施工店 販売店インタビュー 025
断熱性能、耐震性……
住宅建築事業の
新しい形をもとめて
共和建設株式会社
代表取締役社長
陳内 建司 氏
専務取締役
陳内 健明 氏
兄の陳内建司社長(右)と弟の陳内健明専務(左)。社長が設計、専務が現場を統括。営業も兼ねているという
開湯は約1300年前の名湯で、かつては三井炭鉱で栄えた大牟田周辺の「奥座敷」として栄えた玉名温泉がある玉名市は、現在は熊本県北の中心的な都市。主産業は農業だが、熊本市のベットタウンとしても発展しています。このエリアを商圏とする共和建設の陳内社長、陳内専務ご兄弟にお話を伺いました。
共和建設株式会社
1923年(大正12年)に大工だった先々代が創業。1967年(昭和42年)に法人化し、住宅はもちろん地域の一般建築工事まで幅広く対応し、業容拡大してきた。陳内敏之会長が厚生労働大臣より建築大工部門で『現代の名工』を受賞するなど技術力にも定評があり、断熱性能、耐震性を持つ住宅の独自開発も行っている。
本社/熊本県玉名市築地311-1
電話/0968-74-4678
WEB/https://www.kyouwa-homes.com/
地元顧客の要望で賃貸を建築
ーー玉名市周辺の不動産・建築業界の状況から教えてください。
陳内社長 最近、この地域は住宅が多く建っています。
陳内専務 熊本地震の復旧復興が大きかったようです。玉名周辺ではもう落ち着きましたけれど。それでも一般住宅についてはかつてのような勢いはありません。
社長 私が学校を卒業してこの会社に入ったのが1981年で、それから数年たった頃がいちばん良かったのではないでしょうか。
専務 バブルのちょっと前ぐらいが一番良かった。今は、全国どこも住宅建築の伸びは止まっているような感じがします。ここ玉名地域は熊本や福岡に60分圏内ですが、土地は安い。だからまだまだ建つだろうと見込まれています。
社長 その分、大手ハウスメーカーや熊本市内のビルダーも進出してきますから競争もあります。
ーー賃貸住宅の需要も多くあるのですか。
専務 大いにあります。入居者側の需要もありますが、建てる側の事情もあってどんどん建っています。もともとこのあたりは農家が多く、賃貸経営をする人もいました。木造一戸建てが得意の当社は古くから地元で仕事をしてきましたが、地元のお客様からの依頼で随分前からアパートを建てていました。近年は農家もだんだんと高齢化し、相続対策の点からもアパート経営への関心が高くなりました。そこで鉄筋コンクリート造マンションも手がけるようになりました。
社長 農家は後継者不足の問題も出ています。土地を売りたくないからアパートやマンションを建てたわけですが、後継者がいないから売るしかないという人もでてきました。そこで分譲なども増えています。分筆のことなどを考えれば戸建は有利ですから、洋館家さんを知る以前から戸建賃貸住宅もやっていました。
賃貸物件でも住宅性能は譲らない
--洋館家との出会いは?
社長 当社はソニー生命保険の篠原隆徳さんが主宰する建築業者の勉強会に参加しているのですが、篠原さんから「一度、洋館家さんの福岡でのセミナーに行ってみてはどうか」と言われ、専務と2人で話を聞きに行きました。
専務 それまで当社は、賃貸用の物件はコストの点から品質へのある程度の妥協はやむを得ないと考えていました。でも、本部で福田社長の話を伺い商品を見ると、このコストでもこれだけの建物が建つのだということがわかりました。
社長 もともと当社は断熱素材の採用など、住宅の品質に対する強いこだわりがありましたから、戸建賃貸も同じ考えでやれるということで洋館家の商品を扱うことに決めたわけです。
専務 洋館家さんに伺って、「コストを下げても品質は落とさない、コストを下げるためにどうすればいいかをずっと考えている」というお話に大いに刺激を得ました。私も品質を下げずにコストを下げる工夫を、大きなテーマとして取り組んでいます。また、戸建住宅での暮らしが集合住宅に比べていかにストレスが少ないか、相続対策でのメリットが大きく納得することばかりでした。
社長 洋館家さんの商品は賃貸だけでなく、持ち家としても十分競争力があります。このあたりの人も、以前は住まいを新築するとなると立派な構えの玄関や屋根、必要以上に大きな梁や柱を好みました。でも最近の若い人はそういうことはあまり考えません。
