー側のメリットと、音の問題を気にしなくていい入居者側のメリットなど、戸建賃貸の魅力はたくさんあります。函館や北斗でも、戸建賃貸のニーズは高いと思います。今のところは、マーケティングで集客をして、特に営業専門社員は置かずに、施工や設計担当者がお客様の対応に当たっています。これからは、営業社員も採用して、地元でのもともとのネットワークを使ったルートセールスや地主へのアプローチも積極的に行っていきたいと考えています。また最近は、相続税の改正で相続対策への関心が高まっていますから、戸建賃貸を対策の選択肢の一つとして提案していきたいと思っています。



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  現場を知っているスタッフが営業

家づくり
▲ 設計部長・伊勢貴志氏(左)と店長・山村裕也氏

--営業活動はどのように行っていますか?

山村 函館市と北斗市、それに七飯町が主な営業エリアです。北海道新幹線の終点になる新函館北斗駅は北斗市、車両基地は北斗市と七飯町にまたがっています。工事も一段落したので、これから急激に人口が増えることはないと思いますが、車両基地周辺での賃貸住宅のニーズはあると思います。函館は人口減少が続いていますし、賃貸のアパート・マンションは、古いものは空室が埋まらなくなっています。だからこそ、戸建賃貸だと思っています。
 営業活動は、ホームページとモデルハウスへの集客チラシなどが主です。パートナー企業である不動産会社のルートで、地主さんらにアプローチしています。現在、社員は4名で、全員が現場仕事をしながら営業兼務しています。
山村(裕) 安くても品質が良いということを、実際の現場の写真などをお見せしてご説明します。内容をご説明し、大手ハウスメーカーと競合して勝ったこともあります。
伊勢 洋館家の商品を寒冷地仕様で設計し直すわけですが、どこをどう変えるかはしっかりご説明します。ただ、まだ物件数が少なく、洋館家商品の複数のタイプをご覧いただくことができないので、それがちょっと大変ですね。やはり実際に見てもらうことが一番よいですから。
山村(裕) いずれにせよ、現場を知っていることが我々の強みですから、情報をお客様にしっかり伝えることが、信頼を得ることになると思います。



  ツーバイフォーでの規格住宅がほしい

ーー 洋館家商品に対する希望は?

山村 「住宅性能表示」の取得など、洋館家の品質の良さを伝えることができる取り組みは商品のイメージを良くすると思います。奥尻島の地震、東日本大震災などで、このエリアでは、住宅を建てようとする人の耐震に対しての関心も高いと思います。私は耐震性能が高いツーバイフォー工法を長年やって来ましたから、洋館家の規格住宅でもツーバイフォーを採用したものを出せないかと思っています。耐震・耐火、断熱・機密が良いし、在来工法に比べて工期も短いといったメリットがあり、いまの洋館家の商品に加わればさらに良くなると思うのですが。



  施工店同士の情報交換の場を

ーー 本部に対する要望は?

山村 他の施工店はどうやっているのか、施工店同士の情報交換をもっともっとしていきたいと思っています。今週末は札幌の施工店さんを訪問し物件を見てきます。向こうは雪が多いですから、同じ寒冷地仕様でも違う苦労があるはずです。また、本州地区でも、地域によって気候風土も、お客様の住まいに対する考えも違うでしょうから、そこでどのように工夫しているかを知り、こちらで取り入れたり応用したりすることが考えられれば、商品も営業活動もどんどん良くなってくると思います。セミナーや研修だけでなく、施工店が相互に話し合える機会を作って欲しいと思っています。



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