特集

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株式会社クラッソーネ
『第2回 空き家に関する意識調査』 
空き家所有者が望む、空き家活用法とは?

 近年増加の一途をたどる「空き家」。深刻な社会問題として対応が急がれる中、国や地方自治体、民間企業あげての取り組みにより、新しい活用例も続々と登場しています。こういった状況の中、実際に空き家を所有する人は、どのような意識を持っているのでしょうか?(株)クラッソーネ(解体工事の一括見積もりWebサービス)の調査をもとに、その実態を探ります。

空き家取得の2大理由は
「相続」「住み替え」

 調査は、空き家を所有する30歳以上の男女1,053名を対象に実施されています。最初に、空き家を取得した経緯について聞いたところ、トップは「相続(36.1%)」でした。以下「新築した・建て替え(24.8%)」「新築物件を購入(20.4%)」「中古住宅を購入(12.8%)」と続きますが、これらは「住み替えをしても、以前住んでいた住まいをまだ保有している」という経緯に一括りすることができ、合計すると58%で6割近くを占めています。

 

 この結果から「相続」と「住み替え」が、空き家を所有するに至った2大理由になっていることがわかります。

 

 

 

団塊世代から
団塊Jr.へ相続されている傾向

 空き家になった理由についての質問では、空き家を取得した経緯と同様の傾向が見られました。トップは「居住者が死亡した/相続したから(31.1%)」で、「居住者が施設入居や入院しているから(6.3%)」を合わせると、相続が4割近くを占めています。次に多いのは「別の住宅への転居(22.6%)」でした。

 

 現在、持ち家率の高い団塊世代が「後期高齢者」にさしかかってくる時期であり、居住者の死亡や施設入居、入院などにより「団塊ジュニア」が空き家を所有するケースが増加していると推測できます。


 

「自身で利用」が
「収入を得たい」を上回る

 希望する空き家の活用方法では、「自分や家族が居住したい(37.2%)」「別荘・セカンドハウスとして利用したい(36.2%)」「貸したい(35.6%)」「売却したい(34.8%)」の順位となり、わずかではありますが「空き家を自身で利用したい」という意向が「空き家を活用して収入を得たい」という意向を上回っています。

 

 この結果には、コロナ禍の影響も考えられます。空き家を利用して都会と地方の2拠点生活に取り組む人や、田舎暮らしを体験する人など、新たなライフスタイルや価値観の実現のために活用する人が増えているようです。

 


 

愛着があり
手放したくない所有者も多い

 空き家を活用したい理由のトップ3は「現金化したいから/家賃収入にしたいから(37.4%)」「愛着があり手放したくないから(35.2%)」「将来その空き家に住みたいから(33.5%)」となりました。

 

 昨今、空き家所有リスクや利活用に関する報道が増えており、生活者の空き家に対する知識や注目度が上がっています。また、コロナ禍でライフスタイルや価値観は一変しました。こういった背景から、売却や賃貸といった意向を見直し、愛着のある空き家を自身で利活用したいと考える所有者が増えているのかもしれません。

 

 

※引用データ: アットホーム株式会社|新築一戸建て購入後30年以上住んでいる人に聞く「一戸建て修繕の実態」調査

賃貸ビジネスNEWS

今どきの空き家 活用事例3選

 

続々と登場する
新しい取り組みをご紹介

 

 いまだ国内の空き家数・空き家率は増え続けていますが、コロナ禍によるライフスタイルや価値観の変化も作用し、新しい空き家ビジネスやアイデア、活用事例が続々と登場しています。中でも最近注目を集めている活用例をご紹介します。

 

空き家を活用した「住まいのサブスク」

 「ADDress」(運営:株式会社アドレス)は、全国の空き家を活用した、月額4.4万円で多拠点生活ができる住まいのサブスク。アクセスの良い都市近郊や、自然や歴史が豊かな地方210ヶ所以上に、リノベーションを施した「ADDressの家」を展開しています。
 初期費用・光熱費すべて込みで、生活や仕事に必要なWi-Fi・家具家電などを完備。空き家問題の解決をめざしつつ、新しいライフスタイルを提案しているそうです。

※ADDress

入居者がリフォーム!
DIY型賃貸借

 国土交通省では空き家対策として「DIY可賃貸借」の普及を進めています。2016年にはガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」を発行。コロナ禍でのDIYブームの中、さらに注目を集めるようになりました。
 内装のDIYを許可している賃貸物件であれば、契約時の取り決め内のDIYが可能。ガイドブックには、契約手順や取り決め事項のポイントの解説に加え、契約書の書式例も添付されています。

※国土交通省

 

クラウドファンディングで空き家を再生

 (株)エンジョイワークスが手がける「ハロー!RENOVATION」は、空き家や遊休不動産の活用を目指した、まちづくり参加型のクラウドファンディングサービス。個人での利活用ではなく、不特定多数の賛同者から資金を集め、プロジェクトとして実現を目指します。
 古民家や空き家を、宿泊施設・アトリエ・地域交流拠点・研修所など利活用できるかたちにリノベーション。企業や行政と連携した取り組みも実施しているようです。

※ハロー!RENOVATION

YCY News

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