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洋館家のネットワークで仕事を合理化・効率化

【連載48】洋館家のネットワークで仕事を合理化・効率化

 請負制度が大工さんらの仕事を不安定にし、そして需要と供給で、駆け引きで手間賃が決まるような世界ができてしまっています。これを解決するためには、大工さんや職人さんに仕事を安定的に発注する体制を作ることが必要です。これは私たち元請けの仕事です。
 例えば雪国の大工さんの場合、雪が降り始めたら仕事ができません。秋までに外回りを仕上げておいて冬は内装をやる、などというふうにはなかなかうまくいきません。ですからこういう地域の小規模の工務店さんは、大工さんや職人さんを社員として雇用することはできません。仕事のない冬の時期に月給を払うのが大変だからです。
 しかし、日本は広いのです、真冬でも現場がある地域はいくらでもあります。北海道や東北の職人さんが仕事のない時期に、関東や九州などの現場に出かければ、1年中仕事があります。これを洋館家のネットワークでやれないかと検討中です。
 例えば、東北の基礎屋さんが年間20棟やる能力があるとします。でも、自分のエリアだけで仕事をやっていたら年間に5棟しかない。それを、近隣の洋館家施工店の仕事が5棟、さらにその隣の県の施工店仲間の仕事で5棟、九州の仲間で冬場に5棟やれるとしたら全部で20棟になります。それが実現すれば、人間関係のできていない所にわざわざ行って駆け引きをする必要はありません。
 大工さんや職人さんにとっての仕事の合理化は、いくつかの仕事を受け、段取りを決めて同時に進めていくことです。同時に進めることが効率化となります。合理化、効率化はコストの削減につながります。
 私たちの仕事を受けてくれている大工さんや職人さんの仕事が切れないように、本部が全国の施工店さんらに声をかけ仕事をある程度数をまとめる。大工さん、職人さんは一か所で集中的に仕事をすることで効率的に仕事を進める。遠くの現場で長期間仕事をする大工さん、職人さんのためには、宿泊先もしっかり手配する……こうした体制を、洋館家のネットワークで創っていきたいと考えています。これは決して夢ではありません。
 工場生産された材料や機器を、大量発注することでコストを下げることについては、既に大きな成果を上げています。もう一つの課題である工賃の均一化についても、知恵を絞り、諦めることなく取り組んでいきたいと思います。