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当社はなぜ戸建賃貸に取り組んだか(1)

【連載01】賃貸に住む子育てファミリーのトラブル

 今から13年前のことです。当社が管理しているアパートの1階に入居している新婚さんの奥さんが、脳腫瘍の手術をしました。術後は自宅で安静にしていなければなりません。でも、その部屋の上、2階には3歳の子供さんがいる家族で、幼稚園にはまだ行っていない子供がいつもバタバタ走り回っていました。

 アパートは木造で、どうしても階上の音がします。術後の奥さんも、2階の音は子供の走る音だとわかっていたのですが、どうにも我慢できず、当社の担当者に、上の方に静かにするよう申し入れてほしいと言ってきました。当社の担当が2階に言いに行くと、2階のご夫婦は、奥さんと御主人ともに平謝り。でも、子供のやることなので、叱られれば少しはおとなしくなりますが、完全に静かにさせることはなかなか難しい。ご夫婦も弱ってしまいました。

 オーナーさんにもご報告しましたが、オーナーさんからすれば2階のご夫婦も1階の新婚さんもどちらも大事な入居者です。どちらもちゃんと家賃を払っています。1日たりとも遅れずに払ってくれ、しかも人柄も良い優良入居者です。なんとか2組とも長く住んでもらうように解決してくれと、当社の担当者はオーナーさん言われて帰ってきました。

 解決といわれても……困った担当者はあれこれ考えて、まず、そのオーナーさんが持っている別の物件で、2階が空いている部屋に新婚さんに移っていただくことにしました。そして、次も同様のトラブルが生じないように、子供のいる家族に、空いた1階に移ってもらいました。

 たまたまそのオーナーさんが複数の物件を持っていて、しかもたまたま2階が空いたから解決できたわけです。しかし、こんなラッキーなことはめったにありません。賃貸に住む子育てファミリーが近隣とトラブルにならないためにどうすべきか……あれこれ考えて行きついたのが、戸建賃貸だったのです。