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ひとり暮らし世帯増・健康志向に対応
2030年を見据えた住宅新商品開発

洋館家本店グループ代表  福田 功

 

令和3年4月に発出された緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置は、去る9月30日をもって全都道府県で解除されました。解除後も引き続き、感染拡大の防止の必要性が叫ばれる中、住宅産業はどうなるのか、洋館家グループはどのような方向を目指すのか、現時点での考えをお伝えします。

 

コロナ後の
住宅市場は
どうなるか

コロナ禍からの脱却は
不透明

洋館家本店グループ代表
洋館家本店グループ代表 福田功

 緊急事態宣言は解除されたものの、コロナ禍の収束はいつになるのかまだまだ不透明です。世界規模での感染拡大により、経済活動も世界規模で大きな影響を受けました。各国政府は金融政策や財政出動などで経済対策を行い、アメリカは約190億ドル(約200兆円)、日本も76.8兆円を投入しています。

 こうした政策により日本を含め各国経済は、感染の収束とともに比較的早く回復するものとみられます。ただし、日本だけを見ても、この対策は税金の投入ですから、将来、それを回収する際にどのような反動があるか、それは懸念事項の一つでしょう。

 

ウッドショックは
当面続く!?

 

 2020年度の新設住宅着工戸数は81.2万戸(貸家30.3万戸、分譲住宅23.9万戸、持家26.3万戸)で前年度比マイナス8.1%と2年度連続の大幅な減少となりました。これは19年10月の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減の影響に加え、コロナ禍での景気の大幅悪化を受けて、新設住宅着工に下押し圧力がかかったからとされています。2021年度についてはプラスに転じるものと予想されていますが、景気動向以上に住宅産業を苦しめているのは、木材の高騰=ウッドショックです。

 ウッドショックについては前号でも述べましたが、アメリカの住宅着工鎮静化に伴い、徐々に正常化するものと期待されています。しかし、木材に引きずられて上昇した各種原材料も含め、当分は高止まりの様相です。

住宅の市場は
新築から中古へ

 

 コロナ禍の収束如何にかかわらず、日本の住宅着工件数は今後確実に減少していきます。減少スピードは都市部と地方とで差はあるものの、新設住宅着工戸数は2030年には54万戸となり、その後さらに減少すると予想されています。人口の減少、とりわけ生産人口の減少が要因です。

 このような中で、住宅の市場も新築優位の市場から中古優位の市場へとソフトランディングするだろうと予測できます。その根拠はいくつか挙げられますが、まとめれば、社会環境の変化で、日本人の住まいに対する考え方も大きく変わっていき、住宅は新築よりも中古を求めた方が合理的だと考える層が増えるからです。

洋館家
グループは
どこをめざすのか

単独世帯を想定した
住まいづくりが必要

 私たち住宅供給事業者が、住宅着工件数の減少以上に着眼しなければならないのは、少子高齢化や世帯構造の変化にあります。

 人口減少とともに、総世帯数も2015年の5,060万世帯をピークに減少に転じています。そして、世帯内人員も減少しています。現状でも総世帯の3割が単独世帯、つまり「ひとりぼっち」世帯です。そこには老人独居世帯が社会問題化して久しいですが、その予備軍である若年から中年の単独世帯は、未婚化によってそのまま老人独居となり、また夫婦のみ世帯も同様の流れとなります。

 単独世帯を想定した利便性、住み心地を実現した住宅へのニーズは、ますます高まっていきます。本部では高齢の夫婦や一人暮らしの住み替えとして、平屋住宅商品を市場に提供し、さらに昨年、若いファミリーをターゲットとした新商品を発表し好評を博しています。

 次の商品は、「ひとりぼっち」世帯の利便性、住み心地を実現した規格住宅を準備しています。

特許システムによる
商品差別化

 コロナ禍が収束した後の社会は「元に戻ること」と「元に戻らないこと」の両方が生じると言われています。それが具体的に何なのかはなかなか断定できませんが、「元に戻らないこと」の一つは、衛生志向だと考えられます。マスク着用の必要がなくなっても、極端な密は回避され、換気の悪い施設は敬遠されるでしょう。従来からの健康志向に加えて、さまざまな面で衛生面への配慮が求められます。住宅についても同様だと考えられます。

  こうした中で、本部ではこのほど、新しい給排気システムの特許を取得しました。このシステムを標準装備することで商品の差別化を図るとともに、既存住宅への後付け設置による会員のリフォーム事業も支援します。

科学、医学、
そして医療と住宅の融合へ

 給排気システムはこれからの健康志向に対応したアイテムの一つにすぎません。また、前述した「ひとりぼっち」世帯の利便性、住み心地も、建物だけで実現するのは一部にすぎません。

 本誌でもすでに何度かお知らせしているように、本部では「医学と科学を導入した建物」を開発中です。空間デザインをすることで「集中力を増す部屋」、「ストレスを減少させる部屋」、「健康志向を目指すリビング」が、夢でなく現実のものとなります。

 また、健康で快適な暮らしを実現するためには、医学だけでなく医療との連携も必要です。コロナ禍において私たちは多くのことを学び、また多くのことを改めて考えさせられました。その一つが、暮らしと医療のことです。住宅供給事業者の立場で、医療とどのように連携・融合できるか。それを形にすることも、洋館家本店グループが将来に向けて実現しようとしているビジネスなのです。

超抗菌性能を発揮する銅イオン
給排気システムで特許取得

洋館家本店では、銅の優れた抗菌性を利用した給排気システムの特許を取得しました(特許第6943396号)。今後、製品化を進め、洋館家商品に標準装備していきます。

銅の優れた特徴を活用

 「銅壺(ドウコ)の水は腐らない」「水たまりに銅片を入れるとボウフラが湧かない」という話があるように、銅には昔から抗菌作用があると言われています。実際に銅イオンはさまざまな菌に超抗菌性能を発揮し、大腸菌の50%は、銅イオンが40ppb(0.04ppm)に達すると生存できなくなると言われ、チフス菌、コレラ菌でも報告されています。現在猛威を振るう新型コロナウイルスへの効果も期待されています。
 加えて銅は、耐食性、加工性、リサイクル性などに優れた特徴がたくさんあります。この銅を利用することで室内環境の抗菌作用を健全化できるのではないかとの発想から、今回の特許出願と製品化に至りました。

第三種換気システムに
銅を搭載

 換気計画を含めた新築計画でしっかり換気することが、健康志向に応えたよりよい住まいづくりにつながる大きな要素の一つです。
 住宅の24時間換気システムには3種類ありますが、その中でも本部が推奨しているのが「第三種換気システム」です。自然に給気し、機械で排気をするシステムで、建物のリビングや寝室などの居室に給気口を設置し、換気扇で排気します。換気のシステムがシンプルなため設置費用も安く、メンテナンスは比較的容易です。
 この換気システムの給気口を利用し、銅金属をカセット型に成型し取り付けることによりマイナス銅イオンを室内に取り込むというのが、今回製品化した洋館家本店だけが提供できる特許システムです。
 製品の概要と提供方法は、今後順次、本部からお知らせしていきます。



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