施工店インタビュー 002



比較 いまは共同住宅は
すすめられない


有限会社平泉コーポレーション 取締役会長
沼田 清衛 氏


有限会社 平泉コーポレーション
1978年創業。
エイブル加盟の不動産仲介、管理のほか、建築・リフォーム事業を手がける。

本社/〒314-0132 茨城県神栖市筒井1373−1 
電話0299-95-6001



比較 鹿島臨海工業地帯にあり賃貸住宅需要も旺盛なエリアで不動産仲介と戸建賃貸ビジネスを展開する平泉コーポレーションは、比較的高所得な層を入居ターゲットに絞っています。

社屋→

  販売店から施工店に転換

−−一戸建賃貸に取り組むきっかけは?

沼田 4年くらい前に、あるセミナーで洋館家の一戸建賃貸を知りました。30年以上地元で不動産仲介などをやってきて、これからの賃貸住宅を考えているときだったので、これはと思い販売店として取り組むことにしました。フランチャイズではない、全国どこでも同一価格というところに惹かれました。
 1年ほどやってみて、やはりこのビジネスは施工もやらなければ面白くないと考え、建築業の許可をとりました。すでに20数棟経験し、満室状態。空室になってもすぐ埋まるので、オーナーさんには喜んでいただいています。
 茨城県の空室率は約34%と言われています。大手ハウスメーカーが家賃保証をして建てても、賃貸住宅はそもそも供給過剰です。いまは共同住宅はすすめられない、そう考えています。土地を持っているなら一戸建を、とおすすめしています。

比較




平泉コーポレーションが建設を進める戸建賃貸の施工例(左)。
右側の“過去の戸建賃貸住宅”との差が歴然となっている。


  大企業の社宅代わりに

−−商圏エリアの特長とターゲットは?

沼田 ここは鹿島臨海工業地帯といって、今から30~40年ほど前に開発されたところです。私が不動産業を立ち上げた1978年頃は、全国から労働者が来たので、住宅が不足していました。そしていま、その頃の建物が建替え時期にきています。
 このエリアは、就労人口が県内第3位。若い人が多く、小・中学校の子供は増加しています。小さな子供がいれば、やはり一戸建のほうがいい。当社の物件の家賃設定は3LDKで8万5,000円くらい、平屋で7万円くらいです。私としては少し高めと感じていますが、それでも入居しています。最近、大企業は社宅をやめて住宅手当にしていますから、高めの家賃でも払えます。そういう方々がターゲット層です。
 一戸建賃貸は家賃設定さえ間違えなければ、どこでも通用するビジネスです。一戸建賃貸というと、昔の貸家を思い浮かべる人もいますが、洋館家のシリーズはそれを脱却しています。見た目が良いですし、設備も素晴らしい。オーナーに自信を持っておすすめできます。

  震災復興も落ち着き、これからが本番

−−震災の影響は落ち着きましたか。

沼田 まだ曲がった塀や傾いた空き家もありますが、全体的には落ち着いた感じです。このあたりの人たちは、宣伝に惑わされず、やはりしっかりとした建物を選ばなければいけないと知ったと思います。まだまだ住宅は増えるエリアですから、良いものを提供していきたいと思っています。

02topi

  ミャンマーにランドセルを topics

−−沼田会長はミャンマーにランドセルを贈る運動をされていますね。

沼田 私がミャンマーに行き始めたのが1993年なので、早22年になります。投資家が5~6人ほど集まって何かやることを探していた頃で、当時、ベトナムへの投資がブームになっていました。まだ人が知らないところということで、ミャンマーを選びました。ミャンマーの人々は親日で、仏教国なので貧しくても略奪も起きません。そんなミャンマーに投資したいと、皆でお金を集めて始めたのです。
 しかし、投資は失敗。軍事政権下で貿易も流通も機能していなかったからです。仕方なく、購入した土地も寄付し、そこに孤児院を建ててボランティアで毎年行くようになりました。
 洋館家の福田代表とは昨年の11月に行きました。いまのミャンマーは海外からの投資が過熱しバブル状態です。物価も土地も驚くほど高い。でも、依然として貧しいので、私たちは日本で使わなくなったランドセルを集めて送ることにしました。福田代表が栃木県の教育委員会に話をしたら、なんと400個も集まりました。私も約50個集めました。一度に大量に送ると税金をかけられてしまうので、いま少しずつ運んでいるところです。
 ビジネスはなかなか難しいですが、住宅建設やエネルギーなどインフラ部分で、現地に貢献できないかと考えているところです。

