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洋館家本店は世界標準の住宅供給へ

省エネ基準のクリアだけではない
 洋館家の2030年対応

株式会社 洋館家本店
グループ統括代表 福田 功


 YCY Newsでもすでにお知らせしたように、洋館家グループでは2020年の省エネ基準に対応すると同時に、ZEH仕様が標準化される2030年にも対応する住宅です。この仕様をメーカー各社のご協力もいただきながら、753万円から実現しました。これは画期的なことであり、業界でも大きな注目を集めています。でも、私たちは今回の新仕様で、さらに別のことも考えています。そのことをお話ししたいと思います。(2018年3月22日・23日、東京・大阪説明会にて)


 規格住宅による高品質・低価格住宅の提供 


 今、社会環境は大きく静かに変化しています。成熟社会が招いた「個人の時代」の到来による消費者変化が企業の売り上げや利益に大きな影響を投げかけております。成熟社会の定義とは、物やサービスが揃い、お金の魅力を放棄してでも購入しようという欲望は伸びなくなったのに、潜在的な供給能力は資本の蓄積や技術の進歩で拡大し、需要を超えてしまった状態です。
 このような中にあって、私たちのグループ=本日お集りの施工店様、設計事務所様、販売店様、資材メーカー・商社様といった皆様と洋館家本店とが、どのように進んでいくべきかを考えてみたいと思います。
 「日本の住宅は高い」と言われます。イニシャルコストでイギリス、アメリカに次ぎ、世界で3番目に高いと言われています。でも、イギリスの住宅の耐用年数は約77年、アメリカは約55年です。これに対して、日本の住宅の耐用年数は概ね25年から30年です。最初の費用をその資産価値年数で割ると、イギリス、アメリカでも57%くらい。日本は111%。非常に資産の短いものを大きなお金をかけて作っているという制度と仕組みです。
 これはいかがなものかと思いますが、かといって生産者側が儲けているかと言うと、決してそうではありません。高い物を売っているわりに儲かっていない。事業の体をなしていない。まずイニシャルコストと資産価値の長さというものをしっかり出していかなければ、お客様はもちろん、われわれ住宅産業、建築業界も疲弊するばかりです。この問題の解決をしていかねばならないと、私はかねがね思っていました。
 そこで私たちは「高品質」で「低価格」の住まいづくりを提唱し、そのための商品と販売・施工の仕組みづくりを行ってきました。洋館家本店が全国展開を始めてから、来年で10年を迎えます。現在、北海道から九州・徳之島まで、ほぼ全国で展開し、さらに密度が高くなっています。販売棟数2,700棟(栃木県内452棟)の実績となっており、2020年には全国大会も計画しています。
 最初のうちは、「九州でどうやって造るの?」とか、「北海道は栃木と違って寒冷地だよ」などと言われました。そのたびに、私たちは、我々が高品質・低価格住宅を実現するため取り組んだ「規格住宅」についてご説明し、ご理解を得てきました。「50%強の資材をパッケージにして、北海道から九州までお送りするんですよ。そして私どもの研修を受けていただいた正規ディーラーさんに組み立ててもらいます。そして国土交通省指定検査機構で検査をしてもらいます」とご説明してきたわけです。


