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住宅性能の基準が変わる

【連載62】住宅性能の基準が変わる

 既に皆様もご存知かもしれませんが、住宅の省エネルギー基準は2015(平成27)年7月に14年ぶりに改正され、2017(平成29)年9月から施行されました。しかも2020年には義務化となります。
 社会の様々な分野で環境に対する対応が求められていますが、家庭用の省エネルギーはなかなか進んでいないのが実情です。1997(平成9)年12月のCOP3のあと、国を挙げて省エネギー対策が進められていますが、省エネルギーがコスト削減につながる製造、運輸部門などと違い、世帯数の増加、利用する設備機器の増加、ライフスタイルの変化などによって、依然として対策の強化が必要な状況にあるのです。
 大きな改正点は、住宅の断熱性能をより細かくチェックするとともに、新たに暖冷房や換気、給湯、照明などといった設備機器のエネルギー消費効率も評価対象に加えたことです。詳細は国交省のホームページなどにもありますし、『YCY News』でも特集していきます。
 建物に関する省エネ基準は、大きな建物については既に義務化されています。戸建住宅だけがまだだったわけですが、これが2020年に義務化されるわけです。
 国交省のイメージでは従来の断熱性能基準レベルの住宅をこの義務化レベルに引き上げ、さらにゼロエネ住宅(認定低炭素住宅)を標準化していこうとしています。
 エネルギーを所管する経済産業省では、2030年の平均的な住宅の目標を「ネット・ゼロ・エネルギー住宅」、いわゆる「ZEH」としています。そして、国としての最終目標は「ライフサイクルカーボンマイナス住宅(LCCM住宅)」としていくとしています。
 こうした動きに対応し、現在「ZEHビルダー登録制度」も進められて大手ハウスメーカーはその対応を急いでいます。住宅メーカー間のこれからの競争を勝ち抜くためには、省エネ基準のクリア、つまり「住宅の2020年対応」が不可欠となるのです。