メーカーインタビュー 004

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photo 時代変化に対応し120年
自社生産を強みに
安定供給をめざす


株式会社ノダ
建材事業部 西東京営業所長  荒木 薫 氏


 世界的なコロナ禍とその復興需要、そしてウクライナ侵攻などにより住宅資材の不足や高騰が続いています。洋館家本店グループでは多くの有力資材メーカーの支援により、安定供給を続けています。その1社である株式会社ノダ・荒木所長にお話を伺いました。

 

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◀︎全国ネットドラマに美術協力。ノダの床材等各種製品が使用されている




 業界内で抜群の認知度。
 一般へのPRも

ーーまず会社のご紹介からお願いします。


荒木 1902年創業、今年でちょうど120年になります。木材から始まった会社で、現在の社長で5代目です。発祥は静岡県富士市ですが、現在の本社は東京・台東区の浅草橋です。

 住宅資材メーカーにはパナソニックさんやLIXILさんなど、弊社よりも大きなところはありますが、古くから堅実に続けてきた会社です。

 業界の中では、弊社を知らない方はほとんどいないと思います。工務店さんや大工さんも、「ノダです」と言うと大体わかります。ただ、一般消費者の知名度がいま一つという自覚はあります。パナソニックさんやLIXILさんはショールームを大きく構えていますし、やはりネームバリューがあります。品質に自信があっても、例えば工務店さんが「ノダの建材を使いますよ」と言うと、施主さんが社名を知らないということもあるようです。そのあたりの改善と、ブランドイメージ向上のため、インスタグラムなどで可能な限り情報発信をおこなっています。例えばドラマの撮影で、主人公の部屋のフローリングや建具を使っていますといったPRをさせてもらっています。

 電化製品などもそうですが、建材も昔のようにメーカーによる品質の違いが少なくなってきました。正直、他社さんもほとんど一緒だと言えないこともありません。このメーカーだからこれしかない、といったものは基本的に少なくなっているのです。ですから、質が良くない製品、昔みたいに「安かろう悪かろう」みたいな商品は市場から受け入れられなくなっています。そうなると価格競争よりも、供給・納品のタイミングなど、そこをできるだけスムーズにおこなうといった部分でのアドバンテージのほうが出しやすいといえます。

 弊社の一番の強みは、材木屋から始まったので合板にしても木質ボードのMDFにしても、自社で生産ができていることです。それにより供給がとても安定しています。素材メーカーから建材を扱うようになったので、ある程度の材料が確保できれば安定的に生産ができます。静岡県の富士と清水の自社工場で生産し、全国の拠点に配送し現場に納品します。富士の工場は国産材を使って合板を作っています。林業の活性化、切った木を消費できるところはないかと県から声をかけられて取り組みが始まりました。もちろん、国産材と並行して、輸入品の貿易事業部、合板を仕入れる部署もあります。

 洋館家システムのメリットを
 活かして応援したい

ーー洋館家本店との取引の経緯、取引を通じての印象をお聞かせください。

荒木 洋館家さんとの取引は問屋さんからのご紹介で始まりました。戸建賃貸を始められたばかりの頃、10数年前です。まだ世間は洋館家本店のことを知りませんから、福田社長の構想などを伺った上で取引をさせていただくことにしました。床材、ドア、建具関係、玄関、収納、階段など、家の内装に使う建材を採用していただいています。

  洋館家さんのしくみは、流通面でもとても効率化されています。商品を供給する側も、洋館家さんが加盟店さんに供給する無駄な仕事やコストをできるだけなくすことに重点を置いてくれています。建物のプランも、使う商品も見積りの内容も、使う材料も決まっているので無駄がとても少ない。これらはメーカー側として価格が出しやすく、かつクレームも少なくなりますからメリットが大きいですね。我々の仕事では現場打合せや個別注文やクレーム対応などが少なくありませんが、それがコストを押し上げてしまいます。そこを排除するしくみはとても助かります。

 仕事というのは人間関係の面も大きいかと思います。洋館家さんはしくみだけでなく、様々な点で我々に配慮してくれますから、私たちも洋館家さんを応援しようという気持ちになります。

 既存取引店を大切にして
 供給難を乗り切る

ーーウッドショックや資材不足など、供給面ではいろいろ難しい問題がありますね。

荒木 やはりメーカーは、既存店さんに対しては供給責任が最も重要です。また、既存店さんも目新しいものよりも満足するものを適正な納期でお届けすることを求めています。弊社は国産材での供給が強みですが、現下の状況は大変な面もあります。ここまでの厳しい状況は、私がこの業界でやってきた中では初めてです。会社も、新しい商品の開発や販促よりも、今は供給面を滞らせないというところに重点を置いています。供給が滞っている他社のお得意先様からの引合いもありますが、やはり既存のお客様への安定供給が最優先です。

ウッドショックといっても木自体は、日本にはたくさんあります。しかし林業の生産性が悪く、儲かりにくい仕事になってしまい、木は生えているものの、間伐する人がいません。また、切った木を運ぶのも、すごくコストがかかる。それで日本はどうしても輸入品に頼らざるを得ない状況になっていました。

 今、日本の合板メーカーはフル生産をしていますが、それでもまだ供給が追いついていません。国内の林業の活性化、そのための支援が大切だということに多くの方が気づいたと思います。零細企業ばかりで林業をやっていくのではなく、資本を入れて機械も人も入れていかなければなりません。食料品同様に、海外頼みは限界にきていると思います。こうした背景も踏まえて、弊社は国産材に力を入れているのだということを業界の皆さんやお客様によりご理解いただければと思っています。

 

 営業一筋。取引先との関係構築に努める

――荒木さんの入社経緯や社歴は?

荒木 新卒入社で社歴は26年。出身は群馬です。住宅関係の仕事をいろいろと調べて面接した中で、業界の中でもしっかりした会社ということで選びました。はじめは岩手県の盛岡に配属になり8年半ほどいました。次に神奈川の横浜に7年ほど、その後はずっと西東京営業所です。西東京というと、調布から西のいわゆる三多摩地域と、山梨県の甲府が担当地域です。取引の最初の経緯から、栃木に本社がある洋館家さんも私の営業所が担当しています。

 入社以来ずっと営業職で、主な仕事は問屋さんのルート営業、工務店さんへの商品の提案や案内現場の打ち合わせもやっています。コロナ禍で難しくなりましたが、以前は現場や工務店さんに飛び込みでセールスもしました。

 取引先がどんどん良くなっていく様子を見るのはうれしいですね。ただし、複数の会社を見させてもらっていますから、無理な拡大をしている会社はなんとなくわかるものです。お客様や取引先はもちろん、従業員を大切にしている会社は安定して伸びるということが経験上わかってきました。

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  企業紹介

株式会社ノダ
本  社/東京都台東区浅草橋5丁目13番6号
建材事業部 西東京営業所/東京都八王子市南新町13-1八王子繊維センタービル204号
代表者/代表取締役社長 野田 励
営業種目/建材製品(内装材・外装下地材・住宅機器他)、繊維板、合板の製造、輸入、加工
WEB/https://www.noda-co.jp

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