施工店インタビュー 006

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近藤氏


規格商品を扱うときも
“自社の住宅” の思いを伝える

株式会社 ヤマシタ工務店 常務執行役員
石田 幸次 氏




現社長・山下健一氏が1974年に鉄骨建築業から会社を起こし、住宅建築、土木、不動産、開発事業と、幅広く事業を展開。現在は一般住宅やアパート、マンション、店舗や工場、商業施設、スキー場、ホテル、福祉介護施設など多種多様な物件を手掛けている。また、入札による地元学校や施設関係などの建築実績も多数。年商は約40億円。営業エリアは、岐阜県全域から小牧市、一宮市、名古屋市など愛知県から東海地域。郡上市大和町の本社のほか、同八幡町の郡上本店、岐阜市に岐阜支店、名古屋市に名古屋支店・ASJ名古屋名東第一スタジオの拠点と郡上市大和町にプレカット工場を持つ。


株式会社 ヤマシタ工務店
本社/岐阜県郡上市大和町剣1760番地
電話 0575-88-2406
代表取締役 山下健一
http://www.yamasita-c.com/




岐阜県を拠点に総合建築事業者として確固とした地位を築いているヤマシタ工務店の石田常務に、同社の洋館家商品の取り扱いについて伺いました。

  自社商品の価格を安くするために

ーー洋館家との出会いは?

石田 洋館家とは平成22年からのお付き合いです。その前から、社内では自社の規格商品の開発を進めたいという声がありました。しかし、いろいろとオリジナルを取り込むと、どうしても価格が高くなってしまいます。その頃、パッケージで安く住宅をつくることに熱心な福田社長と出会い、自社商品を安価にするための、ひとつの方法として取り入れました。
 当社の社長はこれまでもいろいろなことに挑戦してきました。住まいづくりでも環境問題や健康問題など研究し、良い商品を取り入れたり開発したりしてきましたし、今も取り組んでいます。住宅の価格を下げるというのも、社長が長年追求しているテーマで、そこが洋館家の思想と合ったのだと思います。
 例えば、自社オリジナルのフリー設計でも、サッシや建具などを洋館家から入れてもらってコストを下げます。去年も、集合アパートの内装建材や住宅設備などの価格提案をいただきました。

  規格商品であっても自社の思いを伝える

ーー貴社独自の取り組みは?

家づくり
▲ ヤマシタ工務店の家づくりをボードでご紹介

石田 規格商品である洋館家の商品をそのように使わせてもらっていますが、やはり当社なりに、住宅に対する考えもあります。住宅というのは建てることが目的でなく、その家に末永く住んでもらうためだと考えますので、例えばポストのない住宅や表札を掛けるスペースがない設計ではいけません。設計の段階で表札をつける場所の設定はきちんとしておく。また、畑で穫れた野菜などを洗う場所(ガーデンパン)や、子供の靴を洗う場所(外流し)の提案、勝手口の外履きは雨に濡れない工夫をするなど、当社の住宅にはいろいろな思いを込めた設計マニュアルのシステムがあります。個人住宅として提案するときには、「家づくりに対するヤマシタ工務店の思い」を規格住宅であってもオプションとして提案し、お客様に理解していただいています。

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 こだわりの住宅も同時に展開topics

 

同社が名古屋支店に併設しているASJ名古屋名東第一スタジオは、アーキテクツ・スタジオ・ジャパンのスタジオネットワークのひとつ。同社の高い施工技術が、こだわり建築も実現させている。

石田  アーキテクツ・スタジオ・ジャパンのシステムは、簡単に言えば施主が設計士を選ぶしくみです。気鋭の設計士ぞろいで、彼らのこだわりやデザインを評価した施主が家の設計を発注します。形やデザインにこだわりがあってなかなか難しい施工となりますが、それを実現するのが我々プロというものです。このように、自分の住まいに強いにこだわりを持ち、コストをかけても良いという人には、ほかに真似ができない注文住宅を建ててさしあげる、それも当社の住宅事業のひとつの分野です。
 また、当社では「財産形成の家づくり」という提案も行っています。家というのは時間が経てば価値が下がるというのが一般的な考え方ですが、当社では「資産価値が下がらず、安心の住まいづくり」を提案しています。そしてさらに「住めば住むほどに健康を増進する住まい」を追求しています。
 当社が提案する「健康増進・免疫住宅」は、独自の部材や施工方法によりシックハウスの原因物質を分解するなど、ご家族にアレルギーやアトピーをお持ちだった方に大変好評価をいただいています。
 「住むだけで幸せになる。住むだけで健康になる」。それが、当社の住まい創りのモットーです。

個人住宅1
▲ 個人住宅1(設計事務所物件)
個人住宅2
▲ 個人住宅2(自社設計)
個人住宅3
▲ 個人住宅3(フリー設計)




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  「価格表」があるから、営業しやすい

ーー洋館家商品の営業体制は?

