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地震列島 日本  

熊本地震揺れ1000回以上
世界の地震の1割日本で起きている!

  住宅被害が10万棟を超した熊本地震

 2016年4月14日21時26分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード(M)7.3の大地震が発生し、大きな被害を与えました。そして28時間後、さらに大きな揺れに襲われる事態となりました。その後も余震は続き、震度1以上の揺れが1000回以上、2カ月後の6月12日にも大きな揺れがあるなど、観測史上例がない群発地震となっています。
 熊本は地震が少なく、国や専門機関の地震予測でも警戒情報はありませんでした。住民の方々も警戒意識はなかったと言います。しかし、住宅被害は全壊8千棟弱、一部損壊で11万棟を超える甚大な被害を引き起こしました。

  日本中どこでも大地震の危険が

 熊本地震は、東日本大震災の痛ましい記憶が消えない中で起こりました。新潟、兵庫…、大地震が続きますが、日本の面積は地球の0.1%ながら、地震エネルギーは地球上の約1割、M6以上の巨大地震は約2割が集中しています。地震の原因はおおまかに、地球の表面を覆う岩盤(プレート)同士が衝突したり沈み込んだりして起こる「海溝型」と、内陸地下の岩盤の裂け目が開いたり閉じたりして起こる「活断層型」があります。日本は多くのプレートの境目にあり、活断層は日本中に200カ所以上もあると言われます。安全な場所はないと言っていいでしょう。




地震に強い家  

耐震住宅はこんなに
賃貸住宅も耐震性能が問われる時代に

  大地震ごとに強化される耐震基準

 では、地震列島の中でどうすれば安全なのか、その答えのひとつが耐震住宅です。日本の耐震住宅の歴史は、建築基準法で定められる耐震基準見直しの歴史です。例えば右のグラフを見ると、1982年を境に、大きく被害が変わっています。これは1981年に耐震設計基準が大幅に改正されたおかげです。この後、2000年にも大改正がありました。また、今回の熊本地震を受けて、連続した大きな揺れに耐えられる方策が問われることになるでしょう。
 賃貸住宅も当然、耐震性が問われてきます。一方で「賃料が高くても耐震住宅」というニーズも増加しそうです。

  全壊住宅の隣に無傷の家があることも

 ただ実際に目にしないと、耐震住宅の力は実感できないでしょう。筆者は阪神・淡路、東日本、新潟県中越沖被災地の震度が一番高い地域を訪れました。道路が波打ち電柱が倒れている場所で、建物は無傷、棚の荷物が落ちただけという家や、両隣は全壊と半壊なのに無傷の家も見ました。どれも新耐震基準で建てられたり、リフォームされた家でした。ぜひ賃貸でも耐震住宅をお考えください。
 最後に、地震でお亡くなりになった方々及びそのご遺族に深い哀悼の意を表します。また被災された方々に心からお見舞いを申し上げ、一刻も早い復興をお祈りします。


■熊本地震の被害


 賃貸ビジネスNEWS

 耐震住宅は実際には 普通とどこが違う? 
  早わかり耐震住宅のできるまで

 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合によると、倒壊する木造住宅には、共通の弱点があるそうです。
 壁の量が少ない、壁の入れ方のバランスが悪い、柱のホゾ抜け対策がない、腐朽や蟻害で弱くなっていた、の4つです。逆にその弱点をなくしたのが、耐震住宅と言えます。

  家の形、壁の量と配置で強さが決まる

 地震に強い家の形は箱形が一番。L字形、コの字形、凸凹の多い家は建物にゆがみが生じやすくなります。
 木造住宅は壁と柱で家を支えるので、壁の量バランスも重要です。東西南北どの面も同程度の壁量にするか、少ない面があれば、壁を他より強度の高い仕様にします。室内に壁を多く配置するのも強度を上げます。ただ、壁が多いと開放感が減るので、設計力が必要です。

  基礎と床下も重要なポイント

 基礎が弱ければ、その上に立つ建物がいくら強くても意味がありません。細かく鉄筋を張り巡らせた一体型コンクリート基礎が強いでしょう。もし土地の地盤が弱ければ、改良工事をした方がいい場合もあります。
 そして意外に重要なのが、湿気を防いで白アリを寄せ付けない防蟻処置。白アリ被害で柱や壁が腐食し、そこが揺れに耐えられずに被害が大きくなることもあります。

  室内は耐震壁で強く揺れにくい家に

 耐震住宅で一番重視されるのは、耐震壁でしょう。柱と柱の間に筋交いを入れ、強度の高い構造用合板で挟む。そして柱と土台、梁などの接合部に耐震補強金物を打ち付けて強くします。これを全て行うと、計算では4.5倍もの強さになるとされています。
 床に剛性の高い剛床パネルを設置するのも、地震の揺れで床から壁へと伝わるダメージを抑制する効果があります。

  屋根は軽い金属屋根が最適

 瓦は日本の伝統、美しく格調も高いですが、重いのが難点です。一般的な瓦葺きの屋根は6トンと言われます。それが建物の上に乗っているので、地震になると揺れが増幅され、被害が大きくなります。耐震性を考えれば、ガルバリュウム鉄板葺きなど、金属屋根が安心です。瓦葺きの10分の1程度まで軽くなります。そして割れたり落ちたりすることも少ないので、怪我の心配もありません。



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