参考 ホスピスと終末医療|株式会社洋館家の情報サイト

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参考 ホスピスと終末医療
ホスピスと終末医療について考えてみましょう

ホスピスとは

 ホスピスというと、「治療目的じゃない病院みたいな施設」というイメージを持つ人がいますが、ちょっと誤解があるようです。

 ホスピスとは、医療行為の1つと考えることができます。具体的には、病気を治すことや延命を目的とする治療ではなく、患者の痛みや症状を緩和することを目的とする治療を施すことです。対象となる患者さんは、終末期の方々です。そのような患者さんなので、通院するよりは入院する場合がほとんどなので、医療体制の整った施設を指すこともあります。

 つまり一言で言えば、ホスピスとは終末期の患者さんをいたわることです。
 広義では、対象とする方を広げて、病気の人や肉体的又は精神的に疲れ果てた人を保護する、あるいは保護する施設を指すこともあります。また患者だけでなく、患者とその家族を対象とする場合もあります。

歴史的背景

 現代的なホスピス施設が誕生したのは1967年のことで、イギリス・ロンドン郊外のセント・クリストファーズ・ホスピス(St. Christopher's Hospice)といわれています。創設者は、シシリー・ソンダース(Dame Cicely Mary Strode Saunders)。彼女は看護師でしたが、より強く患者に向き合うために医師になりました。

 日本では、1981年に聖隷ホスピスが開設したのが最初と言われています。

ホスピスでの治療

 ホスピスでの治療は、緩和ケアやターミナルケア(終末期医療)と呼ばれます。ケア(care)の意味は世話、配慮、気配り、手入れです。つまり病気の原因を取り除くような治療は行いません。代わりに、患者さんが穏やかに過ごしてもらうためにさまざまなことを行います。

 痛みを和らげるために、薬を飲む、あるいは注射をするなどは、医療行為としてイメージしやすいですが、これ以外にも、散歩したいが一人では難しい場合に、付き添ったり、車椅子を使ったりすることもありますし、患者さんが好きな飲食物を提供することも緩和ケアの一つなのです。だから、「ホスピスでは治療をせずに、ゆったりと過ごすところ」というような誤解を生むのかもしれません。

メモ:ホスピスでは行わない治療とは

 ホスピスでの医療行為は一般的なイメージの治療とは異なります。では、一般的な治療とは何なのでしょうか。一度整理しておいたほうが、ホスピスで行う治療とはどのようなものなのかをより理解しやすいでしょう。一般的な治療をざっくりとまとめてみました。

 1つには疾病の根治です。例えば、ガンであればがん細胞を外科手術によって除去すること、放射線治療によってガン細胞を壊すこと、などです。

 2つには延命治療です。例えば、人工呼吸器などの生命維持装置を付けること、点滴や慰労により人工栄養を与えることなどです。

全国のホスピス施設数

 厚労省の認可を受けた緩和ケア病棟は全国に、387施設・8052床あります(2022年9月1日現在、日本ホスピス緩和ケア協会ホームページより)。

 ただし、2020年にがんで亡くなられた人は378,385人(国立がん研究センターホームページより)という数字から、希望すればすぐに入院できるに十分な施設数というわけではなさそうです。  緩和ケア病棟の所在を具体的に調べたい場合は、日本ホスピス緩和ケア協会ホームページで検索することができます。

費用の目安

 厚労省の認可を受けた緩和ケア病棟であれば、健康保険が適用されます。

 東京都福祉保健局によれば、入院料は全国一律で、入院期間により異なりますが、1日あたり33,000~50,510円で、この入院料には健康保険が適用されるので、自己負担分は、もっと安くなります。また、高額療養費制度*01も適用されるので、自己負担分も一定額を超えた場合は返金されます。

 ただし、入院時には、上記の医療費のほか、健康保険適用外の費用というものが、なぜか発生するので、実際には、上記以上の入院費が請求されます。

*01 高額療養費制度を利用するには、医療保険者に申請する必要があります。

民間の医療保険に入っている場合

 医療保険についている入院給付金などが支払われる場合があります。支払い条件は、それぞれの医療保険の約款に明記されているので、そちらを参照してください。

緩和ケア病棟

 緩和ケア病棟とは、緩和ケアを行う病棟、つまり入院施設のことです。この施設を厚労省が認可すると健康保険および高額療養費制度の対象となります。逆に言えば、無認可の緩和ケア病棟も存在するわけで、「やっとホスピスに入れた」と安心していると、実は無認可で、高額な入院費を請求されたということになりかねません。

