特集
熊本地震
洋館家モデルは耐震力を発揮
地震大国・日本の住宅で
耐震性への関心は一層高まる
熊本地震で被災した皆様にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
地震発生後、本部では直ちに現地施工店様やメーカーなどと連絡を取り合い状況を確認するとともに、現地の事業活動がある程度落ち着いた時期を待ち、福田らが現地を視察しました。
今回の地震では洋館家住宅には大きな被害が発生しなかったことをここにご報告するとともに、熊本市内で事業展開している熊本建設・糸田社長のお話をご紹介いたします。
熊本地震被害の象徴となった
熊本城天守閣と石垣 ▶
株式会社 洋館家本店グループ
統括代表 福田 功
価値に対して「安い」ことを伝えよう
去る4月14日夜と4月16日未明に熊本地方において最大震度7の地震が発生し、また、14日以降、その後3カ月を経ても震度1から6強まで連続して発生しています。
日本国内の震度7の観測事例としては、阪神淡路大震災(1995年)、新潟中越地震(2004年)、そして東日本大震災(2011年)だけです。これだけ大きな揺れが短い期間に連続して発生したわけですから、住宅に与えた影響は深刻で、住宅被害は10万棟に及ぶとみられています。
地震大国である日本では、住宅の耐震対策は必須と言えます。建築基準法に基づく現行の耐震基準は、1981年(昭和56年)に導入されましたが、今回の地震で住宅の耐震性についての関心は再び大きく高まりました。人はとかく忘れっぽく、「のど元過ぎれば」の感もあって、耐震の必要性を感じていても、それにコストがかかるとなると消極的になるといったこともみられます。良い住宅を提供したいという我々が、施主との間で苦労するのもこのあたりにあります。
また、耐震性は実際に大地震が起きなければ証明できないという問題もあります。耐震偽装などが発覚するのは、稀なことです。自社の住宅商品が耐震性に優れていることを、何をもって証明するかは悩ましい問題でした。
全国セミナーでは「今年度の具体的な取り組み」をいくつ
か掲げましたが、その中の1項目が「耐震・温熱・劣化・維持管理等での性能評価の活用」です。
良質な住宅を可能な限り低価格で供給したいと考えている洋館家グループでは、自社の商品が「耐震性に優れている」ことを証明し、だからこそ「(価値に対して)安い」という
ことをお客様にご理解いただくために、耐震・温熱・劣化・
維持管理等での性能評価を取得し、今年の全国セミナーでは「耐震・温熱・劣化・維持管理等での性能評価の活用」を
「今年度の具体的な取り組み」の1つとして掲げました。
耐震の性能評価の周知を
ところで、熊本地震では多くの住宅が倒壊しましたが、今
回の地震の特徴は、大きな余震の後にさらに大きな本震が来たことと、その後も繰り返し何度も揺れが発生していることです。このことが建物のダメージを大きくしています。
建築関係の者であればだれでも知っている新耐震基準は、1981年に導入されました。この基準では、震度5強の地震ではほとんど損傷せず、震度6強から7に達する地震では損傷しても倒壊や崩壊はしないというものです。1995年の阪神淡路大震災でも、2011年の東日本大震災でも、新基準導入以降の建物の被害は、それ以前のものに比べてずいぶん少なかったと報告されています。ところが今回は、新基準の建物でも被害が出ているようです。
耐震基準を満たしても損傷や倒壊がなぜ生じるのかについては、今後の調査の結果を待たねばなりませんが、耐震だけでなく免震や制震など被害軽減の対策も同時に考慮していく必要があります。
一方で、地震により強い家を作ろうとすればコストがかか
ります。高品質な住宅を低コストで供給しようとするとき、この耐震を含めた住宅の品質をどのように確保し、さらに高めていくかが大きな問題となります。
今回の熊本地震では、熊本市内で15棟の洋館家戸建住宅を建設している施工店・熊本建設さんの物件をはじめ、全ての物件で特段の問題が生じていないことを確認しました。現地の皆さんは大きな地震と繰り返される余震の中で、その後も不自由な生活が続いていますが、当社の建物が施主様や入居者様にご不便やご迷惑をかけなかったことに関してだけは、一安心しているところです。
耐震性を高めようとすればコストが上がり、販売価格を抑
えれば利益が減ります。それでも経営を成り立たせるために
は、数を売らねばなりません。グループの販売力を強化し、1棟でも多く建築・販売していくことは、より良い商品をより安く提供し続けるために不可欠なことだということを改めて申し上げたいと思います。
また、地震大国・日本では、耐震性は住まい造りにおいて
最も大切なことであり、洋館家商品は耐震の「性能評価」を
取得していることを(耐震構造については別途基準あり)、
販売活動では常にお客様にお伝えいただくよう施工店の皆
様にお願いします。
▲ 被害が大きかった益城町の中心部。古い住宅はもちろん、比較的新しい住宅で も倒壊したものもある。
洋館家本店は住宅性能表示制度4項目で最高等級を取得しています
本部では洋館家商品のお客様に
「性能評価」をお知らせする資料も用意しています
熊本市民は地震に無防備だった
被害を忘れないためにも
耐震を訴える
今回の地震で大きな被害を受けた熊本市内で、洋館家戸建賃貸住宅を
展開する糸田健次代表取締役にお話を伺いました。
熊本建設株式会社
代表取締役 糸田 健次 氏
ーー貴社の地震の被害・影響はいかがでしたか。
糸田 本社はこの通り、壁にひび割れができるなどの被
害が出ています。修理も、お客様宅が先ということで、
本社ビルは後回しです。ただ洋館家の戸建賃貸モデル
の15 棟については、ほとんど被害がありませんでした。
壁やクロスのひびは3棟、報告がありましたが修繕可能。
基礎部分はまったく無傷です。
ーー洋館家モデルの耐震性が証明されましたね。
▲ 水前寺公園近くの戸建賃貸住宅。地震では“無傷”。
水前寺公園では本震直後に池の水が枯れた。
糸田 そうですね。当社ではさらに、鉄骨のスパンをより密にするなど、耐震の「性能評価」を先取りしていました。このことは今後の営業でも強調していきたいと思っています。熊本市民は地震についてはまったく無防備でした。市長もそれを認めています。「日本で一番安全なところ」だと思っていたのです。今回の件で、地震など災害に強い住まいの重要性をみな強く感じたと思い
ます。今回の大きな被害を忘れないためにも、住宅の耐震性の大切さを今後も伝えていきたいと思います。また、私自身は、耐震だけでなく、制震、免震という観点からも、住宅建設について考えていきたと思っています。
(糸田代表取締役への取材内容は次号「YCY News」の施
工店インタビューに掲載する予定です)