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子育て世代に向けた住宅商品を提供する

本当に必要なハードとソフトを追求

 

洋館家本店グループ代表  福田 功

 
洋館家本店グループ代表
洋館家本店グループ代表 福田功

戸建賃貸住宅を供給する洋館家本店グループでは、顧客である賃貸住宅供給者=地主・投資家層へのPRを徹底して行ってきました。その結果、需要が高く供給が少ない戸建賃貸住宅への投資の優位性は広く浸透しています。次は、私たちが供給する住宅が、入居者にとっていかに快適なものであるかを知ってもらうことです。本部では現在、主要入居者層である子育て世代のニーズの把握とそれに応える商品開発、そして効果的にブランド浸透策の検討を進めています。

 


戸建賃貸の目的は
子育て世代支援だった

信念を持ち戸建賃貸を供給

 

 3月にまん延防止等重点措置が解除されたものの、新型コロナウイルス感染症に対する警戒は依然緩めることができない状況が続いています。またそのような中でロシアによるウクライナ侵攻という事態が生じるなど、世界経済の先行きも不透明感が増しています。

  こうした中で、日本国内でも原材料や燃料の高騰が始まっています。あらゆる産業において経営の舵取りは一層厳しくなりますが、事業に対する信念を持ち、かつ顧客ニーズをしっかりとつかむことこそが、困難を乗り切る鍵だと考えます。

 私たち洋館家本店グループが事業を進めるにあたって信念としてきたことは、高品質で低価格な住宅を供給するということです。日本の住宅は高すぎる。これをなんとかしなければ日本人の幸せはないのではないか、そんな思いを強く持ち検討を重ねた上での一つの結論が、戸建賃貸住宅の供給でした。

 

持家政策=住宅ローンは破綻した!?

 

 かつては、地方から東京に出てきた若者が寮や風呂なしアパートに住み、結婚しアパートを移り、子供ができて少し広めのアパートやマンション、一戸建ての借家に移り、そして住宅ローンを組んで一戸建てやマンションを買う、という「住宅すごろく」を多くの人が選択しました。しかし、住宅ローンというのは、高度成長期のモデルです。物価が値上がりし借金残高が相対的に減額され、しかも、今日より明日、確実に給料が上がるという時代であれば成立します。

 しかし現代はそうではありません。給料は上がるかどうかわからない。下がるかもしれない。しかも借金は長期間確実になくならない……それが住宅ローン。もう住宅ローンという制度は破綻したと言っても過言ではないのです。

 無理なローンを組んで、ローンのために働くというのはおかしい。若い夫婦は家など買わなくて良い、賃貸で良いではないかというのが私たちの主張です。

 

投資家と入居者のニーズを同時実現

 

 こうした考えに行きついたものの、若い夫婦のニーズを満たす賃貸住宅は極めて少ないという現状があります。

 賃貸住宅を提供する家主の側には、建てれば入居者が入るという高度経済成長時代の賃貸住宅経営からまだまだ脱せずにいる人が少なくありません。経営側として投資と回収の計算上で率が良いと考えられる集合賃貸住宅の多くは、「住宅すごろく」の途中過程で「我慢して住む」域を出ていないままです。

 すでに10年以上前から集合賃貸住宅の供給過剰が語られるようになり、老朽化や安普請・低品質の住宅はもちろんのこと、入居者ニーズに応えていないアパート・マンションの空室が日に日に増えるようになっています。建物そのものだけでなく、立地面、設備面で入居者の満足を得られない賃貸住宅は見向きもされなくなったのです。

 こうした中で、差別化をはかれる賃貸住宅は戸建賃貸です。戸建賃貸住宅は、若い夫婦が求める住宅なのです。

 

戸建賃貸は子育て住宅


 戸建賃貸住宅は、何よりも子育て世帯に向いた住まいです。

 多くの子育て世代の最大の関心事は子供のことです。子供と過ごす時間をなるべく持ち、生活コストにおいても教育などに可能な限り投じたいと考えています。住宅ローンの負担が大きく教育にお金を出せないとか、返済のために仕事に追われ子供との時間が取れないといった状況は、本来はあってはならないことしです。

