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施工店・販売店インタビュー

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住宅提供者ができる地域貢献
子育て支援でまちづくりに参画

洋館家本店グループの会員=施工店・販売店には、地元に根差し「地域密着」の営業を展開する企業が大半です。そして、地元企業の責任として、地域貢献を強く意識している企業も少なくありません。福井県小浜市を拠点とする会員販売店・平田不動産、会員施工店・平岡建設の取り組みから、住宅提供者ができる地域貢献についてご紹介します。

  • 株式会社平田不動産
    代表取締役社長 平田 稔 氏

    住所:福井県小浜市四谷町9-18
    営業種目:<不動産事業>売買・賃貸・媒介・管理・コンサルティング業 <保険代理業>損害 保険・生命保険 <ライフサポート事業>害虫駆除・抗菌施工
    電話:0770-53-3588
    https://www.hiratafudousan.com/
  • 株式会社平岡建設
    代表取締役社長 平岡 幹也 氏

    住所:福井県小浜市和久里20-8-1
    営業種目:個人住宅・店舗・会社の新築施工・リフォーム
    電話:0770-56-1725
    http://www.hiraokakensetu.co.jp/



 まず実際に本部に出向いて話を聞く

ーーまずは、両社の事業概要から教えてください。

平田 当社は40年前に私の父が脱サラし、地元の小浜で創業しました。ちょうど私が生まれて3日後ぐらいという、すごい時期に始めたようです。当時は賃貸アパートも少なかったようですが、京都で銀行員だった父は、将来の需要を見越して賃貸仲介や管理を主とした事業を始めました。現在の管理戸数は1,500戸超で、約2,500戸とされる小浜の賃貸市場の約6割を管理していることになります。私は2018年から社長を務めています。

平岡 私の父は37~8年前に個人事業主で建築の仕事を始めました。木を刻んで建てるような大工さんでしたが、当時、マンション、鉄骨とかRCの建物の木工事を する大工さんがいなかったことから、そういった仕事をしていくうちに仕事が増え法人化し、現在は、公共工事の大きな鉄骨の工事なども受けています。私は地元の高校を出た後に建築の学校に進みました。元々家を継ぐ気などなく大阪にいたのですが、法人化の5年ほど前に戻りました。

インタビュー

ーーお2人が洋館家の商品をご一緒に手掛けられるようになった経緯は。

平田 もともと高校の同級生で、お互いの家の商売は知っていました。でもグループが別で、私はおとなしいけど彼はやんちゃで。在学時も卒業後もほとんど接点はありませんでした。

平岡 私が関心を持った古民家の売買を平田不動産が扱っていて、リフォームした後の賃貸の仲介をやってもらったりした頃から親しくなり、一緒の仕事が増えました。

平田 洋館家さんのことは、2年前に定期借地についていろいろ情報を集めている時にその問題に詳しい方と知り合い、その方から教えてもらいました。

平岡 私は洋館家さんのことを平田さんや平田会長から聞き、まず本部に見に行くことにしました。

平田 最初は気乗りしなかったんだよね。

平岡社長 平岡 よくあるローコスト住宅だろうと思ったわけです。でも、見もしないで否定するわけにはいかず、行ってみました。実際に見て、建物はしっかりしていることがわかりましたし、何より、住宅を安く供給すべきだという本部の福田社長のお話に衝撃を受けました。
 考えてみると、自分たちは建築屋として、安く売ろうという感覚があまりなかった。なるべくいいものを造りたいから、ローコストということに抵抗がありました。また、コストを下げることを突き詰めてないので、安く売るとしたら電気屋さんや協力業者を泣かすしかないと思っていました。そういうことはしたくないからローコストはダメ、そう考えていたわけです。でも、規格化により安くてもしっかりした家が建つことがわかりました。

規格住宅でもしっかりした家が建つ
規格住宅でもしっかりした家が建つ

  賃貸住宅建設というビジネスの意義

ーー洋館家との契約後は、どのように進められましたか。

平田社長 平田 最初はこの規格住宅を使って注文や建売りをやろうとしたのですが、全然売れない。そうしたら、平岡さんは「これは賃貸なんだ」と言う。平岡さんが先に本質をつかみました。私も確かにそうだと思いました。
 新築や建売は競合が多い。家を建てる人はそれなりに夢を持っていますから、そういう人にとって規格住宅は、描いた夢を実現するのが難しい。そのようなこともあり、新築希望のお客様には逃げられてしまうわけです。それと、新築を手掛ける業者はどこもお客様に40年のローンを抱えさせて家を建てさせるけれど、そこで競争しても仕方ないなとも思いました。結局、ローンを払い終わった後の住宅の多くが、売るのが難しい古い空き家になってしまうわけ。そういうものを供給し続けていいのだろうか、とも考えるようになったのです。
 でも、例えば、子育て世代なら小学校に近いところの新築に住み、子育てが終わったら別の住まいに移る、といったことが賃貸なら可能です。こういう住宅ビジネスをすべきだと考えました。

平岡 洋館家さんに行って話を聞いた後、私の子供が通う保育園のお母さんでアパートに住む人に聞いてみたんですよ、戸建に住みたいですかって。すると「もちろん戸建に住みたい。もう少し子供が大きくなったらアパートは無理。でも、家を建てる余裕はない」と言っていました。そういう人は大勢いる。だから安く家が手に入るようにすべきだし、結論はローンなしで住める家、つまり賃貸だと思いました。