 2030年を視野に入れ住宅の通販をめざしていく 


 当社と、当社の考えをご理解いただいた施工店をはじめとしたグループの皆様と実績を積み上げてきたわけですが、さまざまな困難もありました。その一つは、お客様の側に「低価格=低品質」という考えが根強くあったということです。当社に限らず地場の施工店様など大手ハウスメーカーに比べてブランド力が弱い企業が低価格商品を提示すると、建物品質も安っぽいのではないかと思われてしまうことがよくありました。しかしそれは「もう過去の話」と言えるようになってきました。それがまさに、2020年からの住宅の省エネ基準義務化という動きなのです。省エネの基準を国が定めました。価格が安くても、それをしっかりクリアしているのですから、これ以上の品質保証はありません。
 さらに当社は、2030年を視野に入れた住宅の提供を行うことを内外に宣言しました。国は2030年にZEH 仕様を標準化し、住宅の消費エネルギーをゼロにしようと打ち出しています。
 2030年に向けて洋館家が施工店・販売店、そして関係の皆さんと一緒にしていこうと考えていることは、単に省エネ住宅を普及させるということだけではありません。
 その一つが、住宅の「通販」です。皆さんもご承知のように「通販の時代」と言われてずいぶん経ちます。特にインターネット利用の通販が発達・普及したことにより、リアル店舗は大変苦戦しています。家電量販店などにお客様は「品定め」に来店し、注文は「家に帰ってからインターネットで」ということがどんどん生じているからです。日常品について、この動きは止まらないと思われます。
 では、私たちの取り扱う「住宅」はどうか。これも、「通販」のようにして買いたいというニーズはあるはずです。では、売る側の我々は、「通販」のようにして売ることができるのか。私はできると思っています。
 現に、既に洋館家の住宅=商品は、栃木でも北海道でも沖縄でも、全国どこでも同じ価格です。商品の品質も同じで、作り手によって、場所によって値段が違うということもありません。これは、通販で売られている他の商品と同じです。
 北海道のような寒冷地と栃木とで同じ建物を建てることはできないし、値段だって違ってくるだろうと指摘する人もいます。でもそれは少し違います。背広を例にとれば、寒冷地で背広を借るのに、背広そのものは東京と同じものでも良い。ただ、冬の北海道で背広だけで外に出ることはできないから、オーバーやコートが必要になる。それは、オプションとして明確にわかり、選ぶことができます。クルマで言えば、スノータイヤがオプションということ。洋館家の商品も、寒冷地であれば、本体価格とは別に寒冷地仕様で必要になることが、オプションとして明確化されています。船便で材料を運ばねばならない離島であれば、横持運賃はオプションといった形になっています。洋館家の商品は、既にその準備ができていると言えるのです。

 規格化により下げられる住宅をつくるコスト 


 全国どこでも同じ品質で同じ値段。しかもそれをなるべく低価格提供するということを、住宅において実現しようとすれば、それは絶対に規格住宅でなければなりません。
 私たちが規格住宅を考える際に、まず「土地の上で家を建てる」という発想は一切持ちませんでした。「土地の上で家を建てる」とうことから始めると、道路はどっち側にあるか、水道はきているか、など、いろいろな土地の形状やそれに伴う制約に配慮しながら個別にやっていかざるを得ません。つまりは、いろいろと「注文」がつき、それに応えていかねばならない。
 土地に合わせた家を作るということは、少し極端に言えば、その段階で既に「注文」住宅ということになるというのが私の考えです。注文住宅が規格住宅と異なり価格が高くなるのは、「注文」に応えるからです。しかも、注文住宅が応え続けなければならないお客様の「注文」とは、「満足感」なのです。この「満足感」に応えるというのは、実に大変なことです。
 注文住宅のコストというのは、土地の制約に配慮するということがあり、そしてお客様の「満足感」に答え続けるということにあります。そのうち、土地の制約については、「土地の上で家を建てる」ことを忘れればとても楽になります。つまりはそことでのコストが大きく軽減されるということです。具体的にどういうことかと言うと、「道路は東西南北どっちにあってもいいようにする」「どんなに狭い土地でも建てられる」規格にしておくということです。
 そしてもう一方の、お客様の「満足感」に応え続けることによるコストをどうするか。これは極論すれば、「満足感」を満たすための営業は一切しないということです。ふつう、注文住宅では何回も何十回もお客様と打ち合わせをします。「お父さん、子供の部屋は8畳がいいんじゃない?」「リビングはもうちょっと広いほうがいいんじゃない?」「和室なんかいらないんじゃない?」等々と、何回も何回も打ち合わせをし、その都度変更があります。これがコストになり、お客様のために低価格の住宅を売ろうとしてこれをやっていると儲からない。打ち合わせをするほど経費がかかる。定価を示せる規格商品であれば、これがほとんどなくなります。「こういうものでこういう値段。オプションはこれとこれで、つければいくらアップします」ということが説明できるから、原則として打合せは1回です。ここで、大幅なコスト削減ができます。

