【連載18】戸建て公営住宅を地元の民間資本の力で
全国の公営集合住宅の多くが、現在、建替えの時期に来ています。しかし、自治体の多くは財政難であり、また賃貸住宅そのものの供給過剰の中で、新築を躊躇わざるを得ない状況となっています。私はここに、私たちが進めている低価格で良質な戸建賃貸住宅を建設すべきだと主張します。もちろん、従来の延長で公営の集合住宅を戸建てにすれば良いと言っているのではありません。
過去の公営住宅は、行政が予算を組み償却資産として行政自ら所有し、入居管理からメンテナンスまですべて行ってきました。民間のアパートやマンションといった民間投資と「競争」し、住民サービスとしてある面では「民業を圧迫」して行ってきたわけです。しかしこのような形態は、もはや財政的にも成り立ちませんし、前回のブログでも述べたように、「地方創生」は地元住民=民間との「共存」でなければ成り立たないのです。
公営住宅を無理に建設して不要な供給過多を造るのではなく、住民が必要とする長期的な安定した住宅供給を計画することが肝要です。こうした計画は、少なくとも50年以上を視野に入れたものでなくてはなりません。この計画に「政治、行政、住民」を参加させ、決定事項の内容に各担当者が責任と義務を果たせるよう明確にすべきだと私は考えます。
戸建て賃貸住宅の貸主側の魅力の一つは、入居契約が長いということ。例えば新婚夫婦が入居した場合、出産した子供が中学、高校卒業までの10数年間居住する例が少なくありません。また、借主側においても、格差の拡大と価値観の変化の中で「一生賃貸生活で可」という層が増えています。良質な賃貸住宅が安い賃料で、かつ公営という安定性で供給されれば、「地方創生」の前提である人口増=定住化促進につながります。これを住民=地元の民間資本との提携で行うべきだというのが私の提案です。その骨子は次のようになります。
「安定住居を供給する提案事項」
①地域の資産家(不動産、金融資産など)に良質な一戸建て住宅(長期優良住宅を基本に耐震性、低炭素、省エネルギー、快適性、低コスト)の建設を依頼する。
②その住宅を行政が長期(20年~25年)に渡り賃借する。
③資産家は長期賃貸借契約が行政になる為、賃貸に対する不安が解消される。
④金融機関も賃貸契約が行政との長期にわたる為、融資が簡単にできる。
⑤入居者は地域住民を優先させ、マイホームと同じ感覚で住めるので長期に渡り入居し続ける。
⑥他地区からの編入者も優遇入居をさせる。
⑦子育て世帯や老人世帯、身障者などには住居を通した優遇を検討し入居させる。
⑧管理や入居については地域の民間不動産業者や管理会社に条件を付記し入札する。
⑨入退去の修理やメンテナンスは賃貸人と管理会社負担で行う。
この提案の前提として、私は繰り返して述べます。「地方創生」は地元住民=民間との「共存」でなければ成り立たないのです。