メーカーインタビュー 001

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賃貸住宅にも
一般住宅同様のものが
求められる


パナソニックエコソリューションズ
AWE株式会社
代表取締役専務  柴田広宣 氏
 

 一軒の住宅を建てるためには、建材や住宅設備機器などさまざまなパーツが必要となります。洋館家の家づくりでは、それらを一つ一つについて吟味し、高品質なパーツをより低コストで調達すべく、国内有力メーカー各社にご協力を要請しています。
 今回は高品質・低価格住宅を支えるメーカーのトップの方、現場担当者の方それぞれにお話を伺いました。トップバッターは、パナソニックグループの賃貸住宅部門への供給を担う、パナソニックエコソリューションズAWE・柴田広宣専務に登場していただきます。



  企業の総合力で商品提供と施工支援を行う

アラヴーノV

ーー洋館家に供給している商材は?

柴田 ユニットバス、キッチン、洗面という、いわゆる水回り3点セットがメインです。当社はメーカーであると同時に商社機能も有していますので、ニーズに合わせ、パナソニック以外の他社商品もご提供することができます。
 賃貸・集合住宅向けというと、とかく商品グレードが落ちるのではないかという印象を持たれがちですが、洋館家様の場合は戸建賃貸ですから、長期の入居者の使用に適うもの、一般住宅の中級以上のものを納めています。せっかく持ち家感覚の戸建に入るのに、安いものではガッカリされてしまいますから、満足いただけるものを提供しています。
 また、施工面でのご支援もさせていただいています。ユニットバスは水漏れ事故が起きると責任問題が生じます。ですから当社では、施工は認定制にしています。施工業者は万一に備えて水漏れ保険にも入っています。洋館家様での施工は、こうした当社指定の業者がメーカー施工という形で行います。
 施工品質を維持し高めていくために、パナソニックグループとして技術系の研修制度もあります。京都の田辺にて2泊3日で実際に施工をしながら、お届けするものに対する考え方と技術の両方を施工店様にマスターしていただき、認定証を発行します。その後は現地での施工に立ち会って確認し、見直し箇所があれば指導するという体制ですので、自社での施工を進めたいとお考えの場合はぜひ活用していただきたいと思います。

  グループのノウハウ投入でニーズに応える

ーー戸建賃貸住宅の市場をどうご覧になっていますか。

柴田 パナソニックグループの中で、当社は賃貸・集合住宅市場を担当していますが、戸建賃貸というのは、一般住宅の市場ともラップしていますので、両方の視点で考えていかなければなりません。一般住宅向けの商品を賃貸住宅に要求される規格化・低コスト化で提供していくことはなかなか大変です。
 賃貸住宅については空室の問題などが深刻化していますが、賃貸全体がこれから沈んでいくとは考えていません。良い部屋は満室になるわけですから、集合賃貸住宅も戸建賃貸もますます増えていくでしょう。多様化の時代で、所有するのではなく住み替えていくという発想もどんどん広がるでしょう。
 いわゆるDINKSは便利な都会で暮らし、子供ができたら郊外の環境の良い場所に移ります。そこで出てくるのが音の問題。お子さんが走り回る、騒ぐのが苦情になります。その点、戸建は安心して子育てができるので、ニーズとしてはこれから全国的に増えてくると思っています。駅から近くて評判の良い文教地区に10軒くらい建てられると、入居率はかなり高いと思います。中身が充実していればなおさらです。
 当社のグループが持つ、集合賃貸住宅と一般住宅両方のノウハウを戸建賃貸に投入することで、その市場ニーズに答えたいと考えています。

  注文住宅用が賃貸でも標準化

ーー賃貸住宅の住設商品はこれからどのようになってきますか。

柴田 注文住宅で選ばれるものがだんだんと賃貸でも標準化するという流れは当然あると思います。ユニットバスでは、従来のアパートや賃貸に入っている浴槽は「1014(イチマルイチヨン)」と呼ばれるサイズですが、今の主流は「1616(イチロクイチロク)」という、戸建に入れるサイズに変わってきています。設備内容の充実という発想が出てきて、例えば女性向き、子供のいないDINKSなど、コンセプトを分けて建物を作り始めているので、それらに合わせた仕様になってくるでしょう。
 キッチンについては、首都圏のワンルームは、昔はコンパクトキッチンが多かったのですが、最近はキッチンを大きくしてほしいという要望が増えました。男性も日曜日には料理をするとか、鍋をいくつも放りこめる広さのシンクが必要という理由が挙げられます。

アラヴーノV

 そして、トイレは温水洗浄便座が標準になってきました。一般的には陶器の便器にシートを取り付けますが、少し高級なデザイナーズ賃貸では一体型です。このように、入居者の要望が高くなり、それに応えて賃貸住宅の設備も良くなっているわけですね。