 また、発達期の子供を伸び伸びと育てるためには、集住宅の多くは不向きです。
 戸建賃貸住宅はこうした問題を解決します。子供の成長に合わせ、気兼ねなく伸び伸びと育てられる住環境となりますし、賃貸であれば通学を重視した転居決断も容易です。

 住宅を提供する側からも、多くの子育て世代入居者は10数年以上入居しますから、空室募集のコストが不要となります。

 以上を賃貸住宅を考える投資家に伝えると、多くは迷わずに集合賃貸をやめ、戸建賃貸の建設を選びます。戸建賃貸住宅の提供者は、住まいの供給だけでなく子育てのサポーターでもあるのです。


「集合住宅での子育ての困り事」の第1位は「音の問題」だとされている。

 

 

子育て世代のニーズに応えた
住宅のハード・ソフトを

 

子育て世代の声を直接収集する


 洋館家本店グループが開発・提供する戸建賃貸住宅商品は、地主・投資家に広く浸透してきました。同時に、この高品質・低価格商品を持家購入層に提供していきたいという施工店・販売店も多くなっています。本部ではこうした声に応えるべく、ターゲットである若い夫婦層へのPR活動も強化していくこととしました。

 賃貸で生活シーンに応じた住み替えをしていくべきだ、という考え方を変えたわけではありません。しかし、根強くある持家ニーズや建替えニーズに応えるためには、洋館家商品の良さをより広く知らしめると同時に、購入層のニーズに応えた商品開発と販促活動が必要だと判断しています。

 情報収集活動にあたっては、これまで我々が戸建賃貸の建て主ある50代60代の富裕層を中心に見ていて、住宅購入の若年層、20代30代の情報には弱かったという点を素直に認めたところから始めています。その一環として、本誌今号でインタビューを掲載している子育て情報誌「ママトコドモト」の編集メンバーや読者から、子育て世代の声を直接収集する機会も持つようにしています。

 

「住まいの中で子育てに関わる困りごと」としては、「収納スペースが足りない」や「親の不在時の訪問者」といったことのほかに、「料理をしている時に目が届かない」という声。設計・設備で改善できるものも少なくない。

 

子育て世代の「情報」


 こうした世代に対しての告知、販促活動やブランディングをしていくためにはどうするか。まだ取り組みを始めたばかりですが、現在の子育て世代はやはり暮らしは子供中心であることがわかり、情報収集の多くを紙ベースではなくデジタルで収集していることなどを知ることができました。

 子育てをしているママさんたちは、衣食住の情報を交換するママ友をつくる機会を探しているなどといったことも情報として得ることができています。また、若いですから経済的に余裕がある人は少ない。したがってコストについてはシビアです。

 また働くママさんもどんどん増えていますから、働くことと子育てとの両立についての情報も求めています。悩みや愚痴を言い合えるママ友探し、といったことでしょうか。私たちはとかく家での過ごし方だけで住まいを考えがちです。しかし、住む人は家の外と内とを行き来するわけですから、働くこと、家の外との関わり方という視点での住まいへのニーズも重要な情報です。

 

日本の女性の就業率は30歳代で下がるM字カーブ。多くの女性が、仕事か子育てかで悩んでいる。

 

子育て世代に向けたプロモーション


 こうした層に向けたプロモーションとして、例えば展示会のスタンプラリーや景品としてディズニーランド・チケットはどうか、などなど様々な企画を検討中です。これらを試行する中で成功事例が生まれれば、全国の会員にも共有したいと思っています。

 住宅を供給する我々が子育てをどのようにサポートできるか。一つは、住宅コストを下げ、その分を教育など子供のための費用にまわせるようにすることであると思います。

 また本来業務である建物や設備については、子育てを考慮した間取りや設備を設計・開発、供給していくことでしょう。そしてさらに、ハードだけでなくソフト面でもサポートするモノ・コトを研究開発していくことも、住宅提供者の役割の一つではないかと考えています。