ホスピスへの入院条件

 このように、ホスピスは終末期の患者さんを迎え入れる施設なので、誰でも入れるわけではありません。当然ベッドが開いていなければ入れません。どのような条件を満たせば入院できるかは、それぞれのホスピスの事情によるので、個別に問い合わせてください。  一般的には、次のような条件があるようです。

在宅ホスピスとは

 入院しなくても、自宅でホスピスつまり緩和ケアを受けることができます。それが在宅ホスピスで、入院する場合に比べて、次のようなメリットがあります。

プライバシーが確保される

 病院の病室には当たり前のことですが、カギがありません。したがって個室であっても、看護師などは不必要に入ることはありませんが、いつでも入ってこられるようになっています。在宅ホスピスは自宅なので、ケア担当者が突然訪ねてくることはほとんどないですし、会いたくなければ、ドアを開かなければいいだけなので、プライバーの確保は万全です。

家族と一緒に暮らせる

 ホスピスに入院した場合は、面会時間は決まっているので、家族と一緒にいられる時間は制限されます。在宅ホスピスの場合は、それまでと全く同じで家族とはいつも一緒の暮らしを続けられます。

それまでと全く同じように毎日を過ごせる

 ホスピスに入院すると、当たり前のことですが、そこでの生活ルールを守らなければいけません。例えば、入浴や食事、喫煙飲酒などのルールです。

 もちろん、デメリットもあります。担当者が訪問して緩和ケアを行うので、決まった日時でしか受けられません。それ以外のときは家族がケアすることになります。

 なお、在宅ホスピスは、どこのホスピスでも対応しているわけではありません。その代わり、ホスピス施設を持たない病院が対応している場合もあります。また介護サービス会社が対応している場合もあります。

在宅ホスピスケアを受ける場合の費用

 在宅であっても入院であっても、「医療行為」であれば健康保険の対象です。また入院の場合と同じように民間の医療保険も対象になるかもしれません。入院の場合同様にそれぞれの医療保険の約款を確認してください。

 また、在宅ホスピスケアは介護ととらえられる場合があり、この場合は介護保険の対象になる場合があります。この場合も、どのような在宅ホスピスケアを受けるか、介護保険の対象になるならないは、個別の状況によって変わりますので、事前にしっかりと確認してください。

関連団体紹介

 以下にホスピスに関係する団体を紹介します。

特定非営利活動法人 日本ホスピス緩和ケア協会

 「多くの生命を脅かす疾患に直面する患者とその家族のQOLを向上させるために、広く保健・医療・福祉関係者に呼びかけて、 ホスピス緩和ケアの質の向上及び啓発、普及を目的とした」団体です。
※日本ホスピス緩和ケア協会設立趣旨書から一部引用

公益財団法人 日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団

 「ホスピス・緩和ケアの質的向上のための調査・研究、従事する医師、看護師、薬剤師、コメディカル、ソーシャルワーカーなどのスタッフへの技術的支援、またホスピス・緩和ケアに関する広報活動や国際交流などを通してわが国のホスピス・緩和ケアの充実に寄与することを主たる目的」とする団体です。
※日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団設立趣旨書から一部引用

特定非営利活動法人 ホスピスケア研究会

 「がん患者と家族ががんを持ちながらも社会の中でよりよく生きることができる社会の実現に寄与することを目指」す団体です。 ※ホスピスケア研究会設立趣旨書から一部引用

日本ホスピス・在宅ケア研究会

 「1992年に発足した、終末期の医療とケア・在宅福祉サービスと看護・医療の問題を医療従事者・社会福祉従事者・市民・患者のみなさんが、同じ場で対等の立場で話し合い、そして互いに学ぶ」団体です。
※日本ホスピス・在宅ケア研究会ホームページから一部引用

日本在宅ホスピス協会

 在宅ホスピスケアのネットワークづくり、在宅ホスピスケアを志すスタッフの育成、一般の人々を対象にした広報・教育活動、在宅ホスピスケアの研究活動、機関紙の発行、その他 海外研修活動など本会の目的にそった活動を行う団体です。 ※日本在宅ホスピス協会ホームページから一部引用

参考サイト等