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低価格と高品質の両立をめざす①

【連載13】 住宅建築の規格化、マニュアル化が必要

 価格が明確で安くて、全国どこからでも発注できる……そのために当社では、規格住宅の材料を全国一律で供給しています。しかし、全国一律がなかなか困難なものもあります。それは、職人さんの腕と手間賃です。
 腕が違えば手間賃が違うのはわかります。それだけなく、需要と供給で手間賃は変わります。地域によって手間賃が異なるのはそのためです。しかし、地域によって、人によって手間賃が違う……それによって原価に大きな違いが出て価格がまちまちになってしまっては、全国一律価格の“建築通販”は実現しません。この部分の解決が必要です。
 当社ではたくさんの大工さんを抱えています。最初、低価格の戸建賃貸住宅に取り組んだ頃は、私が構想した原価設定について、大工さんやその他の職人たちさんからは「とてもこの値段じゃできない」と言われました。職人さんあっての現場ですから、それに答えて大きな赤字を出しました。しかし、棟数が増えた現在では、「この価格でやってくれ」とお願いしてやってもらっています。個々の仕事は他の仕事に比べて安いものもあるかもしれない。でも、年間の仕事量を保証し、年収で考えてくださいという契約です。
 一年中仕事が立て込んでいるという職人さんはまれです。忙しい日がある一方で、まったく仕事がないという日もあります。雪国などでは、時期によって仕事ができない期間もあります。「職人とはそういうものだ」と言えばそれまでですが、年間を通じて安定した収入を求める職人さんは少なくありません。
 かといって、大勢の職人さんに一年中仕事を発注できる施工店ばかりではありません。そこで当社では今、職人さんのネットワーク化を構想しています。私たちのグループで連携し、職人さんを融通しあうことで手間賃を標準化し、コストダウンをはかるという構想です。季節シフトだけでなく、地方の疲弊で、地場だけの受注ではやっていけないという工務店さん、大工さんにも少なくありませんから、業界全体の活性化にもつながります。
 もちろん、仕事のウデ、品質も確保しなければなりません。そのためには、規格化、マニュアル化の徹底が必要です。
 近年、建築現場の職人不足が言われています。また、昔のような職人さんの養成は困難であり、外国人労働者の一層の活用も必要でしょう。そういう状況だからこそ、職人さんのネットワーク化と作業品質を保つための規格化、マニュアル化は不可欠なのです。