 本部では空間デザインにより「集中力を増す部屋」、「ストレスを減少させる寝室」、「健康志向を目指すリビング」の実現を目指しています。これが実現すれば、「集中力が増し成績が上がる勉強部屋」、「子育てと勤めとのストレスを緩和する寝室」、「家族が健康になるリビング」も具体化します。

 

子育て世代が理想とする住いのイメージ。室内で子供が飛び跳ねても隣室や階下への気兼ねがない。また2階建て戸建の場合は、階上階下の間取りにより大人と子供の空間を分ける工夫も。

 

リピーターや潜在顧客の育成


 子育て世代は当然、ある期間が過ぎれば「卒業」していきます。少子化問題が深刻化していますが、子育て世代がなくなることはありません。この層は、毎年生まれてきます。同時に、「卒業」していった層は、子供たちが独立した後のセカンドライフに進みます。

 子育て世代に向けたプロモーションは、単にその世代だけに向けた販促活動ではありません。子育て世代時代に私たちの商品を購入したり住んだりした人が、リピーターとしてセカンドライフや終の住いとして私たちの商品を購入したり賃貸したりすることは十分考えられます。

 あるいは、子育て時代には購入や入居には至らなかったけれど、私たちの商品や事業の考え方を理解してくれて、ライフステージが代わった際には洋館家商品を選ぼうと思ってくださる、そんな潜在顧客になっていただければ販促活動は成功です。

 本部は今年の方針として「ヒトの管理」(CRM)を打ち出しましたが、今進めている子育て世代に向けたプロモーションもその一環であり、リピーターや潜在顧客の育成も大きな目的であるともご理解ください。


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連載①「当社はなぜ戸建賃貸に取り組んだか(1)」より
賃貸に住む子育てファミリーのトラブル


 今から13年前※のことです。当社が管理しているアパートの1階に入居している新婚さんの奥さんが、脳腫瘍の手術をしました。術後は自宅で安静にしていなければなりません。でも、その部屋の上、2階には3歳の子供さんがいる家族で、幼稚園にはまだ行っていない子供がいつもバタバタ走り回っていました。

 アパートは木造で、どうしても階上の音がします。術後の奥さんも、2階の音は子供の走る音だとわかっていたのですが、どうにも我慢できず、当社の担当者に、上の方に静かにするよう申し入れてほしいと言ってきました。当社の担当が2階に言いに行くと、2階のご夫婦は、奥さんと御主人ともに平謝り。でも、子供のやることなので、叱られれば少しはおとなしくなりますが、完全に静かにさせることはなかなか難しい。ご夫婦も弱ってしまいました。

 オーナーさんにもご報告しましたが、オーナーさんからすれば2階のご夫婦も1階の新婚さんもどちらも大事な入居者です。どちらもちゃんと家賃を払っています。1日たりとも遅れずに払ってくれ、しかも人柄も良い優良入居者です。なんとか2組とも長く住んでもらうように解決してくれと、当社の担当者はオーナーさん言われて帰ってきました。

 解決といわれても……困った担当者はあれこれ考えて、まず、そのオーナーさんが持っている別の物件で、2階が空いている部屋に新婚さんに移っていただくことにしました。そして、次も同様のトラブルが生じないように、子供のいる家族に、空いた1階に移ってもらいました。

 たまたまそのオーナーさんが複数の物件を持っていて、しかもたまたま2階が空いたから解決できたわけです。しかし、こんなラッキーなことはめったにありません。賃貸に住む子育てファミリーが近隣とトラブルにならないためにどうすべきか……あれこれ考えて行きついたのが、戸建賃貸だったのです。

 

※2015年6月1日

 

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こどもみらい住宅支援事業」がスタート
子育て世代への販促活動のツール。事業者登録を

 

「省エネ性能を有する住宅」を新築、または購入した子育て世帯や若者夫婦世帯に、省エネ性能に応じて60万円から100万円、また現在の住宅を省エネ改修(リフォーム)した世帯には、工事内容などに応じて5万円から最大60万円を補助する「こどもみらい住宅支援事業」(国土交通省)が始まりました。既に取り組んでいる会員もいるかと思いますが、以下に概要を整理しました。

 

 

