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中小規模ビルダーが減少する理由

 当社が本年1月に発表した「太陽光を載せればすぐZEHとなる住宅」は、早くも各方面の注目を集めています。2020年省エネ基準適合義務化や2030年のZEHの標準化などを視野に太陽光発電装置オプションを除く断熱性、耐久性、劣化性等をクリアし、現時点で約20%の一次エネルギー量の削減を実現した住宅を、価格の上昇を極力抑えて実現したことが話題となっているようです。
 地球環境問題を考えたとき、住宅の省エネルギー化が大切であることは言うまでもありません。しかし、問題はコストです。省エネ住宅を取材するある雑誌社の話では、有力ハウスメーカーの多くは、ZEH対応によるコスト増は太陽光発電システムを除いて30万円未満としたいと考えているようです。しかし、実際にはそれ以上のコストがかかっているとみるむきもあるようです。基準を厳格に満たせば従来のコストに加えて100万円以上はかかるとするメーカーもあるようです。
 従来品との比較を何をもってするかは調査の仕方によって異なるでしょうが、ただでさえ高い日本の住宅が、さらに100万円以上も高くなり、さらに創エネルギーのコストまでかかるとなれば、住宅を新築できるのはごく限られた層になってしまうでしょう。
 また、住宅の高価格化は、営業力のあるハウスメーカーはともかく、中小規模のビルダーにとっては経営を圧迫します。なぜなら、営業力がない会社の多くは、値引き営業しかなく、利幅の確保がどんどん難しくなるからです。価格が高くなる省エネ住宅の取り組みを、中小規模のハウスビルダーが先送りする大きな理由は、技術力がないからではなく、価格が高くなると売りにくいからなのです。しかし、いつまでも先送りはできません。前述の雑誌社の話でも、ハウスメーカー関係者の多くが、ZEH対応によりビルダーの淘汰が行われ、2030年ごろには、中小規模のハウスビルダーは激減すると考えているようです。
 洋館家の省エネ住宅においても、高品質と低価格の同時実現をめざします。それは、日本の住宅を安くするという目標のほか、中小を含めた多くのビルダーの仲間の皆様と、ともに手を携えて繁栄の道を歩むための取り組みでもあるのです。
 省エネ住宅への取り組みは先送りすることはできません。技術力を身に着け、値引き営業に頼らない営業力をつけ、高品質低価格住宅を、日本の市場に広めていきましょう。