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私たちのビジネスを
斜陽産業から
成長産業へと変えていこう
株式会社 洋館家本店グループ 統括代表 福田 功
新しい年を皆様、どのようにお迎えでしょうか。2017年第1号として、本年の洋館家本店グループの取り組みについてお伝えしたいと思います。本年もさまざまな取り組みを行ってまいりますが、その取り組みを一言で言えば、「斜陽産業から成長産業へ」という内容になります。
2017年の取り組み
●格差社会のビジネスチャンス
●供給過多から需要過多を創生する
●消費者視点の「住宅通販」の実現へ
●全国で「洋館家ブランド」を確立へ
●地域の独自性と全国統一の整合
●共存社会の共存利益をめざす
格差社会の ビジネスチャンス
少子化による人口減少や高齢化は、新築需要を鈍化させます。私たち住宅産業の将来は大変厳しいと予測され、中には、既に斜陽産業となっているとの声もあります。どのような産業も、成長期を経て成熟期を迎え、そして衰退期、つまり斜陽産業の時期を迎えます。高度経済成長期に共に成長した日本の住宅産業は、既に成熟期を迎えていていることは確実です。そしてこれは、住宅産業だけでなく、日本のあらゆる産業が同じような局面にいると言えます。では、このまま衰退に向かうのでしょうか。
日本の資本主義は、成長期から成熟期に入りました。
資本主義でのビジネスは「需要の変化」が「供給の変化」となります。そして経済の成長期には、社会の変化が企業の変化をもたらし、企業の変化が個人の変化に影響を及ぼすというサイクルでした。
しかし、先進国において一定の物価水準や可処分所得が上昇すると、個人の変化が企業を変化させ、さらにそれが社会を変えるというサイクルに変質していきます。個人消費が、経済に大きく影響を与えるわけです。これからのビジネス、すなわち斜陽ではなく、成長していく産業は、この個人消費をしっかりつかまえたビジネスだと言えます。
現在、日本には約2,350兆円の家計資産(正味資産)があります。しかしその大半が活用されていません。また、資本主義経済は資産格差を拡大する構造になっており、日本も格差社会を迎えています。これを冷静に見極めることで、ビジネスチャンスがあります。
供給過多から 需要過多を創生する
資本主義の成長期は需要過多時代であり、それに対応したビジネスが行われました。「量」の時代は、供給サイドの質が多少低くても商売が成り立ちました。売り手市場ですし、買い手も感性や価値の追求などは要求していなかったのです。
ところが成熟期になると供給過多となり、買い手それぞれの感性や価値観の違いによる市場ニーズの多様化が見られるようになります。需給の中に高い感性や価値観の追求などの「質」が求められるようになるわけです。
供給過多から需要過多を創生することとは、買い手が求める「質」を実現すること以外ありません。「質」を求める需要過多は、消費者の価値観から発生します。これを具体的な商品として提供していくことが、私たち洋館家本店グループの取り組みです。
「家が足りないから家が欲しい」という時代の住宅産業は受注産業であり、そして供給過多に陥っています。このままだと確実に斜陽産業です。しかし、私たちは違います。まだまだ需要があり、しかもますます増え続ける「質の良い家が欲しい」という需要過多に応え、商品を提供する生産産業であり、成長産業のポジションを確保するわけです。
さらに付け加えれば、家の「質」とは、住宅=建築物そのものの品質はもちろんのこと、その住宅の住み心地や資産としての価値などさまざまな観点から、消費者はそれを判断するということです。
消費者視点の 「住宅通販」の実現へ
ところで、いま、さまざまなものがテレビショッピングやインターネットなどの通信販売で売られています。通販が支持されているのは、値段が明確でしかも安く提供されているからです。売る側は広告宣伝以外の販売コストは極力かけず、さらに大量販売ができることから仕入れをどんどん安くすることができます。私は以前から、住宅を通販で売ろうと考えていました。
洋館家本店の目標は「統一価格による業界初の住宅通販」です。従来のFCやグループと違い、本部が後方支援(通販)をしながらブランドを確立させ、「業者都合の価格」ではなく、日本初の消費者価格を実現します。具体的には業界内部の無駄や繰り返し作業・下請け制度の改革によるコストカットをして、品質を変えることなく、市場価格の少なくとも30%以上のコストダウンを行います。
