施工店インタビュー 003



比較 事業の将来を考え
戸建賃貸に参入


株式会社 リューケンハイム 代表取締役
高橋 典久 氏


株式会社 リューケンハイム
1999年設立。
一般住宅、集合住宅、店舗などの設計・施工。
佐久平店の本社のほか、上田展示場とショールーム機能を持った東御店を持つ。

本社・佐久平店/〒385-0029 長野県佐久市佐久平駅南15番地8 電話0267-88-7381
東御店/〒389-0515 長野県東御市常田577番地1 電話0268-75-5581
上田展示場/〒386-0002 長野県上田市住吉188-18



比較「何よりも『ありがとう』と言われるものを売りたい」が信条のリューケンハイム・高橋社長は、事業の将来を見据え、洋館家との契約を決断したと語っています。

社屋→

  建売形式が不動産業者に好評

−−洋館家シリーズの実績は?

高橋 本来の目的であった一戸建賃貸は、実はこれからというところなのです。洋館家と去年契約して10棟ほど建てましたが、いまのところ全部、建売のような形になっています。
 地主さんから頼まれて建てて、そのまま売るという形で、土地だけよりも売りやすく、地主さんも利益が出ます。別の物件は不動産業者に頼まれたもので、もう5年も売れない小さな土地にちょうどユニットワンが入るということで建てたら、すぐに売れたのです。
 これは当初、想定していなかったことです。これまでも「うちの土地を貸してあげるからそこに建てて、売れたら双方で精算しましょうよ」という話は山ほどありました。しかしその場合、建築コストを負担すれば当社のメリットは薄いので、絶対に乗りませんでした。洋館家シリーズなら、不動産業者も「安い」と言って建築費用を出してくれるのです。

  価格と仕様、品質が決断の理由

−−洋館家を選んだ理由は?

高橋 6年前に社長を引き継いだとき、将来的にさまざまな課題があると感じました。当社は新築一本でやってきましたが、それで続くのかと。そこでまず企業の目的を「“住宅の総合商社”になること」とし、リフォームや家具販売、エクステリア、さらに火災保険と幅広く取り組んできました。そして次に、不動産も業者登録し、アパート建設も検討しました。
 しかし、アパートはどこも空室だらけ。これはだめだとあきらめ、いろいろ情報を集めていたところ、一戸建賃貸というものを知りました。インターネットで検索し、複数の会社に資料請求したところ、洋館家の福田代表から直接電話がありました。長野でのパートナーを探しているというので、話を聞くことにしました。
 最終的に決断した理由は、この価格と仕様、品質であれば大丈夫と思えたからです。地元でお付き合いがある地主さんをお客様に、不動産と建築の両面で売り上げを作ることができると思ったのです。

  注文住宅事業との相乗効果

−−デザインにこだわった注文住宅は高くなりがちですね。

髙橋 価格の高い安いよりも明瞭さが大事です。当社の注文住宅は、総額にすると太陽光やエクステリアなどを含め、平均2,800万円前後なので、高い方の部類です。カタログ等では値段を出していないので、「高いんだろうなあ」と思って諦めていた方も多かったかもしれません。しかし、一戸建賃貸も出すようになって「もしかすると安いのかもしれない」と感じていただけているようで、お客様が増え始めています。以前開催した展覧会の展覧会には56組の来場者があるなど、そのようなことから相乗効果があるようです。

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  ホームページとPR誌の活用 topics

−−リューケンハイムさんの展示場集客や営業方法は?

高橋 今の20代後半から30代の人たちは、昔ながらの一生懸命な営業には拒否反応を起こし、受け入れてもらえません。訪問する、電話する、営業するというのが、ことごとくだめなので、当社では基本的に営業はしていません。イベントを月に2~3回開催し、興味のある人はそこにリピートで来ます。
 当社は注文住宅ではデザインにこだわっているので、それを見たいお客様、洋館家シリーズの金額の安さに興味を持つお客様が、それぞれの目的で展示場や完成見学会に来てくれます。
 イベントの案内や物件の紹介は、ホームページと毎月発行しているフリーペーパーで行います。フリーペーパーは当社の職人さん全員と、取引先様に毎月配っています。当社の内容を知ってもらいつつ、家を建てるという話が出たときに、すぐに渡してもらえるようにと考えて作っています。注文住宅の素晴らしい写真を載せるとお客様は「いいけど高いのでは」と思います。でも、その冊子に洋館家シリーズを価格付きで紹介すれば、「この会社なら安く頼めるのでは」と思っていただけるのです。

 <リューケンハイムのPR誌>
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  価格を明確に打ち出すことが大切

−−先代からの経営方針は?

髙橋 先代・創業者は脱サラして当社を起こすわけですが、当初は厳しかったようです。しかしそれでも成功できたのは、先代は「広告で仕様と総額を打ち出している会社はないから、それを出せば絶対に流行るはずだ。お客様も来るはずだ」と考えたからです。それで仕様をすべて出して「諸費用も込みでいくらです」と提示する方式をとったところ、いきなりすごい反応だったのです。その点では、洋館家の福田代表と思想的に似ていると思います。
 コストを重視するお客様には、それに応える必要はありますが、当社では職人さんの単価は基本的には下げない方針でやっています。ただし下げない以上、「ここまではやってほしい」「これはやらなければいけない」というラインをすべて出して、「必要としているのはこういう職人さんです」「お客様が来た時にはしっかりと挨拶をして、現場でゴミが落ちていたら自分のものじゃなくても拾うこと」など、いろいろと発信をしています。それらをやってもらうかわりに、よその職人さんよりも高い単価でやってもらっています。当社の工事に関わる方は、そういう職人さんだけにしたいということは、何年も前から言ってきました。こういうことの全体が、当社の商品の「品質」になります。




  他社を圧倒するコストダウンを期待

−−洋館家本部に対する要望は?