 営業コスト削減のため一時対応は本部が行う 


 このように規格化により大幅なコスト削減ができます。しかも、その販売を「通販」主体で行えば、さらにコストを下げることができます。そのためにも現在本部では、ホームページの充実に力を入れています。これまでも、月に20件以上、年間で約240件のお客様からの資料請求が、本部のホームページから入ってきています。本部はこれを全国の施工店様に紹介してきたわけですが、そのすべてが成約に至っているわけではありません。それは仕方ないかもしれませんが、成約に至らない理由の一つとして、施工店様側の動きが遅かったり、対応が不十分であるということが挙げられます。
 お客様対応、すなわち営業はコストです。コストをかけたのに成約に至らないことが始終生じるようであれば、商売を継続していくことは困難です。売れたときに、これまで売れなかった分のコストを一気に回収しようとすれば、価格は当然高くなります。これでは、住宅の通販による低価格販売はいつになっても実現しません。
 そこで本部では、通販による住宅の低価格販売を行うために、ホームページの問い合わせの一時対応は、まず本部において行う体制づくりを始めました。問い合わせには本部が電話やメールで丁寧に対応し、応えていきます。そして実際にお会いしてご説明する必要があると判断すれば、全国どこへでも行く。そして成約が確実なところまで煮詰めた段階で、施工店様にご紹介し引き継いでいただきます。引継ぎ後も、施工店様には経過報告を出していただき進捗を本部と共有します。
 住宅の通販を実現するためには、その広告媒体の充実も必要です。そのためには、テレビや新聞、雑誌、チラシを使って年間の資料請求件数を1,200件から2,000件程度にまで増やしていかなければならないと考えています。そして戸建賃貸を検討している全国のお客様の一時対応を、東と西に営業マンを配して行っていく計画です。
 もちろん、洋館家商品をマイホームで採用するお客様もいるでしょうが、それは従来通り施工店様に個別に対応していただきます。規格住宅の特性をお客様と施工店様とが理解し合えば、お客様も施工店様も満足できる高品質な住宅も低価格で仕上がるはずです。戸建賃貸での住宅の通販が浸透し洋館家のブランド認知が高まれば、施工店様のマイホーム営業の後押しにもなるはずです。

 2030年は寡占化が進み中小が撤退する
 洋館家は年間4,000棟を販売する 


 10年前、私たちは全国展開をはじめるにあたり「三次元ネットワーク」という言葉を造語し、その言葉で仲間を募りました。販売・管理の方法や消費者のニーズを大局的にとらえ、単なる家づくりや販売をするということではなく、設計から施工、販売、管理、さらにそれに伴う資材の供給をしていくネットワークを確立させていくことでした。このネットワークが、現在、洋館家の「会員」となっている皆さんです。
 会員登録していただいているメンバー=会員数は1,666社(設計事務所様79社、施工店様135社、販売店様1,392社、資材メーカー、商社様60社)にも上ります。このネットワークを活用し、現在、1軒の家を建てるための資材のうちの約55%、関東では60%くらいまで本部供給ができるようになりました。
 ネットワークを創るならより大きくしていくべきだという考えは当然あるでしょう。しかし、いたずらに規模の拡大を狙うことは、私たちの真の目標を達成するために必ずしも得策だとは考えません。ネットワークの質、目的の共有が大切です。その意味で、本部としての現在の方針では、2020年を目途に設計事務所が現在のおよそ2 倍の150社程度、施工店様は全国都道府県を網羅した上で200社ぐらいで募集を打ち切ってもいいと考えています。情報を集め、預かっていただく販売店様は2,000社程度、そしてメーカー・商社は主要企業のほぼすべてといえる60社という規模感が、目的達成に最も効率がいいのではないかと思われます。
 その体制で、2020年までには年間販売棟数1,000棟、2030年には年間4,000棟を達成できる力をつけていきたいと考えています。そのためには、もっともっとスピード感をもって対応していかねばなりません。
 国交省と野村総研が作成した2030年の業界予測では、2030年の新築住宅の着工は持ち家が18万戸、建売住宅が11万戸、事業用建物が25 万戸、合わせて54 万戸くらいだろうとしています。概ね今の着工棟数の半分になってきます。
 そうなるとすべての業者の仕事が半分に減る、というのは楽観的過ぎる考えで、淘汰と寡占化が進みます。現在住宅を手がける建築業者の大半は、新築事業からは撤退を余儀なくされると思われます。
 また一方で、総務省のデータによれば2033年の住宅総数は7,126万戸、うち空き家は今の約3倍弱の2,166万戸、空き家率30.4%と3軒に1軒が空き家となると予測しています。さらに、厚生省が出したデータでは、2030年の東京は一人暮らしが47%、地方でも37.5%となると推定しています。
 少子高齢化、人口減少も進み、2030年の総人口は1億1,662万人、65歳以上の高齢者が3,678万人と予測されています。生産人口、つまり仕事ができる年齢層は6,278万人で、高齢者率が31.6%、約3人に1 人は高齢者となります。今よりも高齢者が増えて生産人口が減ればGDP(国民総生産)が落ちてくるのは確実です。そうすると1人当たりの生活水準が下がることにつながってきます。このような数字となるのが、今からわずか12年後の2030年の日本の社会なのです【解説2参照】
 GDPが下がり2%の成長は2%のインフレ誘導で帳消しになり、社会保障費や消費税の値上がりで国民生活は苦しくなります。また、少子高齢化や地方の過疎化、巨額の財政赤字、破壊寸前の社会保障など解決しなければならないことが今現在も山積されています。
 国は2030年には化石燃料を使わない社会にしよう、住宅はZEHにしようと提唱しています。私たち住宅産業の事業者はそこに対応していくのはもちろんですが、さらに社会の変化、人々の変化に対応した「未来への投資」となる商品を作っていくことで事業を維持・拡大していくことができるはずです。
 家も従来型の機能競争、デザイン競争だけでなくなるはずです。ましてや値引きによる単なる価格競争や、「助成金がもらえる」といったセールスでの競争ではなく、人々が真に求める付加価値の競争になるでしょう。


