【連載43】トップリーダーはイノベーションを進めよう
過去の思考や経験、しくみを知るだけでは、これからの経営はできません。何が正解で何が不正解かという判断の基準が、違ってきているからです。
過去においても、イギリスの産業革命が生じたことにより、過去とまったく異なる判断基準がもたらされました。産業革命では「より速く、より大量に、そしてより正確に」時間をコントロールする設備や商品がイノベーションを起こし、次々に市場に衝撃を与えました。具体的には、蒸気機関の発明と普及、汽船や鉄道への応用です。
このイノベーションは、単に「技術革新」と訳すのではなく、社会に貢献し、大衆(消費者)に利益をもたらす「思考とモノ」を指すと考えるべきです。あえて訳すなら、イノベーションとは「創造的破壊」です。
かつての産業革命並みの変革の中を生き抜こうというこれからの企業には、このようなイノベーションが必要なのです。
そしてそのような企業を率いるトップリーダーは、経営において「未来の目標を定める責任」があります。そのビジョンで社会貢献を実現するための環境(社員、取引関係者)と市場(マーケット)を生み出し、整備・充実させ、さらにイノベーション構想を打ち出すことで「未来を創造」していかねばなりません。
組織のトップリーダーは、その組織において誰よりも先覚的で先進的な立場を与えられています。言い換えれば「何をしても許される」ということです。だからこそ、トップリーダーは高い経営理念を持ち、社会貢献をめざさねばならず、そうである者だけがトップリーダーたることを許されます。そのようなトップリーダーに率いられた企業だけが、事業の存続と継続的な発展を保障されるのです。
「企業は人なり」と言われます。これに異論を唱える人は少ないでしょう。そして多くの企業は、常に、人材のあり方で課題を残しています。いい人材がいないとか、人材が育たないとか、さまざまな悩みを抱えている。当然、できる人材=「人財」はどの企業でも必要とされ、「人罪」はいらない。
人財は大切です。しかし、理想的な経営は「人財、資産、資本、情報」です。決して人財だけではないのです。特に資産や資本の活用は、人財の乗数効果を生み出します。
これらを理解し実践・実現していくトップリーダーに率いられた企業が、トップリーダー企業となります。トップリーダー企業も「未来の目標を定める責任」があり、「未来を創造」しその事業の存続と継続的な発展により、よりよい社会づくりに貢献していくのです。