施工店 販売店インタビュー 022

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地元まれ100年
たな視点次代

河井林産株式会社
企画営業係長  岡 孝男 氏

岡氏

 「お客様に信頼され喜ばれてこそ会社は発展する」を経営理念に掲げる河井林産。創業103年目を迎えている同社の創業家5代目にあたる岡孝男さんに、同社の事業と規格住宅販売や戸建賃貸についての取り組みを伺いました。

会社 河井林産株式会社
 1915年(大正9年)に岡喜八郎氏が岡山県苫田郡加茂町(現在の津山市加茂町)で木材業を始め、戦後、製材業にも進出。社名の「河井」は、1950年(昭和25年)に法人化するにあたり、工場を置いた加茂町山下の駅名「美作河井駅」にちなんで2代目社長が命名した。現在の岡悠紀好社長は4代目。昭和30年代から住宅産業に進出し、現在では建築と製材、不動産や賃貸、管理などを岡山県内全域で幅広く展開している。


本社/岡山県津山市川崎112の1番地
電話/0868-23-1205
http://www.kawaihouse.net/







  地元にこだわった事業展開

ーー貴社は100年以上の歴史があり、住宅事業も50年になると伺っています。

 木材業からスタートし、製材業をはじめ、その木を使ったり木についての知識やノウハウを活かして住宅を中心とした建築業に進出したというのが会社の歴史です。付随して不動産の事業も広がっていきました。現在の会社の売上げは建築が50%、リフォームが20%、製材が15%、そして不動産が15%という感じです。不動産事業に関しては自社物件の管理が主ですが、昔から旧知の地元のオーナーさんの物件の管理も行っています。
 新築住宅は「カワイハウス」というブランドで展開しています。当社が木材業で創業したように、この周辺は昔から林業がさかんです。さらに岡山県はヒノキの生産量が全国で1位ですから、当社も地元の木材を使い「県産100%の家」をメインの商品にしています。
 建築を始めた頃から修繕などの仕事は発生していますから、その意味ではリフォームも長年やっていることになります。これからの主力事業としてさらに力を入れるため、4年ほど前に「カワイリフォーム」の事業部を立ち上げて、さらに力を入れています。津山は歴史のある町で城下町の街並保存も行われています。古い家がたくさん残されていますので、古民家のリノベーションも手掛けています。
 洋館家さんとの契約は、地元の不動産会社さんがどうしても洋館家さんの商品を売りたいので施工してくれないかと頼まれたのがきっかけです。
 地元で100年やってきましたから、地元にこだわってやっていきたいと思っています。もちろん、事業拡大も考えていかねばなりませんから、岡山市内への支店展開もしています。こちらは当社の一つのブランドであるデザイナーズ住宅『TOIRO』の拠点でもあります。


同社の考え方をまとめた小冊子


古民家再生にも取り組む



  アナログとデジタルを組み合わせた営業

--地元重視の経営で、住宅営業などはどのように展開されていますか。

 やはり地元のつながりで仕事をいただいています。既存客や地元の商工関係者からのご紹介が主です。新築や大型リフォームでは完成見学会を開くようにしていますが、そこでの成約もあります。
 地元の方々を招いた大きなイベントとしては、年に2回の感謝祭があります。そのほかにも木工教室や家づくりセミナーも開催しています。こうしたイベントへの集客は主にポスティングです。それと、3カ月に1回、広報誌を発行しています。これは私の母親が制作の総指揮をしていて、もう50号以上になります。
 これまでのつながりに加えて、最近はHPからの新規問い合わせも増えています。さらに新しい取り組みとしてはLineを活用したネットワークづくりもはじめました。興味を持った方が登録するので、効率よく情報収集ができるツールと考えています。
 紙媒体のポスティングやイベントとでの対話といった部分と、ネットやLineを組み合わせながら、より効果のある宣伝・営業を行っていきたいと思っています。


50号以上続く広報誌


木工教室の開催も



  洋館家商品に自社オプションを加える

--洋館家の商品はいかがですか。

 当社は木にこだわった建物が主力です。そのため坪単価は「中の上」ということで、洋館家の商品の購買層とは異なるかもしれません。しかし洋館家の商品は建築の素人にも売りやすい商品です。こういった商品もこれからの当社には必要だと考えています。
 以前、洋館家の商品を建てたとき、お客様からの希望でフローリングを木に替えたことがありました。洋館家の商品で床を張り替えたら、ローコスト住宅にした意味がないと思われがちですが、当社で実際に計算してみると値段はそれほど変わりません。「このくらいプラスしたらムクにできます」と提案したところ、お客様のOKが出たのです。そのお客様は「他のローコスト住宅の見学会に行ったが、アレルギー体質のため化学物質に反応したせいか、頭が痛くなってしまう家が多かった」と仰っていました。カワイハウスの見学会に来て、この会社で安くてちゃんとした家はできないかとご相談されてきたわけです。お客様の予算内で建てるために、洋館家の商品を基本に当社の仕様をオプションで取り入れた住宅にし、大変喜んでいただけました。


地元の木材にこだわる


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  異業種の視点から新しい事業提案も

ーー今後の事業展開についてはどうお考えですか。

 現在当社では、専属の大工さんが何組かいるので、常時8棟~10棟は受けられる体制です。年齢は上が70代、下は10代、社員大工もいます。大工志望での入社も年に2人くらいあり、その場合は熟練の大工さんに預けて教えてもらっています。これだけの体制があるのですから、これからも受注を増やしていきたい。しかし、今後新築需要が減少するのは確実です。その意味でも、当社としてはリフォーム事業をもっと強化したいと考えています。
 洋館家が提唱する戸建賃貸も、今後の市場を考えるととても良いビジネスモデルだと思っています。いずれにせよ、これまでの業界の常識にとらわれない発想での事業展開が必要だと思います。違う土俵で働いてきた私ならではの提案もできるのでは、と思っています。
 例えば、これまでは家だけを売っていましたが「家具も一緒に」と提案しています。これは私の発案で、青年会議所の同期に家具屋さんがいて、そのつながりで完成見学会の時に家具を借りています。


  地元の活性化も大切な仕事

ーーこちらに入社する以前はどのようなお仕事だったのですか。

 大阪の大学を卒業後10年ほど大阪で大手不動産会社に勤めていました。仲介と管理の仕事です。大学を出た頃は、会社を絶対に自分が継ぐという意志もありませんでしたし、継がなくてもいいとも言われていました。将来的にどんな方向でもいけるようにと考えましたが、自分の中で明確に「これがやりたい」というものもなかったので、家業に近い業界で興味があることから選んだのが不動産でした。衣食住というものはなくならないから、そういう点では不動産は強いだろうと思った記憶もあります。
 創業100周年を迎えるタイミングでこちらに呼び戻されました。そこからは、将来経営を引き継ぐことを意識しながら仕事をしています。ただ、戻ってきても建築のことは私にはよくわかりません。会社としては出来上がっていますから、現場についてそれほど詳しく知る必要もないのかもしれませんが、まずは自分の感覚と業界の常識の擦り合わせから始めました。最近は少しわかってきた感じもするので、自分の意見を出すようになってきたところです。
 地元に帰り「人づくり街づくり」に取り組む青年会議所に参加することになりました。地元の異業種との交流で「町おこし」についても考えるようになりました。これも大切な仕事になります。当社の社長が理事長を務めていた頃に比べると会員数は半分となり、城下町に多い伝統的なお店の中には苦戦しているところもあるようですが、地元に育てられてきた企業としてやれることはどんどんやっていこうと考えています。




建築風景



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