説明会にはメーカー各社も出席。ポラテック様から耐震シミュレーションのプレゼン、パナソニック様から初期投資を抑えた太陽光発電システムのご紹介もありました。

 「未来への投資」のための商品を開発する 


 昭和の時代にあった「不動産神話」や「終身雇用制度」も崩壊した今日、人々は「豊かさ」を何に求めていくのでしょうか。「個人の時代」になりますと消費者の志向・動向が限りなく多岐に渡りますので対応する企業は経営が苦しくなります。人々が使う「お金」は、暮らしのために使うお金=「消費」と、将来の役に立てるためのお金=「投資」とがあります。多くの企業は、「消費」に使われる商品をメインにしていますが、これからは投資に使うための商品が主流となります。
 冒頭にも申し上げたように、世の中は完全な成熟社会となります【解説1参照】。では成熟社会では何が求められるか。それは物質的なものではなく「心の満足」の方向に向かいます。例えば投資も、土地や株を買うのでなく、自分や家族の健康に対する投資、子供の将来のための教育への投資といったものに、人々はより関心を示すようになるでしょう。「物の豊かさ」から「心の豊かさ」、「健康の豊かさ」を維持するための「投資」となる商品の需要がより高まります。例えば、スポーツジムに通う、ゴルフに行って足腰を鍛える、癒しを満喫するのに源泉かけ流しの温泉旅行に行く、趣味を生かすために必要な教室に通う、子供の将来を考え海外に留学させる、夫婦で世界一周の旅行をする……などの「投資」に費やすお金は今後増大し続けて行きます。消費者一人一人が人生を豊かなものにするのに役に立つものが、「財産」となるわけです。
 住宅の分野では、「子供の頭が良くなる部屋」「熟睡できる寝室」といった商品も生まれるはずですし、そのような商品を生み出すことができる人と企業とが、2030 年にも価値のある存在として認知されるのだと思います。
 洋館家本店では目の前の「消費」はもちろんのこと、10年、20年先の消費者の動向に応えることのできる商品を提案していきます。消費者一人一人が人生を豊かなものにするのに役に立つもの、それこそが「財産」となるわけです。それを踏まえ、「質の時代」から「価値の時代」を的確にとらえ商品化してまいります。
 住宅産業を巡る状況は厳しさを増し、さらにAIの出現やロボット化により、ビジネス領域は大きく変化します。このような時代にあって、私たちは異業種とのネットワークによる付加価値を付け、価格の競争ではなく価値の提供をしていくことを、改めて宣言いたします。洋館家本店の2030 年対応は、単に省エネ基準のクリアだけでなく、以上のような未来に向かって歩むための目的をもった様々な施策展開であるとご理解ください。

洋館家本店の2030年までの目標

*通販による販売…
ネット通販.TV.新聞.雑誌.チラシ等の展開.
年間1200件~2000件程度(2020年までに)

*会員数…
(設計事務所様150社.施工店様200社.販売店様2000社.メーカー.商社様100社)

*販売棟数年間4,000棟(2020年までに年間1000棟)


新仕様の『セント・マリアージュ』『シェリー・メイゾン』共通パンフレット(斡旋価格30冊10,000円税別)。ご注文は本部まで。

【解説1】成熟社会の消費者志向
モノの豊かさではなく「感動」がキーワードに

 経済が成熟すると人々の暮らしは豊かになる。しかし成長が鈍化したことで企業にとっては厳しい状況が生じる。「暮らしは豊かになったけれども仕事は大変」ということ。
 経済が成長して「成熟期」を迎えると個人の所得も増え、消費動向も大きく変わる。以下に、戦後経済の歴史を見てみる。