システムキッチン ビルトインコンロタイプ ▶ 

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 戸建に関するソリューションはすべてできる topics

大木部長
▲ 松浦部長

パナソニックエコソリューションズ
AWE株式会社
営業推進部長  松浦宏明 氏
 

松浦 洋館家様で採用されている主力は水回りの4点……ユニットバス・キッチン・洗面・トイレですが、今後はもっといろいろな商材をご提案していきたいと考えています。パナソニックは戸建商材を開発し、3,500億円ほどの数字を上げています。床材、建具から外壁、屋根、太陽光まで、戸建に関するソリューションは全てできますから、その点もアピールしていきたいと考えています。

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  企業紹介

バスオールの伝統とパナソニックのブランド力

パナソニック エコソリューションズAWE株式会社
 パナソニックグループのシステムバス・ユニットバス・システムキッチン、洗面化粧台等水まわり機器など住宅設備機器の販売、組立・設置を事業とする企業。
 2006年に、前身のエア・ウォーター・エモト株式会社が、松下電工株式会社(現・パナソニック電工株式会社)の100%子会社である松下電工バス&ライフ株式会社(現・パナソニックエコソリューションズ住宅設備株式会社)の子会社となり、2012年1月より現社名。エア・ウォーター・エモトはともに北海道を発祥とするエア・ウォーター・リビング(ほくさん)と江本工業とが2004年に合併して発足した住設メーカーで、1963年にわが国初のFRP製屋内設置用ユニットバス「ほくさんバスオール」の製造販売を開始したことでも有名。
 パナソニックグループの住宅設備機器事業はパナソニックエコソリューションズ社が一般住宅市場を担い、同社が賃貸・集合住宅市場向けの供給を担っている。
 売上高は181億70百万円(2014年度)。
本社・東京都品川区大井1丁目28番1号(眞殿秀一社長)
WEBサイト http://panasonic.co.jp/es/pesawe/


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  製販会議で市場ニーズを製造に反映

柴田専務と松浦部長
▲ 柴田専務(左)と松浦部長(右)

--商品の地域性についてはどのようにお考えですか?

松浦 戸建賃貸はエリアの特徴が強く感じられます。東京では土地の制約で戸建賃貸はなかなか難しいようですが、愛知などでは相当ニーズがあるという感じです。そして戸建住宅では特に、地域性への配慮が必要になります。建物の設計面もそうですが、私たちの設備機器についてもそういうことがあります。
柴田 例えば、キッチンのデザイン性。大工さんが建てている家を目にすることが多い地域では木目調のキッチンが好まれたり、都会のマンションやモデルルームを見ている人は単色系や天板に石を貼ったものを希望されたりします。また、洋館家様のモデルでは奥さんも一緒にリビングで楽しみながら家事をするという設計ですが、地方ではキッチンが完全に分かれているものが好まれることもあります。
 当社では、そのような地域性の情報を設計にフィードバックできるのではと考えています。プロダクトアウトで設計者が現場を知らないケースでは市場ニーズに応えられません。当社では、製造側と販売側が意見交換をする製販会議を月1回、定例で行っています。そこではコストの問題や仕様の問題なども話し合っています。

  入居率アップのために機器の取り換えも容易に

ーー 今後、力を入れていきたい分野は?

柴田 浴槽は肌に触れる部分なので、前の住人が使ったのは嫌というケースもあり、入退去での入れ替えで入居促進をはかることがあります。家というのは、どうしても最初が一番いい状態で、そこからどんどん悪くなり、家賃もセットで下がっていきます。そこで浴槽などを替えることで、ある程度は家賃を戻せるでしょう。古くなってもそこそこの家賃で入居してもらえます。
 これは戸建賃貸も同じだと思います。ただ、戸建賃貸は一般的に入居者が長く住みますから、そう頻繁ではありません。でも、その分、良いものを入れたい。いまご提供しているものは浴槽が換えられる商品なので、いずれはお取り換えも視野に入れ、容易化するようにしています。
 当社の洋館家様を含めた賃貸住宅への供給はユニットバスがメインで年間9万台ほどと、賃貸に関しては大きなシェアを持っています。ただ、水回りは、シェアが30~40%を超えるとそれ以上に伸ばすのは不可能に近く、着工が落ちると一緒にシェアも落ちてしまいます。そうなると必要なのは、付随する商品をいかに増やしていくかなのです。ユニットバスが入っていなければ、キッチンどうですか、洗面どうですか、トイレは……ということです。これはどんなビジネスでも同じだと思います。そういう意味で当社では、パナソニックの持つ総合力を、お取引先様に大いに活用していただきたいと呼びかけているわけですが、それは必ず、洋館家グループの施工店様の住まいのご提案活動にもお役に立つものと考えています。
製品情報  http://panasonic.co.jp/es/pesawe/product.html



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