【連載21】行政と役割分担をしながら実現したい
日本の賃貸住宅を変えていくこと、良質な賃貸住宅を提供していくためには、私たち民間と行政とが、それぞれ役割分担をしていく必要があります。私の主張は、行政・地方自治体は公営住宅の建設や管理を自治体の地元の民間にゆだねるべきだということです。地元の民間とは、土地を提供し住宅を建設する地元の資産家と、建築作業を請け負う地元の施工会社です。その前提で、行政が行う手法は以下のようなことです。
①行政エリアの賃貸状況の掌握(賃貸世帯数、家賃、平均入居年齢と人数、民間と行政管理の比率)
②年度に必要な戸数の決定と基準の設定(耐震構造、温熱性能、価格、その他)
③地域資産家募集(不動産所有者や金融資産所有者、個人、法人を含む)
④賃貸借契約条件の整理(募集要項に順次賃借条件を提示)
⑤民間である施主と施工者とで行う金融機関等の融資条件決定や工事請負契約が適正に行われるよう指導
⑥資産家との賃貸借契約の締結
⑦入居者募集と管理を民間不動産業者に一定の条件を付記して入札する(その自治体への納税業者であることも条件の一つであるべき)
⑧入居者募集にあたっての条件・審査基準の設定
⑨行政としての補助・手当の基準設定(多子家庭・社会的弱者の支援、新婚者転入者優遇など)
⑩行政と家主の責任範囲の明確化(賃料保証と期間見直しは行政責任、建物管理と補修は家主責任)
⑪行政と管理者の責任範囲の明確化(転貸主の入居条件明示と管理者への権限移譲)
……といったことが挙げられます。
何度も言いましたが、ここでの施主=資産家や施工者=建築業者、入居者募集業者、管理業者などはすべて“地元”の民間であるということです。単に行政がやっていたことを民間に移すだけでは地方の活性化にはつながりません。地方創世のためにどうすべきかを考えたうえでの施策でなければならないのです。
栃木県鹿沼市という「地方」に本部を置き全国展開する当社グループは、全国それぞれの「地方」が活性化することにより発展していきたいと考えています。それぞれの地方の人々が、真に豊かな暮らしを満喫するために、住まいの部分からアプローチしたいと考えています。そしてその実現のためにも、それぞれの地方の行政と役割分担をしながら、良質な賃貸住宅を提供に関わることができればというのが、現時点の私の大きな目標の一つです。