巻頭 TOP MESSAGE
子育て世代をターゲットにした
高品質な戸建賃貸住宅を普及させよう
洋館家本店グループ代表 福田 功
私たち住宅産業ビジネスの目的は何か。それは単に、住宅という「箱」を提供し利益を得るということではないはずです。住宅産業は、人々の豊かで快適な暮らしを実現するビジネスの一つでありたいと考えます。人々が求める豊かさや快適さは多様です。可能であるならば、より多くの人の求めるところ、その「幸せ」を実現するビジネスを展開していきたいと考えます。
子育て世代が求める「幸せ」
『RA投資マニュアル』(福田功・黒木貞彦 著)より
暮らしや住まいに求める快適さ、思いや願いは人によって異なり、またその人のライフステージによっても違います。
例えば子育て期間中の親たちにとっては、子供が元気に育つことが「幸せ」です。「子供が健康に育つ住宅」、さらには「子供が勉強ができるようになる住宅」が、科学的に証明された状態で市場に提供されれば、これはヒット商品間違いなしです。現状では「頭が良くなると科学的に証明された勉強部屋」は実現していませんが、託児所付きの賃貸住宅があるのですから、学習塾を併設した集合住宅や家庭教師常駐の住宅団地があってもおかしくないでしょう。こういったことは、住宅販売の「箱」ではない部分での付加価値となります。
仕事と遊びに便利な立地を求める独身時代、広さや環境を大切にしたい子育て期間とで、優先することが異なります。子供の成長や教育に良い住宅の環境は異なります。多くの親たちは、子供のことを優先しますから、通勤の不便さを我慢したりします。でも、子供が巣立った後では、買い物や病院通いなどに便利で、住まいもあまり広すぎない方が楽だと感じます。本来は、求めることに応じて住み替えていくことが、「幸せ」を実現する住み方のはずですが、日本の社会では住まいを買い替えることのハードルが高く、住み替えるためには賃貸を選択するしかないのが現状です。
戸建賃貸を展開していく私たちは、多くの人々のそれぞれのライフステージのその時その時の目的に応じた多様な住まいを提供することで需要を開拓していくことができます。また、目的に応じた多様な住まいを建てられるノウハウを持てば、賃貸住宅だけでなく、当然、新築住宅の市場での競争力も獲得できます。さらに、ライフステージが変化した持ち家の人のリフォームを引き受けることもできます。
「健康になる住宅」が実現可能なように、「子供が勉強ができるようになる住宅」も実現できるはずです。多くの人々のそれぞれのライフステージに応じて、その時の目的の達成=「幸せを実現する家づくり」ができるようになるために、日々、情報の収集と技術開発に努めていきたいと考えています。
ニーズに応じた立地選択
「子供が勉強ができるようになる住宅」の実現はまだまだ先だとしても、「勉強に良い環境」=「立地」は、賃貸住宅にとっては現実的に選択可能なこととなります。
「借りるマイホーム」は、住宅ローンという無駄をなくし、子供の教育や家族レジャーなど、子育て世代にとって必要なもの、大切なことにお金をかけることができる人生を実現します。とくに教育への投資は、親にとっても社会にとっても大切なことです。
いわゆる「お受験」が、教育への投資であるかどうかは、議論が分かれるところでしょう。しかし、子を良い環境の学校に通わせたいと願わない親はほとんどいないと思います。良い環境とは、偏差値が高いということだけではなく、学校の教育方針、教師、そして集まる生徒や親の様子といったことが、親にとって「安心できる」ものであってほしいということになります。
望む環境の学校に入学させたいということから、小・中学校から私立に通わせたり、公立校に越境入学させるという例は昔からありました。しかしながら、最初に学校のことを考慮せずマイホームを定めてしまった場合、都心の私立や越境入学は、経済的な負担をより大きくします。格差社会が進行する中、そのようなことが可能な世帯も減っていると考えられます。だからこそ、負担の大きい住宅ローンとは決別し、今の生活で最も便利な場所に住むという、賃貸住宅の暮らしがこれからの住まいニーズになると私たちは考えています。子供の教育のために教育環境が良い場所に住み、子供の成長とともに新たに環境の良い場所に住み替えるという選択は、賃貸住宅でしかできません。
