洋館家本店グループ代表 福田 功
10数年前、私たちは低価格で高品質な戸建賃貸住宅を規格化により実現しようとしました。そのための前提は、資材を可能な限り安く、安定して仕入れること。現在、洋館家本店グループは各メーカーのご理解により、各種資材を安く仕入れることが可能となっています。これはメーカーとの信頼関係によって成立している取引であり、信頼の前提は、グループ全体が受注を伸ばし続け、メーカーの期待に応え続けることにあります。
今から10数年前、戸建賃貸住宅の将来性に着眼した私たちは、入居者の満足を得られる良質な住宅を、オーナーの理解が得られる利回りで実現するためにどうすべきかを考えました。若い入居者を想定し家賃を7万5,000円程度に設定し、その家賃と利回りから算出した戸建賃貸住宅の建築コストは800万円。この価格で家を建てるにはどうすべきかを様々な角度から考えました。
広告宣伝費や過度な利益などを徹底して削いだ上での建築の原価構成は、現場で働く職人さんの手間賃と現場で使う材料費が大半です。まず、メーカーをまわり資材価格の交渉を行うことにしました。どうせならトップ企業からと、最初にパナソニックさんにお願いしに伺いました。
しかしいただいた回答は、「問屋を紹介する。そこなら2ポイントぐらい下がる」といったものでした。それでは私たちが想定している価格にはほど遠い。そこからの交渉により導き出された条件の一つが、1,000棟分の発注でした。私はその条件を2つ返事で承諾し、パナソニックさんとの取引が始まりました。
パナソニックさんに口座を開いてもらいましたが、当時の私たちに1,000棟を建てる実力はありませんでした。栃木県内の同業でも、そのような会社はありません。無謀な約束ではありましたが、1,000棟を1年ではなく、3年間で達成するということで了承してもらい、戸建賃貸住宅の建設を一気に行ったのです。そして、それを達成したことでパナソニックさんからの信頼を得ることができ、現在に至っています。
パナソニックさんが口座を開いてくれているということで、他のメーカーさんも門戸を開いてくれました。また各社様に、価格面でも最大限の協力をしていただいています。これも同様に、私たちが毎年受注を伸ばし、その結果としてメーカーへの発注を増やし続けているからにほかなりません。発注こそが、私たちの理念を理解し協力していただいているメーカーへの感謝の証なのです。
もちろん数を発注するだけがメーカーの信頼を得ることではありません。施工面等での合理化を進め、また発注にあたってもメーカー担当者の手間を可能な限り省く=コストダウンすることも同時に行っています。もともと規格住宅はメーカーの現場確認や仕様確認等が不要です。決まった商品を決まった数、安定的に発注することが、メーカー担当者にとって大きなメリットとなり、それが信頼につながるのです。
各国のコロナ禍収束による回復需要、ウクライナ侵攻、円安等々により、昨今、資材供給が不安定になったり価格高騰が生じるなど、仕入れ面での不安要素が少なくありません。本部では今後もメーカーとの信頼関係を強固なものとし、施工店の皆様への安定供給に努めてまいります。そのためにも、施工店、販売店の皆様には、洋館家本店の住宅商品のさらなる拡販をお願いします。
将来的には国内産を50%に
ウッドショックやロシアに対する経済制裁、さらに円安も加わり、木材価格が高騰しています。輸入材の上昇傾向は今後も続くと考えられます。
日本の建築業界は長く安い輸入材に頼っていました。そのことが国内の林業の衰退に拍車をかけた感は否めません。日本国内には木材が豊富にあります。しかしそれを切り出し、輸送する人や仕組みが、需要に応えるものになっていません。国も補助金等での支援で産業育成をはかろうとしていますが、難しい問題も山積しています。
それでも輸入材依存を減らし、国産材を活用することは日本の将来のためにも必要なことです。洋館家本店では将来的には国内産を50%にしていくことを目標に、供給元とも具体的に交渉に入っています。