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当社はなぜ戸建賃貸に取り組んだか(3)

【連載03】戸建賃貸なら入居者とオーナーの双方が喜ぶ

 アパートの1階2階トラブル完全解決は戸建賃貸しかないと、熱い思いで取り組んだのですが、熱くなっていたのは私だけのようでした。建築に関わった職人さんたちは、みんな冷静。基礎屋さんが「社長、あそこが余分にかかりましたので、いくらいくら請求です」と言ってくる。「協力できない?」と私が頼んでも、「いや、精いっぱいです」と。コストが上がっても、地主さんが被ってくれるわけではありません。この費用でやると私が言ったから、土地を提供してくれたわけですから、コスト増はみな私の負担です。大赤字です。
 でも、建築中に満室ですから、考えは間違っていませんでした。そして何よりも、社員が変わったのです。アパートの近隣トラブルの仲裁ばかりで嫌気がさしていた女性社員が、「私やります。喜ばれる仕事をしましょう」と活き活きしてきたのです。それというのも、普通のアパートを案内する時と、戸建賃貸を案内する時では、お客様の反応が全然違うというのです。戸建を案内すると、「私が入れるようにしてください」と手土産まで持ってくるお客様がいるというのです。
 だから、その担当社員は、地主さんに自ら積極的に出向いて、「戸建賃貸を作りましょう」と呼びかけるようになったのです。入居者が住みたいという家を提供することが、地主さん、オーナーさんのためになると担当者も思いました。
 この13年前の戸建賃貸には、半分以上、最初の入居者の方が住んでいます。小さな子供がいるから戸建賃貸を選んだというご家族が、子供が小学校で6年間、中学校で3年間住んでくれます。退去がないのは、オーナーと入居者ともに喜んでいるということです。そして、社員もやりがいを感じ喜んでいる。
 だけど、最初の戸建賃貸13棟は赤字だった。それを何とかするのは、社長である私の仕事だ。そう強く思いました。それが私の戸建賃貸の取り組みの出発点だったのです。