【連載11】パッケージ化による低価格化への取り組み
賃貸住宅での戸建てのニーズは確実にある、そう考えて私は13年前に戸建賃貸住宅に取り組み始めましたが、最初は大きな赤字を出したということは以前、書きました。
前回書いたように、日本では「建築業者が賃貸住宅の家賃を決める」実態がありますから、それでは入居者が希望する家賃の住まいはなかなかできません。そしてそのことは、オーナーにとっても入居者集めに苦労する、ということになるわけです。入居者の層をあらかじめイメージし、その人々にとって適切な家賃を設定し、その家賃収入で無理なく投資が回収できる建築費で戸建て賃貸住宅を創るべきだと私は考えましたから、「いくらで建てます」と先にオーナーに宣言してしまったわけです。しかし、実際にはなかなかその価格では家は建ちませんでした。
オーナーさんは利回りを考えます。利回りを良くするためには、多少質を落としても建築費を安く抑えたいと考える。でも、賃貸住宅を作れば借りてもらえるという時代は終わっていますから、質の悪い家はどんどん余っていきます。高品質の住宅をより安く創ることが求められます。それをやるにはどうすればいいのか、やはりパッケージ化して、かつ大量仕入れを実現しなければなりません。
栃木で商売をしている当社が、戸建賃貸用の住宅建設を全国に呼びかけたのは、大量仕入れを実現してコストダウンをはかりたかったからです。当社1社だけで注文をとって建物を建てていたのでは、いつまでたってもコストダウンはできない。全国の大勢の仲間と取り組めば、建材メーカーに対しても価格競争力が持てる。そう考えたのです。
現在、当社の主力商品である「ユニット・ワン」は、778万円です。これは栃木の店頭渡し価格で、北海道などの寒冷地、積雪地帯はオプションがつきます。自動車と一緒で、東京店頭渡し価格の値段があって、そこにオプションが付きます。「ユニット・ワン」の778万円は消費税は別ですが、本体にはすべて、照明器具、セキュリティ、エアコンも1台ついています。この価格が実現できたのは、パッケージ化し、かつ大量仕入ができたからです。