翻って、賃貸住宅を経営する側から考えると、教育に良い環境の街であれば、子育て世代のニーズが高く、空室の心配がないとも言えます。さらに子育て世代は入居期間が長いという貸す側のメリットがあります。
賃貸住宅経営の成功のカギは立地です。需要が多く供給が少ない戸建の賃貸住宅でも、やはり立地が悪ければ入居者は決まりません。立地は、入居者層によって良さの基準が違います。仕事場への通勤やオフタイムを重視する若い独身者であれば、都心部が立地の良い場所となり、高齢者であれば病院や買い物をするスーパーマーケットなどが徒歩圏内であることが、立地の良さとなります。
子育て世代にとっての立地の良さは、望んでいる環境の学校への通学が便利な場所となります。駐車場が確保されていれば、商業施設や病院は必ずしも徒歩圏内である必要はありません。可能であれば庭付で、それが難しければ付近に公園などがあり、子供をのびのび育てられる環境があればベストです。立地の中には「同年代の子供や親たちが多い」ということも考慮されます。
このように、子育て世代を応援する戸建賃貸住宅の供給は、新しい街づくり、次世代を担う子供の豊かな人間形成にも貢献する仕事でもあるのです。
入居者獲得の決め手を伝えよう
洋館家本店グループ代表 福田功
以上述べたように、私たちが推進する「借りるマイホーム」=戸建賃貸住宅の主な入居ターゲットが子育て世代です。このことを施主にしっかり理解していただくことが受注につながります。
賃貸住宅経営を考えている人の中には、空室が増加する中で新たに賃貸住宅へ投資することを躊躇する人も少なくありません。こうした人は、すでにアパート経営を行っている人や熱心に賃貸経営を勉強している人に多いようです。しかしそういう人こそが私たちがビジネスのパートナーとして共に歩める施主であると言えるでしょう。
ハウスメーカーの営業マンの中には、賃貸経営の未経験者や情報が少ない人を狙って、ただアパートを建てれば儲かるといったことを伝え「建てさせる」例が少なくありません。私たちグループはこうした営業とは一線を画し、施主も私たちも双方が利益を得られるビジネスを目指しています。だからこそ、私たちの伝えることを、冷静に正しく理解してくれる施主にアプローチしていきたいのです。
繰り返しになりますが、戸建賃貸住宅の入居ターゲット・子育て世代のニーズでは最優先に「子供」です。「良い環境で育てたい」「のびのび育てたい」ということに尽きます。「良い環境」とは、前述したように教育評価の高い学校の通学圏であること、青少年にとって健全な街であることといったこととなります。これは立地の問題ですが、「のびのび育てたい」は建物の問題です。「音」の問題や庭など「空間」のことは、集合住宅では得ることができません。部屋で、共用部で、走り出す子供を都度叱っていなければならない場所では、とても「のびのび」育てることはできません。施主が活用とする土地が、子育て世代のニーズの「環境」面をクリアしていれば、戸建賃貸住宅を自信を持ってお勧めしましょう。
賃貸住宅経営は入居者がいなければ成立しません。入居者のイメージを明確にし、エリアにおける需要と供給を事前にしっかりと把握した上で建設しなければなりません。需要が多く供給が少ない高品質な戸建賃貸住宅は、空室増大時代でも十分通用する収益物件となります。入居期間が長く、かつ入居者自ら建物を管理することから管理コストの軽減がはかれることも、子育て世代をターゲットとした戸建住宅による賃貸住宅経営の大きなメリットです。このことをしっかりと施主層にアピールしていきましょう。
住宅産業の子育ての支援
子育て世代を応援する企業に
新型コロナウィルスの感染拡大防止により3月のはじめから小・中学校、高校の一斉休校が行われました。政府のこの措置に対する評価は別として、働く親、ことさら働く母親に、大きな混乱と負担を招くことになりました。
