今後の戸建賃貸ビジネスを考えるためのDATA

　アットホームの賃貸情報サイトに下の9都市県で公開された、居住用賃貸マンションの家賃（賃料＋管理費の合計）の前年度比較を、戸建賃貸と競合しそうな大型ファミリー向けマンション（70㎡超）で見てみます。
　コロナ禍による不景気や、テレワークの普及で都心から地方への移住が増えているなどのニュースをよく目にしますが、コロナ前の前年11月より概ね家賃は上昇しています。特に神奈川県が東京23区の3倍近く伸びている数値を見ると、郊外の人気が高まっていることがわかります。

　ファミリー向けのアパート（延床面積50～70㎡）の家賃は微増か横ばいといった印象です。この傾向はファミリー向けのマンション（面積・同）も同じで、東京23区はどちらも＋3.9％となっています。ただ、東京23区は5か月連続で2015年1月以降の最高値を更新していて、広い部屋を求めるファミリーが多いことがうかがえます。
　カップル向け（30～50㎡）やシングル向け（30㎡以下）のアパートは名古屋市や福岡市といった地方の中心都市の家賃アップ率が高いことが目立ちます。

　次に、家賃のアップダウン率ではなく、平均家賃額を見ます。大型ファミリー向けマンションは、都市圏の家賃額が高くなっています。特に東京23区は平均で34万円を超える額です。ファミリー向け（50～70㎡）でも60㎡あたりのマンションが多く、平均家賃は19万円。70㎡を超えると途端に高くなることがわかります。
　名古屋や大阪、福岡といった都市圏は同じ傾向です。神奈川県なども横浜市に絞ればより平均家賃額は上がるでしょう。この調査にはありませんが、京都なども中心部の家賃額が高くなっています。

　最後に、コロナの影響が広がりつつあった2020年3月以降で、70㎡を超えるマンションの平均家賃額の推移を見ていきます。コロナの影響で家賃は下がると言われていましたが、数字を見ると多くの都市で3月時点より11月時点のほうが上がっています。特に東京23区、名古屋市、福岡市といった中心部は底堅く、感染者が減った夏などは大きく上がっているところが多くなっています。
　これは70㎡～の物件で顕著で、広さが賃貸物件にとって今まで以上に大きな価値を持つことがわかります。このことは、戸建賃貸の優位性につながりそうです。