<復興期>
 1950年代までは「食べること」が厳しい時期。何よりも農業政策を優先して農地解放や農業技術の進歩によって生産向上に努めた。何といっても「お腹いっぱい食べられること」が最優先だった。

<高度成長期>
 1950年代~60年代。食糧生産に余裕ができたことで、日本の社会は労働力を工業に振り向けることが可能となった。「農業から工業へ」、「農村から都会へ」の人口移動によって、それは実現された。工業の発展に伴い、人々の「豊かさ」は次の段階へと移行した。大量に生産された商品を大量に消費することによって「便利さ」や「快適さ」を求めたのである。この時期は「量の時代」だったので「三種の神器」と呼ばれたテレビ、冷蔵庫、洗濯機をはじめとした家電製品の需要が高まり、同時に都市部に集合住宅が大量に供給された。
 続いて「新・三種の神器/3C」として、自動車、カラーテレビ、クーラーなどに代表的される商材への消費者の購入意欲が高まる。これらによって人々の暮らしはより便利に、より快適になっていった。また「食」の分野も、ただ「お腹いっぱい食べる」のではなく、栄養のあるもの、美味しいものが求められるようになった。

<安定成長期>
 1970年代日本の「豊かさ」は新たな段階を迎える。様々な欲求が満たされていくことで楽しさや安心、感動、自己実現といった「心」の領域の「豊さ」を目指す方向性が鮮明になってきました。個人消費の領域に占める娯楽やレジャーのための資質の割合は大きく上昇しも海外旅行も一般化していきました。「食」の分野では安心して食べられるものや滅多に食べられない珍しい物、「衣料品」ではファッション性やブランドといった要素の比重が大きくなっていった。「住宅」でも内外装の美しさやデザイン性といった要望も増えてきた。

<バブル期>
 1980年代、日本の経済力が最大に発展して「円」の通貨量は13%強の流通量を誇り「ジャパンマネー」として世界に流通した。日本経済が最も自信に満ちた時代。当時は「1億総不動産屋」といわれるぐらい投資や運用が盛んに行われた。

<長期不況期>
 1990年代、バブル期が崩壊して失われた20年が始まった。「癒しの時代」と言われだが、成長から一変してデフレスパイダルに突入した時代となる。

<成熟期>
 2004年以降、「感動」が日本人の「豊かさ」と消費市場の新たな主役となることが鮮明になってきた。当時の小泉首相が相撲の優勝杯を渡すときに「感動した」と叫んだのは多くの人の記憶に残っているのではないか。その後日韓共同開催のワールドカップやオリンピックでの日本選手の活躍で多くの日本人が感動を満喫した。
 消費者「個人の時代」の時代とも言われる今日、消費者自ら感動を最大化するための動きを活発化している。感動消費の市場では企業が感動を提供するだけではなく、消費者自らの活動あるいは消費者同士の関係から感動を生み出したり増幅させたりする構図となってきている。

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【解説2】予想される2030年の日本の状況
住宅産業は寡占化。社会の歪みが顕在化

【2030年業界予測】
マイホーム 18万戸
建売住宅  11万戸
事業用建物 25万戸
計     54万戸
(国土交通省「住宅着工統計」の住宅着工予測の発表による)
建築棟数も激減するが寡占化していく大半の建築業者が仕事を失う。

【2033年空き家戸数】
総住宅数  7,126万戸
空き家数  2,166万戸
空き家率   30.4%(3軒に1軒が空き家)
(総務省「住宅.土地統計調査」の予測値による)

【2030年人口予測】
総人口  11,662万人
高齢者  3,678万人(65歳以上)
生産人口 6,278万人(20歳~65歳)
高齢者率 31.6%  (現在29.1%)
生産人口 53.8%  (現在54.7%)
高齢者が増えて生産人口が減少。

【消費者動向】
*GDP(国民総生産)の低下
*生産者人口の減少とコストアップ(定年退職者や生産に従事しない高齢者の増加)
*企業の海外進出
*グローバルな生産コスト競争(人件費や設備投資の違い)
大半の人々が経済の豊かさを実感できない「成熟社会」では、成長を阻害する以下のような様々なゆがみが生じる。 *所得格差
*税による社会サービスの不均衡を
*少子高齢化
*地方の疲弊
*企業の海外移転

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