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『国土交通省 建築着工統計調査』 
2022(令和4)年の新設住宅着工戸数
持家減少だが859,529戸で前年比0.4%増

国土交通省が2023年1月31日に発表した12月の新設住宅着工は67,249戸で、貸家および分譲住宅は増加しましたが、持家が減少したため全体で前年同月比1.7%の減少となっています。持家は過去10年で最低水準となりましたが、その要因としては建設コストの上昇を指摘する見方が多いようです。

持家が減少し
貸家と分譲が増加

2022年(令和4年)1年間の新設住宅着工戸数は 859,529戸。前年比では0.4%増となり、2年連続の増加。しかし新設住宅着工床面積は 69,010千㎡で前年比2.3%減。昨年の増加から再びの減少となっています。概況は、令和4年の新設住宅着工は、持家は減少しましたが、貸家および分譲住宅が増加したため全体で増加。分譲住宅が持家を上回るのは2006年(平成18年)以来16年ぶりです。内訳は以下の通りです。

1.総戸数

▶ 令和4年の新設住宅着工戸数は 859,529戸。

▶ 前年比では0.4%増となり、2年連続の増加。

▶ 新設住宅着工床面積は69,010千㎡、前年比2.3 %減、昨年の増加から再びの減少。

2.利用関係別戸数

①持家

▶ 令和4年の持家は253,287戸(前年比11.3%減, 昨年の増加から再びの減少)

①持家

▶ 令和4年の貸家は345,080戸(前年比 7.4%増, 2年連続の増加)

①持家

▶ 令和4年の分譲住宅は255,487戸(前年比 4.7%増,2年連続の増加)
・マンションは 108,198戸(同6.8%増、3年ぶりの増加)
・一戸建住宅は 145,992戸(同3.5%増、2年連続の増加)

居住用床面積は減少に

また、この調査での1年間の全建築物の着工床面積は 11,947万㎡で前年比 2.3%減。居住用は 7,161万㎡で前年比 1.9%減,。昨年の増加から再びの減少となっています。これについても、建設コスト上昇の影響を見る向きもあります。

民間非居住建築物前年と比較すると工場及び倉庫は増加しましたが、事務所および店舗が減少したため、全体で減少となっています。

 

転居需要の回復が
貸家需要に?

過去10年で最低水準となった持家の減少は、依然としてコロナ感染拡大が続いたことや持家の中心である注文住宅等での建築費が増大するなどして大幅な着工減となったことが要因とみられています。一昨年来のウッドショックによる木材価格の高騰と高止まりに加え、ウクライナ戦争の影響で資材価格やエネルギー価格が大幅に上昇し、建築コストがアップしていることは周知の通りです。建設コストの上昇傾向は続くと予想されていますから、今後も持家の伸びは難しいと考えられます。

一方、貸家では大都市圏を中心に増加。首都圏、近畿圏では昨年に比べ10%近い増加となっています。これはコロナ禍で抑えられていた転勤その他の転居需要が、対策緩和により動き出したことから賃貸需要が戻り、それが現れているという見方もあるようです。また分譲住宅の増加は、建設費高騰で持家が大幅に減少する中で、性能・デザイン等でコストパフォーマンスが消費者に受けたからだろうとする推測もあります。


新設住宅着工戸数は
20年前の75%

国土交通省の「建築着工統計調査」による新設住宅着工戸数を20年間という少し長いスパンで着工戸数の推移を見ると、大きな落ち込みを見せるのは、2007年、2009年、2014年、2020年となります。その時期には、それぞれ建築基準法改正、リーマンショック、消費増税、新型コロナ大流行といった社会的背景もありました。

しかしながら、長期トレンドとして着工戸数は低下傾向にあり、2002年に115万を超えていた着工戸数が20年後の2020年には約86万にまで減少しています。20年前に対して25%減ということになります。

床面積の合計も
長期にわたり減少傾向

着工戸数同様、床面積の合計も減少傾向にあります。2002年の数値を100とすると、2006年までは床面積の合計は上昇していました。しかし2007年には下降に転じ、以来、おおむね下降基調となっています。2022年には戸数については74.7、床面積合計については65.9と、20年前に比べてかなり縮小していることがわります。

日本の住宅は、悪名高き「うさぎ小屋」へと向かうのでしょうか。

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