現在、学童以下の子供を持ち、そして外に勤める仕事を持っている女性は決して少なくありません。厚生労働省の調査によれば、2019年現在で、専業主婦世帯が575万世帯に対して、共働き世帯は1,245万世帯となっています。同じ調査の1980年の数値が、専業主婦世帯が1,114万世帯、共働き世帯が614万世帯であったことをみると大きな変化です。逆転現象は1992年に起こり、2000年まではほぼ拮抗しましたが、その後は共働き世帯が大きく増加しています。
この背景には、女性の社会進出が進んだということもあり、そのことは歓迎すべきです。しかし、そのような社会的なプラス面だけでなく、平成時代からの格差社会の進行が、夫の収入だけに頼る専業主婦世帯を成り立たなくさせていることも一方の事実です。多くの主婦が、経済的な事情により外に働きに出ざるを得ないという現実も、抑えておく必要があります。
さらに現在、日本には123万を超える「シングルマザー」の世帯があります。これも厚生労働省の調査ですが、その半数が、相対的貧困、すなわち経済的困窮の中にいると指摘されています。
これら働く女性をめぐる困難は、個々人の努力や理解だけでは解決しません。社会全体としての理解と支援のしくみが必要なことは言うまでもありません。
社会の一員である企業も、当然この問題に無縁ではありません。私たち洋館家本店も、多くの女性社員を戦力として活用している中で、共働き世帯の支援についても可能な限り対応したいと考え、現在進めている「働き方改革」の諸施策とともに検討しています。また、勤務形態を変えた形での女性スタッフの戦力化も検討中です。例えば、小さな子供を抱えたシングルマザーが、本業あるいは副業として取り組める仕事を開発することも、企業の社会貢献ではないかと考えるからです。
もともと私たちが提供する戸建賃貸住宅は、子育て世代を応援する住まいです。集合住宅に比べて戸建住宅は、小さな子供が発する音の問題でのストレスが少ないという大きなメリットがあります。そして「借りるマイホーム」は、住宅ローンという無駄をなくし、子供の教育や家族レジャーなど、子育て世代にとって必要なもの、大切なことにお金をかけることができる人生を実現します。
私たちが進める戸建賃貸=借りるマイホームの取り組みは、このような社会的意義があるのだということを、会員である販売店、施工店の皆様と共有していきたいと願っています。
母子世帯と父子世帯の状況 出典:平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要
|
母子世帯 |
父子世帯 |
1. 世帯数[推計値] |
123.2万世帯
(123.8万世帯) |
18.7万世帯
(22.3万世帯) |
2. ひとり親世帯になった理由 |
離婚 79.5% (80.8%)
死別 8.0% ( 7.5%) |
離婚 75.6% (74.3%)
死別 19.0% (16.8%) |
3. 就業状況 |
|
81.8% (80.6%) |
85.4% (91.3%) |
就業者のうち 正規の職員・従業員 |
44.2% (39.4%) |
68.2% (67.2%) |
うち 自営業 |
3.4% (2.6%) |
18.2% (15.6%) |
うち パート・アルバイト等 |
43.8% (47.4%) |
6.4% (8.0%) |
4. 平均年間収入
[母又は父自身の収入] |
243万円 (223万円) |
420万円 (380万円) |
5. 平均年間就労収入
[母又は父自身の就労収入] |
200万円 (181万円) |
398万円 (360万円) |
6. 平均年間収入
[同居親族を含む世帯全員の収入] |
348万円 (291万円) |
573万円 (455万円) |
※( )内の値は、前回(平成23年度)調査結果を表している。
※「平均年間収入」及び「平均年間就労収入」は、平成27年の1年間の収入。
※ 集計結果の構成割合については、原則として、「不詳」となる回答(無記入や誤記入等)がある場合は、分母となる総数に不詳数を含めて算出した値(比率)を表している。
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