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高齢化“超”先進国日本  

戸建賃貸も高齢者が主な借り手に
4人に1人が65歳以上になった日本

  50年後には日本人の半分近くが高齢者に

 日本の人口は2007年をピークに減っています。少子化で子供の数も減り、高齢者の数だけが増えています。
 最新の人口推計によると、総人口は1億2,692万人。65歳以上は3,461万人で、4人に1人強が高齢者です。今後も高齢者の割合がどんどん増えていき、2060年には2.5人に1人が高齢者という状態になると予測されています。
 特に高齢者だけの世帯が増えていて、1983年から2013年までの30年間でみると、高齢単身世帯は5.6倍、高齢者のいる夫婦世帯は4.0倍、高齢者のいるその他の世帯(2世帯住宅など)は1.5倍となり、高齢単身世帯が最も増加しています。

■ どんどん高齢者の比率が上がっていく

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  高齢者は単身になると家を売って賃貸に移る

 増加中の高齢者が住んでいる家は、夫婦揃っているときには持ち家の比率が高く、9割近い数字です。しかし高齢者の単身世帯になると、6割近くまで一気に下がります。家を売って狭い家に移る人が多いからでしょう。
 高齢者の自宅志向は強く、老人ホームや介護施設が増えてはいますが、自宅に住みたがる人が多くなっています。その証拠に、生活サポートを必要とする要支援・要介護認定を受けた人が全国に566万人いるのですが、施設に入る人はわずか17%です。ほとんどの人は自宅でケアを受けたり、デイケアに通いながら自宅で住む道を選びます。



■ 高齢者の単身世帯は賃貸比率が増える

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賃貸も優しい仕様に  

単身高齢者に戸建賃貸を
賃貸でもバリアフリー、介護仕様に

  高齢になるほど戸建の比率が高くなる

 高齢者は戸建の家を好む傾向にあります。全世帯で見るとほぼ半数しかない戸建世帯が、高齢者世帯になると、7割を優に超えます。2世帯住宅などでは、その比率は9割近くまで上がります。
 高齢単身者でさえ、6割近くが戸建です。高齢単身者は賃貸比率が上がりますが、単身者向けの戸建賃貸は少ないので、たとえば平屋の戸建賃貸などという選択肢を用意することはニーズにも合致し、自宅で落ち着きたい人たちを救うという社会的意義もありそうです。
 ただ、高齢者の死亡原因は交通事故よりも自宅内の事故であるように、高齢者に優しい住宅仕様が求められます。

■ 高齢者のいる世帯は戸建が多い

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  賃貸でも介護支援住宅は必須になる

 バリアフリーという言葉は浸透しましたが、普及率はまだまだ。 国土交通省の「平成27年住宅市場動向調査」によると、手すり、段差なし、車椅子通行可能の3点が揃った住宅は、建て替え直後の注文住宅で45.1%のところ、民間賃貸住宅は2.3%、高齢者のいる民間賃貸住宅でも7.4%と、かなりの少数派です。
 ただ、今後借り手の主役が高齢者になると、バリアフリーや介護仕様は必須になります。浴室・洗面でのヒートショック対策に浴室暖房乾燥機を付けたり、車椅子などでの通行を考えて開き戸ではなく引き戸にしたり、床材を滑りにくいものにしたり、玄関にベンチを設けるなど、仕様を見直してみましょう。


■ 高齢者のための設備はまだまだ未整備

 賃貸ビジネスNEWS

 賃貸物件でも改装で補助金や減税が出る 
  バリアフリー&介護改装のすすめ

 バリアフリーや介護仕様の意義はわかるとして、なかなか資金面で踏み切れない場合も多いでしょう。そこで、費用の一部を負担してもらえる補助金や助成金、そして減税制度をご紹介します。説明会は国も自治体も別々に開催している場合が多いので、確認が必要です。

  長期優良住宅化リフォーム推進事業

 国(国土交通省)が実施している補助金制度で、賃貸物件にも適用できます。住宅の長寿命化のための耐震、省エネ対策などに加えて、バリアフリー工事も対象となり、工事費用の1/3、最大150万円までが支給されます。補助金なので当然、規定や審査がありますので、下記サイトでご確認ください。
http://www.choki-r-shien.com/h28_tsuunen/
 国の補助金の一部は、現在は終了しましたが、空き家対策として空き室のある賃貸物件のリフォーム補助が大々的に行われています。国土交通省のサイトやリフォーム会社のサイトなどを定期的にチェックすることをお勧めします。

  自治体のバリアフリー住宅改修助成

 各都道府県や市区町村でも賃貸物件の改修への補助金制度があることも。
 たとえば東京都品川区の例を見ると、「エコ&バリアフリー住宅改修」助成事業として、手すり設置、段差解消、廊下や出入口の拡張、扉改修、浴室改修、トイレ改修などに対して、工事費用(消費税抜きの額)の10%、最大100万円までが助成されます。
 多くの自治体で実施されていますので、サイトで検索するか、住宅課などに問い合わせしてみてください。
 共用スペースのバリアフリー工事に適用される制度もあります。

  固定資産税の減免なども

 バリアフリーリフォームを促進する目的で、所得税や固定資産税の減税措置が行われることがあります。
 一定の条件を満たした場合、所得税減税ではリフォームローン減税、投資型(自己資金)減税があります。
 固定資産税も1年度分のみ1/3が軽減されます。
 耐震、高齢者との同居対応、省エネリフォームとセットだとよりお得です。



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