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建築の地域差

建築工事費や工法にも地域差

五輪需要増首都圏建築費高騰


  建設費の坪単価は地域により13万円の差

 地域差で一番気になるデータは建築費用ではないでしょうか。フラット35の融資利用者への調査によると、首都圏は坪単価が90万円を超えています。他の地域と比べても突出していて、オリンピックや震災復興による建築需要の高まりも影響しているようです。他の指標を見ると、土地取得費の下落が激しく、全国平均で20%安、近畿圏は35%安という数字です。首都圏は8%安、東海圏だけは29%高と上がっています。より詳しいデータはフラット35のWebサイトにあり、2014年度以前は、県別の建設費や床面積のデータで細かく比較できます。

■ 地域別・注文住宅の建築坪単価比較

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※資料:住宅金融支援機構「2015年度 フラット35利用者調査」

  寒冷地では布基礎が増え、高くなる傾向に

 建築費の地域差は工法や必要な部材の違いも影響します。
 基礎の工法は、全国的にベタ基礎比率が高くなっていますが、凍結の関係で基礎の位置を下げる必要がある北海道や北陸、東北などは布基礎の比率が高くなっています。そして、基礎の高さも寒冷地ほど高く、首都圏では高さ450ミリ未満が7割を超えますが、北海道や北陸では2割程度で、500ミリ以上という物件も多くなっています。
 他にも、管柱の材質を見ると全国的には集成材が主流ですが、東海、近畿、四国ではヒノキ比率が高く、北海道ではマツが多いなど、グローバル時代でも地域差があります



■ 基礎の工法の地域差

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※資料:住宅金融支援機構「平成14年度 公庫融資住宅の仕様について」


賃貸の地域差

建築後の賃貸事情にも地域差

敷金・礼金、空き家率数字


  敷金・礼金は関西が高い!

 関西、特に大阪の賃貸慣行は特徴的で、以前は敷金・礼金と言わず、保証金・敷引きと呼ばれ、バブル時代は家賃半年分といった例も珍しくないほど高額。その代わり、更新料はとらないという、長く住み続けることを推進する方式でした。それが消費者契約法などでグレーになり、現在では敷金・礼金方式に変わってきています。
 全国的に見れば、敷金・礼金なしの物件が増え、徴収金額も減ってきています。特に「礼金なしの物件が増えている」と答える不動産会社の割合は、首都圏で50%、関西圏でも54%にのぼります。

■ 敷金・礼金月数の地域差

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※日本賃貸住宅管理協会「賃貸住宅市場景況感調査 日管協短観 2015年度下半期」

  賃貸物件の空き家率は全国平均で7.08%

 空き家対策特別措置法という法律ができるほど問題視されている空き家。全国で820万戸もあるとされています。多くは老朽化して放置された家ですが、賃貸住宅の空き家も数多くあります。
 総務省の調査によると、全国の賃貸物件のうち、7%が空き家だとか。これも地域差がありますが、都市部で高くなっています。
 1位は大阪(9.13%)で、山梨(8.86%)、栃木(8.65%)、群馬(8.27%)と続きます。逆に低いのは島根(4.24%)、秋田(4.59%)、福島(4.60%)です。

■ 都道府県別、賃貸住宅の空き家率

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※総務省「平成25年 住宅・土地統計調査(最新)」

賃貸ビジネスNEWS

 都道府県別の賃貸率、 家賃額に見る地域差

東京23区でも家賃差は2倍!?

 先日、不動産サイト『SUUMO(スーモ)』の調査で、東京23区内のワンルーム家賃相場はJR常磐線・金町駅が最安で5.9万円と発表されました。1番人気の街、恵比寿だと10万円を超えますから、かなりの差です。では、全国で見ると、どれくらい地域差があるのでしょうか。


月額家賃の全国平均は4万9,000円

 全国での家賃の金額について、大々的な調査といえば、総務省が発表する「全国消費実態調査」があります。ワンルームも戸建て賃貸もある幅広い物件の平均ですが、地域差の目安になります。
 全国平均は4万9,000円弱で、首都圏が高く、上から東京(69,187)、神奈川(63,057)、埼玉(57,069)、広島(51,709)と続きます。逆に安いのは島根(26,833円)、熊本(29,579)、山形(30,370)、秋田(30,434)、福井(31,134)です。
 東京は島根の倍以上。東京のほうが1人暮らしが多く、部屋が狭いことを考えると、かなり大きな差です。
 同調査によると、住まいの平均延べ床面積は、一番狭い東京が77.3平米、一番広い富山が178.9平米。島根は149.9平米でほぼ東京の倍です。


賃貸居住率は最大6倍以上の地域差が

 では、その家賃を払う、賃貸物件に住んでいる世帯の割合はというと、沖縄が突出していて、47.2%! 半分近くの世帯が賃貸住まいという数字に。2位以下の東京、福岡、長崎(30.7%)を大きく上回っています。
 逆に一番少ないのは富山でなんと7.6%。沖縄の6分の1以下です。福井(9.7%)、三重(13.6)、岐阜(14.4)といった県も賃貸率は低くなっています。
 持ち家率が高い、大学が少ない、などの特性が考えられますが、同じ日本でも、こんなに違うのですね。


◆都道府県別、平均支払い月額家賃                       
全国48,757円
北海道35,988円
宮城44,496円
新潟36,972円
東京69,187円
神奈川63,057円
愛知47,798円
大阪47,025円
広島51,709円
愛媛34,840円
福岡43,611円
◆賃貸に住んでいる世帯の割合                       
全国24.3%
北海道25.5%
宮城24.0%
新潟18.1%
東京34.3%
神奈川26.4%
愛知24.8%
大阪27.8%
広島22.7%
愛媛23.7%
福岡31.4%
※資料:総務省「平成26年 全国消費実態調査」


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