営業マンに限らず、できる社員とできない社員の違いはどこにあるかを見ると、できない社員は「できない理由」を探し、できる社員は「できるように工夫する」ところにあります。「できない」と簡単にあきらめてしまい、考えることをやめてしまっては、いつまでたってもできるようにはなりません。
例えば、自社が競合他社と競争していてなかなか勝てないとき、できない社員は次から次へと、できない理由を言ってきます。例えば、よく耳にすることの一つが「洋館家の戸建賃貸を説明したくても、モデルルームがないから説明できない」と。確かに、大手のハウスメーカーのように各地に展示場があるわけでありません。営業ターゲットを隣県や栃木まで連れてきて物件を見せるのも大変ですから、地元にモデルルームがあれば営業面では強みになります。しかし、モデルルームを1棟建てて維持管理するのは大変です。
こんなときできる社員や社長さんは、モデルルームなしで勝負する方法を考えますが、ちょっと工夫して低コストでモデルルームを作ってしまおうと考える社員もいます。どんな工夫かというと、複数棟建設した戸建賃貸が完成する前に、そのうちの1棟を借り上げてしまうという方法です。月10万円で1年間、自社のモデルルームとして公開します。年間120万円ですから、自前のモデルルームを建築するよりも圧倒的に安いですし、借り上げですから施主にも喜ばれます。見ていただくのは戸建賃貸や規格住宅を建てようという人がターゲットですが、半年経ったら入居者向けの内覧を行ってもいいでしょう。
そうやって新しい戸建賃貸を受注したら、また新しいモデルルームを借り上げる。そのような工夫で「できない」を克服していきます。
もちろん、どうやっても「できない」ことに拘泥することも得策ではありません。できる社員は、できることとできないことの峻別や見切りが上手な人が多いとも言えます。
とくに住宅営業の場合、この「見切り」を誤ってしまうと、ズルズルと引きずられてしまい、長い時間を無駄にしてしまうか、成約しても大きなコストを払っていたことになってしまう場合があります。住宅営業において、「営業折衝」が長ければ長いほどコストになることは誰でもが認めるところです。住宅は高い買い物ですから、とことんお客様の考えを聞くのが大切だという考え方もありますが、それは一定以上の予算を準備した注文住宅の場合です。私たちの戸建賃貸や規格住宅では、低コストを実現するために営業の「見切り」をしっかりつけなければビジネスが成り立ちません。
いま本部では、こうした観点での営業手法の確立とマニュアル化を進めています。「何度も話を聞く」ことで満足を得るのではなく、「明朗な低価格」で満足してもらうためのしくみを作ります。