専務 こってりとした和風住宅は流行ではない(笑)。皆さん設備の方にお金をかけようと考えますし、そもそも、住宅にそんなにお金をかけられる人も少なくなってきました。予算に応じた建物の提案という点でも、洋館家商品を扱うことは営業面でも楽です。規格住宅であっても、その方にとって最も居心地のいい家、その人にとって世界に一つしかない家を創ることもできます。
社長 家を建てることは人生の最終目的ではなく、スタートだと思います。大切なことは、ずっと楽しく幸せに暮らすこと。そのための家をどう作るかです。その実現を手助けすることが家を提供する側の使命だと私は考えます。
大型の注文住宅から洋館家本店のコンパクトな規格住宅まで、顧客ニーズにあわせた建物の提案・建築を行っている。
耐震性への意識が高まった topics
専務 平成時代は災害の多い時代でした。熊本でも2016年4月に熊本地震が起きました。熊本県は地震が少ない、地震災害がないと言われてきましたからなおさら大変でした。
社長 私たちの世代では、大きな地震の記憶はほとんどありません。大分中部地震(1975年4月)、福岡西方沖地震(2005年3月)など、九州でも大きな地震がありましたが、熊本では揺れは感じましたが大きな被害はありませんでした。
専務 熊本の人の多くは地震に無関心でした。保険会社の営業マン自身が、「熊本では地震保険は必要ありません」と言っていたくらいですから。でも、あの地震で意識が大きく変わりました。耐震に対する関心も高くなっています。耐震や環境・省エネについては当社も長年力を入れてきましたから、当社の仕事がより評価されるようになったと思っています。
社長 新しい技術を取り入れること、そして日本の伝統的な建築技術を残していくこと、その両方を進めることが大切です。ただ、それを進めるうえでの現状の課題は人手不足です。
専務 地震復興で人手を取られていることもありますが、職人の高齢化も進んでいます。若い職人を獲得するためには賃金をもっと上げなければなりません。職人の賃金は上がっていますが、一方で公共事業の単価は安いままです。
社長 地元の商工会議所などと求人活動を行っていますが、若い人材を獲得し育てていくことは、当社だけでなく業界全体の課題ですね。
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高齢化に絡んだ受注も増える
ーー最近の洋館家商品の受注ではどのようなものがありましたか。
社長 地域の方々の高齢化で、やはり相続に絡んだ相談、その対策としての住宅建設の提案は増えています。つい最近も、娘さんが2人いらっしゃる方の土地活用のご相談を受けました。集合住宅は相続の際に分けにくいですし土地の形も集合に向いていなかったので、戸建賃貸を複数棟建てました。
専務 年配の方の建替えでは、古い大きな家をコストをかけて直すよりも、コンパクトで機能的な家を提案していくべきだと考えています。その方が、歳をとってからの暮らしは楽になりますから。その観点で、平屋タイプの「和」も提案していきたいのですが、このあたりの年配の方の多くは建替えよりもリフォームを求める傾向があります。今まで住んでいた家にそのまま住み続けたいという気持ちが強い。
社長 熊本地震の頃のことでしたが、50坪ぐらいの家のリノベーションを受注し、工事を始めたら地震がきた。よく倒れずに済んだという状態でしたから建て替えを提案しました。その方が費用が安いですから。でも、そのお宅のおじいさんが頑として建て替えは嫌だと仰って、結局新築以上の費用をかけリノベーションしました。もっとも、そこに住む方の気持ちが一番大切ではないでしょうか。
環境対応にも力を入れる
ーー今後の会社の方向に向かおうとしていますか。
社長 低価格高品質の規格住宅をやっていくと同時に、注文住宅では設計面で自社の個性をより発揮したものを作っていきたいと考えています。パッシブハウスも選択肢の一つです。建物性能を上げて冷暖房コスト削減など省エネルギーを実現する住宅です。地域の方々が健康で暮らせる家づくりを追求していきます。
専務 洋館家さんの商品もZEH仕様など環境性能を高めていますね。周辺には築30年を超えた木造アパートや戸建の古い借家がたくさんあります。ですから戸建賃貸への建替えニーズも十分あると言えます。環境性能、耐震、そして相続対策などを総合し、規格住宅、注文住宅、それぞれお客様にあったものを提案していきたいですね。
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