高橋 要望はその都度言っています。技術的な部分、図面的な部分など、私たちが気づいた点を話しています。洋館家シリーズの商品は、プロである不動産業者も「どこよりも安い」と言います。供給される資材も安い。コスト面は、はじめに洋館家さんから聞いていた最終的な粗利と比べて狂いはほとんどありません。もちろん、当社も長年建築業をやってきたわけですから、安く取れるルートはありますし、職人さんの単価なども含めて最終的な数字と合わせなければなりません。洋館家のネットワークがより大きくなって、他社が追随できないぐらい安くなればと期待しています。
 また、強いて要望と言えば、新作商品の回転をもう少し早くしてもらいたいということ。同じプランで売るのは1年くらいが限度です。新しいバージョンやプランをどんどん出してもらえたら、それだけ幅が広がります。



  他拠点展開と商圏について

−−本社の佐久と上田、東御の拠点展開の経緯は?

髙橋 本社がある佐久市は全国的にみてもめずらしく、人口が増えている地帯。それは東京への通勤だったり、佐久市への移住で新築すると50万円の補助金が出るなどの要因が考えられます。近隣の市町村、小諸市などからもかなり移ってきて、若い世代は新幹線駅のある周辺、佐久平に集まってきます。人口が増えていくのも納得できます。一方で上田も小諸も都市の力が下がっているという統計が出ています。そのようなことから、佐久の本社は大事にしておこうと考えています。
 当社の先代、創業者は、不動産屋で働いていました。建築も、飯田のハウスメーカーにいた知人に手伝いを頼まれて3~4年ほどやっていたそうです。その後、先代は自身の地元である佐久に戻ろうという気持ちになり、不動産か建築かで迷い、「これからは不動産ではなくて建築だろう」と考えて当社を創業しました。
 佐久で開業した時には3人、事務所は15坪くらいでした。隣の居酒屋の荷物置き場と間違われそうな店舗でカタログだけの営業。来店したお客様に、何ひとつ夢をみせてあげることができませんでした。それでも3人で頑張って3年が経過して、それなりの資本にもなり、もう少し広いところに移ろうと、佐久の野沢の自宅の近くに持っていた100坪ほどのテナントが空いたので、改装して入りました。
 野沢に移ってからは、工務店として年間10棟程度やっていましたが、そこから先に進むことができませんでした。どのようなやりかたをしても、10棟の壁を越えられないのです。それで拠点を増やしてみようということになり、とりあえず上田に店舗を出したところ、2拠点で20~25棟くらいと棟数が上がりました。
 ただ、上田に比べて佐久の来店者数はそれほど多くありませんでした。これは立地に問題があるのかもしれないと考えて、野沢店を閉め、佐久平のテナントに店舗を出しました。その頃はまだ監督は3人でやっていたため、2拠点を行って帰ってでは、かなり時間のロスが生じます。そこで中間の東御市に内勤用の拠点をつくり、そこから双方の地域に通えるようにしました。東御はどこに行くにも便利です。
 その後は、上田市に展示場を作り、上田の店舗を閉め、現在は2店舗と1つの展示場で営業しています。


  地域で“必要とされている会社”をめざす

−−今後の事業展開の方向は?

髙橋 例えばリフォームは現在、契約件数が約95件で8,000万円と少額工事が中心です。理想はリノベーションのような大きな工事を受けることですが、そこにいきつくまでには、まずは修繕で受け入れてもらわなければいけません。特にこのような地域なので、道を歩けば知り合いに当たります。そこで1万円、2万円の修繕でも対応が良かったという口コミが、結果的に2,000万円のリノベーションにつながっていくと思っています。基本的には修繕というよりも、「困ったことがあれば相談していただければ何でもやりますよ」というスタンスです。
 新築を引き渡した後は、1年に2回はメンテナンスをしています。その中で「ここがおかしくなったから直したい」「この部屋だけ壁紙を替えたい」などの要望が出てきます。そのような小さい注文に応えていかないと、大きい工事には巡り合いません。あくまでも工務店として、気軽に頼める会社でありたいので、どのような工事でもお引き受けします。1回頼まれた時にいろいろなことをやっていれば、「お庭に植木をと思っているんだけど」などと気軽に相談してもらえる関係を築いていけます。それが地域の工務店の姿であり、そうしていかないと生き残っていけません。大手ハウスメーカーと競争していては、結局は価格競争に巻き込まれて終わってしまうでしょう。
 私は何よりも、できあがった時に「ありがとう」と言われるものを売りたいのです。実際に当社のお客様の半分くらいは、引き渡しの時に涙を流しています。それほどマイホームというのは嬉しいもの。そのような涙を見ると、「ああ、建設業って、家をつくる仕事っていいなあ」といつも思います。

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