平田 それで平岡さんと一緒に戸建賃貸の計画を立て、まず6棟を建設しました。すぐに入居も決まりました。

子育て世代に戸建を提供する
子育て世代に戸建を提供する

 地域に貢献する事業を進めたい

ーー両社の今後の事業の進め方、計画や抱負をお聞かせください。

平田 2022年は12棟を計画しています。戸建賃貸を広めていくだけでなく、借りていた賃貸を持家に替えられたりできないかも研究したいですし、賃貸住宅に投資する方のメリットもさらに追求したいと思っています。

平岡 当社は自社所有物件も建設していきます。戸建賃貸を建てて経営するわけです。注文住宅を追いかけるのではなく、良い家に安く住みたい人に住まいを提供したり、ある程度経ったら、それを中古住宅として購入したい人に売却してもいいと思っています。

平田 工務店さんが賃貸経営するメリットは大きいですよね。自社で建てられるからというだけでなく、メンテナンスも自前でできます。不具合が生じたら、その都度、ピンポイントで素早く的確に修繕できます。これは洋館家さんの戸建賃貸商品だけに限りません。空き家を所有し、直して貸したり売ったりするビジネスは、建設業者さんにとってメリットが大きいと思います。

平岡 会社としての新しい収入源にもなりますしね。

小浜 平田 小浜も毎年人口が減少し、この15年間1割減っています。しかし一方で、隣接町の工業団地や原発関係に勤務し、人材派遣や単身赴任などで住民票を小浜に移さないまま住んでいる人が相当数います。また、2033年の新幹線開通による経済効果の期待もあります。そのようなこともあり、賃貸住宅の需要もまだまだ旺盛ですし、供給が少ない戸建賃貸住宅はまだまだ伸びます。
 ただ、当社が考えているのは、事業で利益を上げるだけではなく、小浜のまちづくりにどう貢献していくかということです。仲介や管理だけではまちづくりはできません。これからはまちに投資をしていくことによってそれが循環し、そのことによりそこに関わる企業も伸びていくという時代になっていくと思います。まちづくりに参加することに価値を見出す方々と一緒にまちづくりをしていく企業になっていきたい。平田不動産で契約するその手数料には、このまちに投資をするという意義があるのだとお客様に思っていただけるビジネスをしていきたいと考えています。空き家の再生も戸建賃貸の供給も、その一環として位置付けて進めています。
 今はまず、子育て世代向けの戸建賃貸の提供を始めていますが、子育てが終わった夫婦2人世帯にはどういう家が必要なのか、アクティブシニアはどういう家がいいのかを考えていきたい。さらに人生の終末を過ごすホスピスのようなものはどうあるべきかなど、この地域の方々の人生のすべてのステージの住まいを提供し、地域に貢献できる企業になれればと思っています。

インタビュー

平岡 私も、まずは子育て世代向けの戸建賃貸をこの地域に広めたいと考えています。私の子供はまだ保育園に通っていますが、子供たちの中には、住宅ローンのために親が働きづめでかまってもらえず、寂しい思いをしている子もいます。何のための家なのか、持ち家が高過ぎるからいけない。そういうところの解決は、私たち建築業者としてできる地域社会への貢献ではないかと思います。

 子供たちに地域を知ってもらう取り組み

小浜は『蘭学事始』を著した江戸時代の蘭学医・杉田玄白ら、著名人を多く輩出した歴史あるまち。小浜市街のあちこちにある平田不動産が管理する物件や駐車場には、「若狭おばま人物學事始」として小浜で名を残した歴史上の人物を紹介解説するプレートが設置されています。

平田社長 平田 まちづくりでは、まず自分たちのまちについて知ることが大切です。これからのまちづくりを担ってもらいたい子供たちに向けても、さまざまな機会を通じまちについて学ぶ機会を使っていかなければと思っています。ある時、中学校の先生から、「中学生たちがまちについて考える気持ちに火をつけてください」と言われました。どうやっていいかはわからないながらも、日々の暮らしでまちを考えるようになってくれればといろいろ考えています。先生方からの要請で、私が中学生たちに小浜の歴史についてお話することもあります。
 また、会社のホームページ内に「ひらたんTV」というYouTube動画のページを作っています。ここでは、暮らしの情報のほか、いま活躍している小浜のさまざまな方にインタビューしたり、まちの建物などを紹介したりしています。
 私も当社も、小浜市がつぶれたら平田不動産がつぶれるぐらいの気持ちでいます。拙い動画かもしれませんが、それが少しでも伝わればと思っています。

平田不動産が手がける歴史看板「若狭おばま人物學事始」
平田不動産が手がける歴史看板「若狭おばま人物學事始」

 古民家再生のビジネス化

古くからの若狭地域の中心地であった小浜には、古い建物も数多く残ります。また、近年は景観保存や復元の取り組みも行われています。建築業者として古民家再生を数多く手掛ける平岡建設では、リフォーム・リノベーションした物件の販売や賃貸も平田不動産の仲介で行っています。

平岡社長 平岡 古い家を見ると「宝の山」に思えるんですね。それもいわゆる古民家だけでなく、昭和の終わり頃のふつうの住宅などにも魅力を感じます。当時の人が、その人なりに精一杯お金をかけて造った家。でも、40~50年経ったら時代遅れで買い手がつかない中古住宅とか。あるいは、何の事情なのか、卓袱台に食器やお醤油などが残ったまま廃墟になった家とか。そういう家を片付けて、ごみを処分し、壊れたところを直して、新しくやりかえていく。それが楽しい。意外な掘り出し物がありメルカリに出したら売れて、喜んでいたら後で税金を払うことになったりと、なかなか面白いですよ。
 趣味からスタートして、そうやって直した家に新しい買い手や借り手がつく……これもまちづくりにつながると考えるようになっています。

古い住宅を再生し新たな買い手や借り手へ
「ひらたんTV」でも再生を事例紹介

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