石田 洋館家と提携してからは、地主さんへの提案はアパート・マンションよりも、「戸建てはいかがですか?」とお勧めするようになりました。もちろん、当社にはアパート専門の部署もあり、集合アパートの営業もしていますので、お客様のニーズに応じて対応します。
 洋館家商品の゛売り″である戸建賃貸については、はじめからそれを希望してくるお客様はなかなかいません。一般住宅を建てようというときに、洋館家の戸建賃貸の仕様にしてほしいというお客様のほうが多いのが現状です。価格も提示してありますし、これまでの実績もあるので、当然ながら決断は早くなります。
 お客様が望む間取りというのは、規格でもオリジナルでもほとんど同じです。例えば3LDKなら、一階に大きなリビング、2階に3部屋などと、だいたい決まっているので、それほどこだわりのないお客様であれば、要望に合うプランが必ずあります。そうなると洋館家の商品は価格表もあるので、お客様とは外観の形や色を打ち合せするくらいで、あとは融資が通ったらやりましょう、という流れになり、決着が早いのです。郡上八幡は、高齢者が住んでいる家は純和風づくりの大きな家が多い地域です。その敷地の隣に小さめの家をつくりたいという方もあり、その場合には洋館家の建物が最適だと思います。
 営業に関しても、建築の専門的な知識に長けていなくても附属のプレゼンシートでしっかりと説明することができるのもメリットのひとつです。



  住宅事業により経営の安定をはかる

ーー 貴社の事業展開の方向は?

石田 広島県呉市に本社がある、中国木材という会社の製材工場が郡上にきて、フル稼働が始まります。国産の木材に関しては国が利用を推奨していて補助金も出るので、官公庁の建物、木造の校舎、木造の介護施設など、今後は木材を使う仕事が増えてくるはずです。その流れで、住宅関連も活発になってくれればと考えています。
 会社としては名古屋にも拠点をつくり、東海全域を営業エリアにしていこうとしています。企業としては、何億円もの設備投資を毎年やるわけではないので、大型物件だけを狙った営業はどうしても波があります。官公庁や工場関係の大型物件に比べると、戸建住宅は一棟2,000万円前後と小規模ですが、会社の経営を考えるとやはりこうした住宅の事業は重要です。住宅の新設着工ベースは全国で60万棟から80万棟で、年々減ってはいますが、それなりに需要はあります。ゼロになることはありません。そう考えると、やはり住宅建築は重要です。



【木造の大型物件建設実績も多数】

個人住宅2
▲ 中学校①
個人住宅3
▲ 中学校②

  見ていただければ品質は理解される

ーー 戸建賃貸の取り組みは?

石田 戸建賃貸の場合には、いったん入居すると5年、10年と、長く住み続けます。入れ替わりが少ないということは大きなメリットなので、地主さんにはそのメリットをお伝えしています。
 最近、以前戸建賃貸2棟を建てられたお客様が、3棟目、4棟目を計画しています。広い敷地を持っていて相続対策なのですが、その方も2棟を建てたときに、「これなら良い」ということで決断をされました。やはり現物があるとないとでは全く違うと思います。洋館家の商品は先に価格を提示できるのが良いです。お客様は「その価格で大丈夫なのか?」と思うようですが、見学会などで実物を見て安心されます。やはり実際に建っているものを見ていただけるのが強みです。
 現在、戸建賃貸を望まれるのは、相続がらみのお客様のようです。相続対策のひとつとして、土地を小さく区切って4棟の戸建てを建てているお客様もいます。
 さらに土地を売る手法のひとつとしても有効だと思っています。例えば、塩漬け状態の土地に戸建賃貸を建てて見学会を実施し、そこに賃貸で入りたいというお客様に売るのです。
 洋館家の商品は、規格といっても品質が良いので、建ててから売りに出しても売れるはずです。福田社長が言っているように一流の建材なので、一般の住宅にこの建材を使っても支障ありません。



  一般住宅の規格住宅もどんどん提供してほしい

ーー 洋館家商品の展開での苦労・工夫は?

石田 洋館家商品の全国的な統一単価で、いざ岐阜の単価の中でやるとなると、なかなか合わないことが多く、非常に苦労しました。「まずはやってみよう」ということで、基礎屋さんも大工さんも1棟、2棟くらいはついてきてくれました。しかし、特に大工さんなどには、それまで発注していた単価がありますから、あまり無理は言えません。新たに一人親方をやっている人たちに1年間で数棟やってもらうという約束で発注するなどしてコスト削減をしています。
 また、現場が拠点から遠いと、どうしても経費ばかりがかさんで、なかなか利益が出ません。そこで、場所によって現場管理費を少し調整させていただくことで本部の了解を得ました。今は、建設場所や建物の規模、戸数などによって現場管理費を調整して、お客様に見積もりを提出しています。低価格が゛売り″ですから、コスト削減にはいろいろ工夫が必要です。
 また、本部は戸建賃貸に特化するのではなく、一般住宅の規格住宅をどんどんつくってもらいたい。当社にも設計士はいますが、オリジナル商品の開発には、パンフレットを作って出すところまで含めると1年から1年半はかかります。自社で商品開発をするのは、難しくはありませんが手間がかかるので、なかなか取り組みができません。そこを補ってもらえればありがたいと思っています。



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