業者が業者の都合で、消費者が分からないところで値段を決める……そのような産業は、間違いなく衰退します。「住宅通販」が完成すれば、それは間違いなく、成長産業の道を歩むのです。
全国で「洋館家ブランド」を確立へ
3年前には、「住宅通販」の実験として、実際に全国ネットでCMを流しました。この時の問い合わせは約1,000件。そして建築につながるお客様からの問い合わせが全国各地から約500件もありました。これをすべて、全国にいる私たちの会員さんにご紹介しましたが、この段階では施工店の数もまだ少なく、地域によっては対応をあきらめざるを得ないところもありました。
現在、施工店は増え、全国すべての都道府県での施工も可能となってきました。「住宅通販」を展開する準備が整いつつあります。来年には、具体的な展開を行います。
そのための準備として、今年、徹底してやっておかねばならないこと、それは「洋館家ブランド」の確立です。テレビショッピングなどの「通販」で商品を売ったとしても、家電などと異なり、住宅は現場で造らなければなりません。ここが、これまで「住宅通販」が実現できない、大きな理由でした。施工者の能力差で品質が異なったり、現場によって施工方法が異なってしまうことがあるからです。
洋館家本店グループでは、資材供給だけでなく、価格の統一と施工の標準化を徹底して行っています。それこそがまさに「洋館家ブランド」なのです。
もちろん、寒冷地や離島などでの工法・消費者ニーズの違いとそれに伴うコストの違いについては、オプションなどにより対応していかねばなりません。ただしその際も、価格や仕様が常に明朗であることが「洋館家ブランド」でなければなりません。
地域の独自性と 全国統一の整合
洋館家本店グループの施工店は、ほとんどが地域密着の事業を展開してきた事業者の皆さんです。地域の実情に精通し、地域のニーズにもよく知っている方々です。このことは、私たち本部が一方で取り組もうとしている、行政と一体となった空き家対策の全国展開でも大きな力となると考えています。
地域密着という点では、住宅の施工では、地域の特性や独自性を抜きに考えることは困難です。地域によって気候風土による工法の条件や条例等による制限などがあります。これらをクリアするためには、「全国統一価格」にプラスアルファの価格が設定される場合があります。それも極力、低コストで明朗でなければなりません。
また、あらゆる商品同様に、住宅にもお客様それぞれの好みがあります。ビジネスでは、お客様のニーズにいかに応えるかが大切であることは言うまでもありません。ただし、一点、注意すべきなのは、洋館家本店が「住宅通販」として展開しようとしているのは、高品質・低価格住宅であるということです。低価格を実現するために、「規格住宅」としてパッケージ化している商品だということです。
注文住宅はお客様にとっても業者にとっても満足度が高いかもしれません。しかし、価格は高くなります。規格住宅も、オプションが増えれば高くなります。定価を高くして、値引いてみせる営業では、ビジネスは長続きしません。規格住宅であっても、費用を頂くオプションでお客様に満足してもらうことこそが真の営業力です。
そして「住宅の好み」の多くは、ブランドの力により補うことができます。お客様の住まいに対する感性や価値観に大きな影響を与えられるようにしていくことも、「洋館家ブランド」確立の大きな目的だとご理解ください。
共存社会の共存利益を めざす
私は去年11月のブログで、「『共存利益』をめざす覚悟が必要」という記事を書きました。
2017年の年頭にあたって、共にビジネスを展開する皆さんに所感を申し上げるにあたって、共存社会の構築は無限のビジネスを創造するということを、改めてお伝えしたいと思います。
供給側=生産者と需要側=消費者は、それぞれのさまざまな要因によって変化します。その変化が相反利益であれば、お互いの幸せは訪れません。
生産者と消費者とがともに幸せになるには、互いに「共存利益」をめざす「思想と行動」が必要になります。共存利益とは、「互いに最大効用に達する商取引」と言い換えられます。生産者は自分が消費者の立場になったとき、それを満足して購入できるかどうかということが肝心です。もちろん、消費者にも、生産者の立場に立って考える必要があります。そこには「共存する社会をめざす」という前提が必要で、これは大変なことです。しかしながら、そこからしか共存利益をめざすことはできませんし、共存利益がなければ継続的発展はないのです。
共存社会の共存利益は、競争社会の相反利益と違い「生産と消費」を最大効用化するからです。2017年の取り組みは、そのことを証明するための大きな一歩となることも、合わせて申し添えます。本年もよろしくお願いします。