ランドセル
  ミャンマーに送るランドセル
ミャンマーの学校
 沼田会長らの支援で開設されている
     ミャンマーの学校





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−−このあたりは震災の被害もありましたね。

沼田 鹿島臨海工業地帯の開発で拓けたこのあたりは、住宅が建っていたのは田んぼや湿地帯を造成した土地でした。地震ではあちこちで液状化現象が発生して、何千棟という家屋が傾きました。特にアパートや2階3階建ての建物は、傾いて曲がってしまい住めない状態になりました。茨城県は仮設住宅を建てなかったため、一時は住むところをなくし民間のアパートに入りたいという人であふれ返りました。アパートが不足し、「どんなアパートでも、あれば入りたい」という人が大勢いました。
 当社は洋館家と契約したばかりでしたが、その時には建て替えや修復に追われました。曲がった建物は持ち上げて作業にかかりますが、工事を始めるまでに1年ほどかかります。それで1年ほどは戸建賃貸については中断せざるを得ませんでした。



  良質な施工と営業面での強化が課題

−−これからどんどん伸ばす上での課題は?

沼田 良い工事をするためにも、施工に関して本店の方でも育成の強化を一層していただきたいと思っています。洋館家さんの商品は、トラックで材料を運んできてそれを組み立てるだけなので、慣れるといとも簡単にできあがります。最初は少し苦労しますが、慣れてくると短期間で工事、施工ができます。建て方のマニュアルはありますが、だからといって講習を1回受けたくらいでは、素人が建築許可をとってやるには難しい。当社の場合、リフォームもやってきたので、職人さんや大工さん、左官屋さんとのつながりがあります。施工はその方々にお願いしているので問題なく回っていますが、数をやっていくためには良い施工ができるスタッフをもっと増やさなければなりません。そのためには、やはり現場指導が大切です。
 営業面でも、チラシをまいて地主さんを集めた講習会や完成見学会を行っていますが、10人集めても1人がようやく契約出来るかどうか、契約出来たとしても現場でモタモタしてしまうこともあります。やはり、多くを集められる広告宣伝力やブランド力を持ち、建てるとなったら現場でスムーズに進められるようにしたいものです。本部はテレビや新聞、折り込みなどの媒体を使ってどんどんやられていますが、地方ではなかなか難しいのが現状です。こちらが伝えたいことがしっかり伝わるような広告宣伝物、方法をもっと追求したいと考えています。




  いずれミャンマーでも住宅建設をしたい

−−ミャンマーのインフラ支援についてもう少しお聞かせください。

沼田 ミャンマーではとにかく税金が高いのです。自動車にしても以前は500%の関税がかかりました。たとえばマークⅡの10年落ち15年落ちモデルでも日本円にして700万円。今はだいぶ下がりましたが中古でも日本より高いです。ホテルにしても、外国人が泊まるようなところは日本円で1泊2万5,000円から3万円もします。最近はだいぶ落ち着いてきましたが、まだバブル状態は続いているようです。今回も現地へ行きましたが、建設ラッシュであちらこちらで大音が響いています。
 経済発展が続けば、当然、住宅の需要もあります。そこで福田代表と、戸建賃貸UNIT-1、788万円というのを、向こうで建築ができないかと考えました。日本では788万円でも、現地で資材を調達して施工すれば半値ぐらいでできる。それで1,500~1,700ドルくらいの家賃が(1年間前払い)とれるという話があったので検討したのですが、首都のヤンゴンは約521万人の人口です。そこの中でいい場所を見てきたが、本当にバブルで、とてもじゃないがこの土地を借りて賃貸ができる状態ではない。だから、住宅建設はいったんは断念してきたわけです。いずれバブル後は、洋館家さんと提案して戸建アパート(サービスアパートメント)を建設出来ればと考えてます。
 インフラのビジネスとしては、エネルギーがあります。供給が不安定で、電気は停電が多く、首都ヤンゴンも郊外ではガスは普及していません。地方はなおさらで薪で生活しています。ここにガス、プロパンガスを普及させてはどうかと考えています。薪で暮らしている人がガスを使えば、「こんないいものはない」と感動してくれます。


−−もともと海外で何かをやりたいという思いがあったのでしょうか。

沼田 20年以上ミャンマーに行っていますが、それほど強くビジネスをしたいとは思っていませんでした。でも最近、遅ればせながら何かやってみようと考えています。いったん断念しましたが、ゆくゆくは建物を建てるようなビジネスをしたいと思っています。あるいは、福田代表がおっしゃるには、今の日本は職人が足りないので、建設業の人材育成も視野に入れるべきとのこと。これまでは工場や農業で働く研修生をミャンマーから連れてきていましたが、大工として建設を教えるのです。洋館家の戸建は本当に簡単なので、こちらで教えて覚えてもらってミャンマーに戻り、我々がミャンマーで建てる時にやってもらおうという構想です。まだまだハードルは高いのですが、やってみるつもりです。
 その準備と言うわけではないのですが、ミャンマーの若者を引き受けて、日本の大学に通わせたりもしています。留学生たちが会社に集まって、食事会なども開いています。せっかく留学しても、国の家族は貧しくて仕送りもありません。向学心ある若者を応援したい、そういう気持ちです。


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