ブレインインタビュー 03
新しい時代を切り拓く住宅ビジネス
「住まいのサブスク」を実現しよう

人物写真合同会社S-KAI 代表社員
服部 陽男

合同会社S-KAI(スカイ)
愛知県名古屋市昭和区川名町1-14-1


<事業内容>
・建築の企画、設計、監理やそれらに関するコンサルタント業務
・建築材料の企画、開発、デザイン、製造、販売
・企業の技術、販売、製造企画等の業務提携、斡旋および仲介
・暮らしに関するセミナー・講座の企画 等

社名はS(サービス)-K(ここだけの)A(アイデア)I(私からあなたに発信)の意。

 全国各地の建設業者
不動産業者とのネットワーク

ーー服部さんは全国にたくさんの人脈をお持ちですが、もともとはどのようなお仕事をされていたのですか。

服部 プレカットの企業に長く勤めました。プレカットの将来性に着眼した大手商社とともに、住宅資材、さらには住宅の規格化というところで商品開発や販路開拓をしました。そのような中で全国のさまざまな業界の方と出会い、ネットワークができたわけです。会社員生活を卒業後、お付き合いがあった企業のいくつかと住宅や暮らしに関するさまざまな企画開発、提案を行っています。私自身は、魅力あるモノへの嗅覚は多少はあると思っているので(笑)、そういった情報を顧問先、取引先に提供し、お手伝いができればと思っています。

 

 

ーー洋館家本店グループではどのような役割、仕事をされていますか。

服部  規格住宅というのは私の専門分野です。そして、福田社長が長年提唱している戸建賃貸住宅の供給は、私も大いに賛同していることです。その考えを私の全国の仲間に伝え、賛同者を増やしていくことが目下の仕事です。これまでの「YCY News」に登場された施工店さんや販売店さんの中には、私がご紹介した会社が何社もあります。皆さん熱心に、住宅産業の新しい形としての「戸建賃貸住宅ビジネス」に取り組んでいらっしゃって、すばらしいです。
そしてその上で、洋館家さんの商品やサービスにどのような付加価値をつけていくべきか、それを考え、情報を提供することも私の仕事です。例えば、イオリーナ・銅イオンを利用した換気システムなどは、これから「来る」と踏んでいますので、福田社長とともにどうやって世の中に広めるかを検討し、進めているところです。



銅が持つ抗菌作用を利用した喚気システム

 


戸建賃貸の価値を
高めるのは洋館家会員次第

ーー規格住宅で価値や必要性を感じてもらうにはどのような取り組みが必要ですか。

服部 これからの住宅産業の一つのあり方を示していると考えているからです。あらゆるもので「作れば売れる」という時代は終わりました。今の若い人は景気の良い時代を知りませんし、これからも収入の伸びは期待できないという人が大半です。ある程度の歳になったらクルマを買い、家を建てる…などということはできない時代になっています。
所得が伸びなければ買うものは取捨選択し、モノを見る目はシビアになります。いいクルマに乗るとか家を建てるといった、大きなお金が掛かる、外からの見栄えには興味がなくなり、一方でオタク的な趣味の世界や自分の関心があるモノ、対外ではなく内向的なモノにはお金を遣うといった形になります。
モノを供給してきた側はどうすべきか。まずはそのモノの価値に気づいてもらわねばなりません。その価値、魅力、必要性に気づけばお金を遣うわけですから、まずは手軽に「経験」してもらえる機会を作る必要があります。トヨタなどクルマ=自動車業界ではもう始めていますね。サブスクリプションでクルマを持つことのハードルを下げ、楽しさ、便利さを知ってもらう機会を作っています。購入やレンタカー以外の手段を作っているわけです。
これを住宅に置き換えて考えることができるのが戸建賃貸なのです。いくら安い家を作ったところで、家を購入することに興味や必要性を感じない人々には売れない。だからまず、戸建マイホームの自由さや快適さを経験してもらう必要がある。それが戸建賃貸なのです。
賃貸で入って、必要ならいくつかの借り換えも経験し、その上で興味や必要性を感じれば購入する……という流れができます。初めから戸建住宅を購入するという選択ではなく、ハードルを下げ、借りるという選択が持家へのステップともなるのです。戸建に価値を見出せば、自身の暮らし、趣味、家族に合った家が欲しくなります。
私は、従来型の「賃貸」というよりも「住宅のサブスク」という考え方で広めていくべきだと考えています。またそのビジネスに参加することで、住宅産業を新しい形へと進めていけるのだと思っています。だからこそ、全国の前向きな経営者の皆さんには、戸建賃貸ビジネスへの参入を呼びかけているのです。

 


戸建賃貸ビジネスは
今後の住宅産業の形の一つ

ーー旧知の建設会社や不動産会社に戸建賃貸ビジネスを推奨する一番の理由は何ですか。

服部 まず「安かろう、悪かろう」ではダメだということは言うまでもありません。集合賃貸ではなく戸建を選んだということの価値を高めなければなりませんから、住宅商品も個性、差別化が必要です。しかしそれを個々に作っていてはコストがかかりますから、パターン化した規格住宅のバリエーションで対応するのです。そしてどのプランを用意するのかが、施工店、販売店の力ということになります。
全国それぞれの地域には住まいや暮らしの地域性があり、また入居者ターゲットに応じた間取りや設備もあります。バリエーションの中から最適なプランを選び、あるいは一部カスタマイズする。実際、規格住宅を追加工事により変更している例はたくさんあります。要は、規格をアレンジしていかに魅力を出すか、そしてそれをまたバリエーションに加えるということです。
地域に合った戸建住宅群ができる……それは地域をデザインすることでもあります。地域の建設会社や不動産会社がそこに関わっていくことは、地域の施主層、入居者層への貢献につながります。そして住宅というモノへの、人々の新しい関心を高めることにもつながるのです。その取り組みを洋館家の全国の会員、施工店、販売店の皆さんと進められたらと思っています。


「健康」はこれからの住宅に必要なキーワード

ーーイオリーナ・銅イオンはどのようなところから着眼されたのですか。

服部 研究者とたまたま知り合い、「健康」というのはこれからの住宅に必要なキーワードだと感じました。実際、コロナ流行によって、住宅・居住空間の空気環境に注目が集まりました。コロナ禍は「安全な水と空気は当たり前」と考えていた日本人の転換点になるのではないかと思います。


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  全国をまわり地域に合ったコンサル活動

ーーコンサルとしても全国を飛び回っていらっしゃいますが、どのような指導をされていますか。

服部 業界全体でいえることですが、ウッドショックや世界情勢などにより建築費は高値安定といった状態になっています。そのようなこともあって、これまで以上に資材調達や施工などでのアドバイスを求められることが増えています。
日本の現状からはますます住宅購入が難しいという層、必要性を感じないという層は増えますね。前述したように、住宅への関心を持ってもらう取り組み、住宅の新しい提供の仕方などを、戸建賃貸だけに限定せず提案しています。
定期借地に関するセミナーで接点ができ、洋館家グループのメンバーになった方もいらっしゃいます。土地の問題は地域によって違います。人口減少が進む地域もありますし、なんとか踏ん張っている地域もあります。そういった地域の地主さんたちに最適な提案をしていくことが、建築・不動産事業のビジネスになっています。売るのか、定借にするのか、その判断はどのようにすべきか、相談にのる中で戸建賃貸ビジネスというものも出てくるわけです。
建築や不動産は地域密着のビジネス。地域のことを知った上での最適な提案が、価値ある仕事になります。そのためにも、全国のさまざまな事業者に積極的にお会いするようにして、よそ者から見た地域の良さをお伝えしています。

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