街と建物

 賃貸物件の現況〈結城市〉

人口減を食い止める取り組みに注力する街

 都心から約70km圏内、栃木県との県境に位置する茨城県結城市。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている結城紬のふるさとです。
 2020年7月現在の常住人口は50,474人、19,385世帯が暮らしを営んでいます。2010年代頃から、出生数の減少や死亡数の増加の影響を受け、人口が減少するようになりました。
 1995年以降の転入と転出の相関を見ると、トータルでは954人の転出超過となっています。
 市では、今後いかに転入を呼び込み、かつ転出を思いとどまってもらうかといった取り組みが必要であると見ており、「安定した雇用と地域労働力を『結ぶ』」などを基本目標に、「結城市まち・ひと・しごと創生総合戦略2020」を推進しています。

住宅状況

 「住宅・土地統計調査」(2018年、総務省)によると、結城市の住宅総数は21,020戸。賃貸住宅の、居住無しは1,390戸で、空室率は24%と全国平均を上回っています。茨城県全体を見ても26.5%と、同様に多くの空室をかかえている状態です。

価格相場

 LIFULL HOME’Sによれば、2020年10月現在、中古一戸建て(築年数指定なし、建物面積100m2の場合)は1,673万円、新築・分譲一戸建ては2,180万円~となっています。賃貸の家賃平均は4.17万円で、1LDKで5.4万円、2LDKでは5.97万円となっています。

結城市の住宅状況(下段は茨城県全体)     単位:戸

住宅総数
21,020 居住有 居住無
持ち家 借家 (公営) (民営) (給与)
18,570 13,980 4,400 340 3,970 90 2,440
1,328,900 1,126,600 801,700 291,600 29,900 244,600 17,200 202,300

結城市の居住無住宅の概要(下段は茨城県全体)

居住無
2,440 一時 空き家 (賃貸用) (別荘等) (ほか) (建築中)
50 2,380 1,390 10 990 10
202,300 3,500 197,200 105,400 9,000 82,700 1,500
*2018 年「住宅・土地統計調査」による。誤差は四捨五入による。
*賃貸空き家率
→結城市の市 居住有借家4,400 居住無賃貸用空家1,390 賃貸住宅5,790 空家率24.0%
→茨城県 居住有借家291,600 居住無賃貸用空家105,400 賃貸住宅397,000 空家率26.5%

 結城市グルメ

甘味茶蔵 真盛堂

甘味茶蔵 真盛堂  結城市の老舗和菓子屋「真盛堂」の甘味処は、ランチもおいしいと評判です。写真はお赤飯セット(900円)。デザートにプリン大福がついています。プリン大福はお店の人気アイテムですが、「ゆでまんじゅう」も食したい逸品。江戸時代末期、疫病が流行した際、疫病平癒を願って神輿が奉納され、ゆで饅頭もお供えされ、以来地元の名物となりました。

 今回の表紙

結城の見世蔵(ゆうきのみせぐら)
結城の見世蔵(ゆうきのみせぐら)
結城市結城1362

 結城は鎌倉時代からの城下町で、関東でも有数の古い城下町です。江戸時代は徳川将軍家と縁の深い水野家の城下でしたが、江戸経済の大動脈・鬼怒川の要衝にあり、結城紬や農産物の集散地として隆盛を極めました。地域が経済的に裕福であったことから、江戸時代中期以降は文人墨 客が多く、またスポンサーを求めて与謝蕪村ら著名な俳人や画家らも逗留しました。

 隆盛は明治以降も続き、結城は養蚕や紬の町として、さらに桐製品、かんぴょう、皮靴などの産業も盛んとなり、市街地には問屋が並びました。

 商家の多くは、防火、防湿、防盗の観点から、木骨、外壁を土壁として漆喰などで仕上げた土蔵造り(蔵造り)。店舗・住居を兼ねるものは「見世蔵(店蔵)」と呼ばれました。

 写真は結城市内の古民家カフェ「甘味茶蔵 真盛堂」。明治30年(1897年)頃に建てられ、最初は肥料商の店舗兼住居、その後、呉服商から薬舗を経て、和菓子店の真盛堂がリノベーションして甘味処となりました。

 市内にはこうした明治初期から大正期にかけて建造された見世蔵が30棟以上残り、往時の繁栄を物語っています。

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