活用には、
まず事業者自身が「参加登録」を


対象となる「子育て世代」「若者夫婦世帯」とは

 

この事業は、人口が減少するなかでの子育てを支援するとともに、「2050年カーボンニュートラル」(2020年10月宣言)に向けた取り組みの一つとして、令和3年度補正予算(542億円)で設けられました。
ここで言う「子育て世帯」とは、申請時点で2003年4月2日以降生まれの子を持つ世帯、「若者夫婦世帯」とは、申請時点で夫婦であり、いずれかが1981年4月2日以降生まれである世帯を言います。
次代を担う子育て世代や若者夫婦世帯が、省エネ性能を有する住宅を取得(新築・購入)しやすいよう、補助金を交付して負担を軽減するとともに、省エネ性能を有する住宅ストックを増やしていくことに大きな狙いがおかれています。

 

対象は「ZEH住宅」など、リフォームは8工事等


「省エネ性能を有する住宅」として対象になる注文住宅と分譲住宅は、「2050年カーボンニュートラル」に貢献する住宅です。「ZEH住宅」(「ゼロエネ相当」は除外)、「高い省エネ性能等を有する住宅」(認定長期優良住宅/認定低炭素住宅/性能向上計画認定住宅)、それに「一定の省エネ性能を有する住宅」(断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級4の性能を有する住宅)―の3住宅です。
一方、「リフォーム」は8工事等が対象となりますが、①開口部の断熱、②外壁と屋根・天井または床の断熱改修、③エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム・節水型トイレ・高断熱浴槽・高効率給湯機・節湯水栓)のいずれかは必須となります。

 

補助金の申請手続きは事業者が代行


申請手続きは工事施工者や販売事業者が代行し、一般消費者には事業者から補助金を還元する仕組みになっています。
補助金交付の対象者は、①注文住宅の新築は建設主、②新築分譲住宅は購入者、③リフォームは工事発注者です。そして交付申請はいずれも、この事業に登録した「こどもみらい住宅事業者」が代行します。
「こどもみらい住宅事業者」となれるのは、注文住宅なら工事請負契約を交わした建築事業者、新築分譲住宅購入なら不動産売買契約を交わした販売事業者(宅地建物取引業者、販売代理を含む)、リフォームなら工事請負契約を交わした施工業者で、かつ登録された事業者です。
省エネ性能を有する住宅を新築する、販売する事業者、あるいはリフォームを手がける事業者は、この制度の利用を一般消費者に広く呼びかける一方で、自らが交付申請を代行できるよう「こどもみらい住宅事業者」に登録する必要があります。

 

子育て世帯支援は政府の重要政策。住宅産業にとっても主要なテーマとなっている。

 

登録

「こどもみらい住宅事業者登録用・
統括アカウント発行依頼」
https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/entry/

 

対象期間…2022年10月末まで
(執行状況による)


完了報告は戸建・来年5月末まで


適用対象となる「契約期間」は、2021年11月26日から遅くとも2022年10月31日まで(予算の執行状況による)です。「工事着工」は事業者登録を終えて以降となりますが、「交付申請」は3月下旬から10月31日まで(予約は遅くとも9月30日まで<予算の執行状況による>)となります。
また、「完了報告」は交付決定から戸建住宅なら2023年5月31日、共同住宅等(階数が10以下)なら2024年2月15日、同(階数が11以上)なら2024年12月31日までが期限となります。

 

省エネ住宅は60万~100万円の補助


補助金の交付額は、各住宅の現状価格を踏まえて、「ZEH住宅」が100万円、「高い省エネ性能等を有する住宅」が80万円、「一定の省エネ性能を有する住宅」は60万円に設定されています。
リフォームの場合は、工事内容などにより1戸あたり5万円から30万円まで(全体の補助額が合計5万円以上になる場合が対象)。ただし、子育て世帯や若者夫婦世帯が自らの居住住宅に行う場合や、工事発注者が自ら居住するために購入した既存住宅に行う場合は、1戸あたりの上限額が最大60万円までと、よりメリットが得られるようになっています。


こどもみらい住宅事業者」サイト内の消費者向け案内リーフレット。ダウンロード可能

 

 

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