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全国セミナーで発表した取り組みについて②

【連載23】「格差社会」を知っておこう

 これからのビジネスを考えていくで、日本の格差社会の進展を頭に置いておく必要があります。21世紀の経済はルールが無いと言われております。それは競争社会がもたらした勝敗の世界だからと言われています。自分さえ良ければ何をやってもいい、また、他社や弱者を犠牲にして自分だけ生き延びればいいというような、強者が弱者を犠牲にする事が競争社会の現実なのです。

 アメリカでは間もなく10%の富裕層が90%の資産を持ち、更にエスカレートすると1%:99%ということになります。その行き着く先は破壊と破滅しかありません。こうした状況を根本から見直し、良好な関係性から共存を図ることこそがこの格差社会においてビジネスの成功を収めるキーワードになるのだと私は考えます。

 まず、格差社会から生まれた正味資産について、少し考えてみます。

 平成26年の歴年での全体の正味資産は3,108.5兆円です。非金融法人つまり一般の企業のお持ちになっている資産が139.7兆円、政府系はマイナス13.5兆円です。そして個人企業も含む家計が2,359.4兆円となっています。

 家計の資産の内訳をみると、土地が672.5兆円、現金預金が890.2兆円、株式その他が282.4兆円、そして保険年金準備金など負債を引くと2359.4兆円と、わが国にある正味資産の76%になるわけです。競争社会の中で、これだけ正味資産が現在あるということになります。

 ところで、二人以上の世帯の1世帯当たりの家計資産の平均は3,588万円です(平成21年)。この平均値以下の世帯は3分の2を占めています。資産格差というものが、ここでもお分かりいただけると思います。

 家計資産の平均が3,588万円に対して、年間収入の平均は651万円です。この家計資産について、収入のランク別にみる統計があります。年間収入平均192万円の層(Ⅰ階級)の家計資産は2,181万円、年間収入平均518万円の層(Ⅴ階級)の家計資産は3,065万円、年間収入平均1,560万円の層(Ⅹ階級)の家計資産は7,041万円となっています。つまり、年間収入の高い世帯ほど、家計資産も多くなります。

 そしてⅩ階級のⅠ階級に対する家計資産の比は3.2倍で、さらに資産の種類別にみると、住宅資産で4.7倍、宅地資産および耐久消費財資産は3.2倍、金融資産が2.7倍となっています。